こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
今回扱うテーマはおそらくほとんどの方が無意識でやっていること。きっとあなたもしていると思います。
「声を出す直前にたくさん息を吸い込むこと」を取り上げます。
これが私たちの声やカラダにどんな影響を与えているか考えてみましょう。
呼吸の種類
私たちの生命維持活動に必要な呼吸。あなたも毎日していますよね。カラダの中で発生した二酸化炭素をカラダの外に吐き出して、新たな酸素をカラダの中に取り込む呼吸は、私たちが声を出す上では欠かせないものでもあります。
声帯が振動することで声を出すことができるのはあなたも知っているとおり。呼吸には声帯を振動させる役目もあるわけです。
肺から押し出された空気が気道を通っていき、声帯にぶつかることで声帯ヒダが振動し、音が生まれます。音が生まれる仕組みは楽器に例えてみるとよりわかりやすいかもしれません。例えばギターの弦が声帯靱帯、指で弦を弾いて振動させる動作が息が声門を通過する際に声帯ヒダに当たって振動させるかね。
さて、その呼吸について何ですけど、2種類の呼吸があるって知ってました?これを知らないあなたは多分声を出すときに損してますよ!!
あ、その2種類とは私が大嫌いな腹式呼吸・胸式呼吸ではありません。
自然呼吸と努力呼吸という2つの呼吸のパターンです。
呼吸には2つの種類があってまずひとつは自然呼吸と言われています。私たち人間には生命維持活動として、いついかなる時も呼吸をするようにプログラムされています。今この瞬間もあなたは呼吸しているし、寝ているときも呼吸しています。それが自然呼吸です。自然呼吸が停止することは死を意味します。
そしてもう一つは努力呼吸というものです。特にパワーを必要とするときとかエネルギーが必要な行動をするときに行われることが多いです。例えば、大きな声を出す直前に息をいつもより多めに吸い込んだり、楽器を吹く直前にすーっと大きく息を吸い込むとか、こういうものが努力呼吸。
この2つの呼吸を私たちは無意識で使い分けているのです。
努力呼吸は本当に有効か?
たぶんあなたも努力呼吸をすることがあるでしょう。人前でスピーチしたりプレゼンするとき、大きな声を出したり、演技や朗読で表現をする時など、声のエネルギーが必要な時は努力呼吸をしているはずです。
声を出すためにをたくさん取り入れることは、確かに必要かも知れません。息継ぎをせずにできるだけ長く喋るため、大きな声を出すためにたくさんの息を使うことができるようにするため、などさまざまな目的があって努力呼吸をしているはずです。確かに意味があるかもしれませんが、努力呼吸には別の側面もあります。
私たちの呼吸の活動は筋肉の活動によって行われています。息を吐くのも吸うのも、非常にたくさんの筋肉が関わっている一大プロジェクトなのです。個々の筋肉についてはまた別の機会に紹介したいと考えていますが、ここではそれぞれの動作に関わる筋肉の総称だけ紹介しておきます。
息を吐く時に仕事をしている筋肉は呼気筋、息を吸う時に仕事をしている筋肉は吸気筋と呼ばれています。
筋肉は弾性というものがあって、働いた後に元に戻ろうとする性質があります。筋肉が働くというのは縮むことなので、縮んだ後はもとの状態に戻ろうとするんですね。
呼気筋、吸気筋についても同じです。息を吐き出すときに働く呼気筋が働いた後は元に戻ろうとしますし、息を吸う時に働く吸気筋も働いた後に元に戻ろうとします。
実はこれが、声を出す直前に息を吸い込むときにあることを引き起こすきっかけに繋がるのです。
声を出す直前に息を大きく吸い込むのは、カラダの中にたくさんの息を蓄えておきたいからですよね。でも吸気筋が元に戻ろうとしてしまうため、放っておくと息は身体の外に出て行ってしまいます。だから一気に漏れ出ないように、カラダが別の努力をするのです。それは吸気筋が元に戻ろうとするのを邪魔する必要があること。
それがあるものを生み出すのです・・・・
