パーソナルスペースとは、私だけの空間。
誰にも入ってきて欲しくない空間です。
不用意に近づかれると不快に感じる空間ってありますよね。
当然、パーソナルスペースはパフォーマンス中も存在しているでしょう。
ただし、日常生活と同じスペースを持ったままでは、あなたのパフォーマンスの質を下げてしまう恐れがあります。
パフォーマンス中は、あなたのパーソナルスペースを少し変質させてあげる方がいいでしょう。
本来、近づいてほしくない空間であるはずのパーソナルスペース。
パフォーマンスの時だけはその空間に誰かが入ることを許してあげましょう。
相手役や観客、監督や演出といったパフォーマンスに関わる人はもちろん、
小道具やカメラ、照明やBGMなど、すべての物事をあなたのパーソナルスペースに入ることを許してあげるのです。
ただし、何もしないままではあなたのスペースは、あなたの周囲の数十センチくらいでしょう。
日常生活と同じパーソナルスペースのままでは、空間に入ることを許してあげたとしても、誰かがスペースに入ってくれるのを待つしかありません。
このスペースを、必要に応じて大きくしたり小さくしてあげましょう。
あなたの方から、スペースに入ってもらえるように仕向けるのです。
実際に試してみましょう。
それでは、試しに2メートル先にいる相手役をスペースに入れてみましょう。
まずは、あなたのスペースを二メートル先まで大きくしてあげましょう。
相手役と何かをするわけではないので、あなたの知らない人でも構いません。
たとえば、電車の中でも試すことができますよね。
なかなかイメージしづらい、スペースが大きくなった気がしない、という方は、
次のことをイメージしてみてください。
あなたのパーソナルスペースをシャボン玉と考えましょう。
そのシャボン玉の中心にいるのがあなたです。
そのシャボン玉を大きくして、相手先に届くくらいの大きさにしましょう。
だんだん大きくして相手に届いたら、そのシャボン玉の中に相手役を入れてあげましょう。
これでおしまいです。
同じように、観客席の一番後ろの方をスペースに入れるなら、観客席の一番後ろまでスペースを大きくしましょう。
観客席の後ろまで届いたら、観客をシャボン玉の中に入れてあげましょう。
シャボン玉の大きさが変わっても、対象が人でも物でも変わりません。
では、これがあなたのパフォーマンスにどんな影響を与えているのかを簡単に説明しますね。
あなたのパーソナルスペースに誰かを入れてあげることで、あなたは自分一人でパフォーマンスをしなくなります。
相手役、観客、小道具、BGMなど、パフォーマンスをするに当たって、常に誰かと共にいるという状況を作っているのです。
その状況は、あなたが意識を自分から外し、空間に入れてあげた人や物へ意識を向かわせている状態です。
あなたの意識が自分から外れると、あなたがパフォーマンス中に自分をチェックしないようになります。
パフォーマンス中に自分のことをチェックしないようになると、自分が動かしたいと思った通りにカラダを動かしやすくなります。
あなたが意図したとおりにカラダが動き、そこから得た刺激があなたの心に働きかけます。
そして感情や衝動が生まれます。
あなたの意識が自分から外れると、周囲のことがより分かるようになります。
周囲のことがより分かるようになると、あなたのカラダはより多くの刺激や情報を受け取ることができるようになります。
そしてその刺激や情報は、あなたのココロに影響を与え、よりパフォーマンスがリアルなものになっていくのです。
ということは、パーソナルスペースに相手役を入れてあげることは、
あなたがパフォーマンスをするにあたっての準備をしていることにあたるでしょう?
もちろん、必ずしも相手をパーソナルスペースに入れてあげる必要はありません。
誰かを拒絶するときのシーンではむしろパーソナルスペースを小さくし、相手をその中に入れないようにすることで、拒絶する空気が生み出されます。
この空気感は相手役にも伝わるでしょう。
それを感じ取った相手役は、その刺激を受け取ることで心情になんらかの影響を与えるでしょう。そのようにしてシーンは展開していくのです。
シーンや状況に応じて、ぜひ使ってみていただきたいのですが
私は日常生活でも十分使うことができると思います。
近づいて欲しくないというネガティブな心情からは、拒絶する、避ける、身を縮めるなどネガティブな行動しか生まれません。
この行動が必要でないとき、思い切ってネガティブなものはできるだけ捨ててしまうことをお勧めします。
パフォーマンスはもちろん、日常生活にも大いに良い影響を与えるパーソナルスペース。
皆さんもアップデートしてみてはいかがでしょうか?