努力呼吸が緊張を生み出す
声を出す直前などに息を吸ったとき、吸気筋が働きます。でも筋肉が元に戻ろうとする動きによって空気が外に出て行こうとしてしまいます。(ちなみに、これと呼気筋の働きは別)
たくさん取り込んだ空気を外に逃がさないために、吸気筋が元に戻ろうとするのを邪魔しようとするんですね。無意識で。そして、それがカラダを固めることに繋がってしまうのです。元に戻ろうとする動きを邪魔するんですから、止めるしかないんですよね。
筋肉の仕事というのは骨を動かすこと。私たちのカラダの動きはすべて骨が動くことで実現されています。歩く、走る、ものを持つ、声を出すなど、これらは全て筋肉が骨を動かしているからできることなのです。その筋肉の動きを止めてしまうと言うことは、カラダの動きを止めてしまうこと。つまり、カラダを固めることなんです。
だから、声を出す直前に息をたくさん吸い込むとこんなことが起こります。
- 声を出す直前などに息を大きく吸う(努力呼吸)
- 吸気筋が元に戻ろうとする
- 息が出ないように、吸気筋の動きを止める
- カラダ全体が固まる
- カラダ全体を固めたまま、声を出すので響きや艶などの魅力が失われる
こんな風にカラダを固めた状態で声を出すなんて・・・あなたが本当に望んでいることですか???
当たり前ですけど、カラダを固めた状態で出す声は、あなた本来の声ではありません。
人前でのスピーチや営業とかでお客さんと話すとき、あなたの印象が良くなる声で話したくないですか?
セリフや朗読のような表現をする時、いい響きのあなた本来の声で観客に届けたくないですか?
もしそう思うなら、無意識に任せた努力呼吸をしないことが必要です。
努力呼吸を無意識に任せない
そのためには、無意識でしている努力呼吸を変える必要があります。いつも声を出す前にあなたがやっている無意識の呼吸を見直して見ましょう。
できれば、カラダの動きに詳しい方に見てもらうのがいいんですが、それが難しい場合はスマホとかで動画をとってもOKです。声を出す直前などに無意識で大きく息を吸い込んでいるときにあなた自身のカラダで何が起こっているかを知りましょう。
空気が出入りするのは肺なので、呼吸の時に起こる動きというものがあります。例えば、鎖骨や肋骨が動いたり、お腹が動いたりとかね。呼吸の時の動きは外から見るとカラダのいろんな所で見受けられます。
でもあなたにはそれが起きていないんじゃないですか?
本来動くはずの肋骨とか鎖骨が動いてなかったりするんじゃありませんか?
特に腹式呼吸をたくさん習ってきた人ほど、この状況が起こりやすいです。多分、「肩動かすな!」とか「胸動かさないで!」と習ってきているはずですから。
誤解しないで欲しいんですけど、「無意識でやる=悪いこと」ではありません。呼吸でも何でも無意識でできるのはとってもありがたいこと。もし無意識でできなかったらめっちゃ大変ですよ?カラダのいろんな所に指示与え続けなきゃ呼吸はもちろん、歩く・走るという動作や心臓の動きまで制御しなきゃいけないでしょ。そしたら日常生活してる暇がなくなるんじゃないかと思うくらい大変です。
カラダが無意識でやっていることは、これまでにあなたが学んで身につけたことです。あなたが学んで身につけたことを完璧に実践してくれています。当たり前ですけど習っていないことや知らないことはできません。そして、あなたが学んで身につけたことが事実と異なることであってもそれをやろうとしてくれます。でも、本来、呼吸の時に動くべき部分が動いていないとしても、それを知るための手段はあなたの中にはないのです。
結果として、無意識でやっているカラダの使い方が緊張を生み出しているわけです。
というわけで、私がオススメするのはカラダを意識的に使うこと。
呼吸の時はどう動くと効率がいいのかを知り、それを意識的に実践できれば、自ずと呼吸の質や効率がどんどん上がっていきます。
そして呼吸の練習はいつでもできる!電車でも仕事中でも家事の最中でもね。
そのためには呼吸の仕組みを知ろう
呼吸は生命維持のために必要ですから、本能でやっています。私たちの遺伝子にプログラムされている呼吸という行為を、完璧にやっています。だから学校で習うことはありません。
でも、知識や情報を手に入れるとその完璧が変わるんです。WindowsやmacOSのアップデートみたいなものです。パフォーマンスやセキュリティのアップデートを適用することで、より快適にコンピュータが使えるようになるわけですね。
私たちの呼吸も同じ。アップデートすると質が上がる。呼吸の質が上がると声も変わるし、健康にもなるんです。
まずイチバン手っ取り早いのは呼吸の仕組みを知ること。たったこれだけで劇的に声が変わる人もいるくらい。
私も呼吸のことを色々調べていますが、学べば学ぶほど新しい気づきが増えます。だからどんどんアップデートできるんです。
以前、私が『呼吸のトリセツ』というE-Bookを作ったのは、呼吸について多くの人が誤解していて、知らなくても困ることはないけれども(困ってるかも知れないけど)知っていると確実に役に立つ情報のうち、少なくともこれだけは知っておいて欲しいということをまとめたものです。
以前は公開していて反響もあったのですが、今はそれ以上に大切な事をまとめた『読むだけで声が変わるE-Book』を公開しているので『呼吸のトリセツ』は一時的に非公開にしていますw
お蔵入りにするのももったいないので、大幅改訂した【読むだけでいい声になれる『呼吸のトリセツ』】をnoteで公開しています!
ちなみに、LINE@では声の出し方やコミュニケーションについての相談も無料できます。声について悩みや望みを持っている方は遠慮なく質問してください!
声の使い方を学んで営業に活かしたい、もっと上手に歌を歌えるようになりたい、というように明確に望みを持っている方からは結構突っ込んだ質問もいただいています。いつか質問者の方から許可を頂いた上で、紹介できればと考えています。
まとめ
というわけで、今回は無意志でやっている努力呼吸について取り上げました。これは、声を出す直前はもちろん、エネルギーを必要とするいろんなシーンで自覚なくやっていることです。例えば、思いものを持ち上げるときとか、楽器を吹く直前とかね。でも緊張を引き起こしているわけですね。
・呼吸には、自然呼吸と努力呼吸がある
・自然呼吸は、いついかなる時も行われている
・努力呼吸は、声を出す直前に無意識でしていることが多い
・努力呼吸をすると、カラダの中の空気が出て行かないようにカラダを固めてしまう。
多くの人が無意識でやっていること、声を出す直前に大きく息を吸い込むことが、カラダを固めることにつながり、結果として声の響きを失わせたりしているわけですね。良かれと思ってしていることが、実は良くないことを引き起こしているんです。
今回の記事で、声を出す直前に無意識に大きく息を吸い込むというのが、カラダで何を起こしているかをわかっていただけたと思います。もしあなたがそれをやめて、もっと艶のある・響きのある良い声を出したいなら意識的に呼吸をすることをオススメします。
そのためには新しい知識を手に入れて、カラダをどう使うかを意識的にしていくだけです。
少しずつ、少しずつ、知識とカラダの使い方をアップデートして行きましょう。
知識だけでなく、時には体験を伴うアップデートが必要になるときがあるはずです。そんなときは私のレッスンでサポートしますよ。
どんなレッスンをしているか興味があれば、体験レッスンに来てみてくださいね。
確実にあなたの声は変わりますよ。
今回紹介した記事はこちら
【読むだけでいい声になれる『呼吸のトリセツ』】はnoteで読めます!
声のことで困ったら
声を出すときのカラダの使い方、ココロの使い方など困ったことやわからないことがあったらご相談に乗りますよ^^ 相談したい方はぜひLINEで気軽に話しかけててくださいね!
今なら『読むだけで理想の声になれるE-Book』も無料プレゼントしています♪
▶ LINEでE-Bookを受け取る