呼吸と腕の関係 - あなたが知らない声と呼吸とカラダの関係 その1

こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。

 

毎年シアトルに1週間ほど滞在して、ワシントン大学大学院の演技クラスで教鞭を振るう我が師匠キャシー・マデンさんから学んでいます。

2016年の滞在時、私は呼吸というテーマについてじっくり考えました。

そのことを振り返りつつ、世の中の9割くらいの人が誤解している呼吸について、今一度まとめておこうと思います。

このシリーズを読むだけできっとあなたの声の悩みが解決する糸口になるはずです。

 

この記事のポイント

・発声について欠かせない「呼吸」の誤解をなくす
・腕の使い方は呼吸に影響を与える
・腕の使い方次第で、声は良くも悪くも影響を受ける

 

間違いだらけの呼吸法

腹式呼吸が役に立たないとか、私たちの発声の邪魔をしていると言うことについては、この「声のトリセツ」を通じて何度もお伝えしてきました。

でも私たちの呼吸や発声を邪魔しているものは腹式呼吸だけではありません。

一般的なボイストレーニングや発声練習、話し方セミナーのような発声や呼吸を扱うレッスンでは全く触れないところもあなたの呼吸や発声を邪魔しています。

例えば、腕。

腕が呼吸や発声に影響しているなんて、あなたはきっと考えたこともないでしょう。

そうだとしたら、残念ですが、あなたは呼吸や発声の側面だけしか学んでいません。いや、教えられていないので仕方のないことですから、あなたの責任ではないですね。

あなたに呼吸や発声のほんの一部のことしか教えなかった指導者のせい・・・と言うわけでもないんですよ。その人たちも、彼らの先生からそう教わってきたはずだから。

こうやって間違いだらけの呼吸法や発声法が脈々と受け継がれていくわけです。

でもね、発声というのはその瞬間のカラダの使い方と思考の使い方の結果です。そして声を出すためには呼吸は欠かすことができない存在です。

つまり、間違った呼吸法を習ったり、呼吸のほんの一部の側面だけしか知らないで発声をしていることは、あなたの声を邪魔しているようなものなんです。

ホントはもっと可能性があるのに、その可能性をあなたが自分で邪魔しているんです。

 

腕で発声の邪魔をしながら発声しているあなたは一体何がしたいの?

特に歌や演技のような声を使って表現する方に多いのですが、カラダの使い方を見ていると、こう思うんです。

腕で発声の邪魔をしながら歌ったりセリフを言ったりしているあなたは一体何がしたいんだろう?って。

もちろん歌や演技のような表現活動をする方だけではありません。

社会人として立派にお仕事している方も、腕で発声の邪魔をしながらプレゼンをしたりスピーチをしたり、営業をしているわけです。

あなたは気付いていないようですが、あなたが教わってきた呼吸法や発声法をしっかりと実践しようとするあまり、腕で発声の邪魔をしています。

レッスンでそれを伝えると9割の方は驚きます。

「えっ?腕が発声に関係あるんですか?」

当然です。

声はカラダの使い方が大きく関係していますから、あなたが腕でやっていることは当然声に影響を与えます。でも多くの方は腕で何をしているかまったく気付いていないんです。だからあなたが声を出すときに腕が邪魔をしていることに気付かないんです。

このまま放置するかどうかはあなたの自由です。

でもあなたが無自覚・無意識にやっているその腕の使い方についてはこれまでもたくさん繰り返してきましたし、これからもたくさん繰り返していくでしょう。つまり何度も練習することになります。

ということは・・・どんなことが起きるかわかりますよね?

あなたは自分の腕で自分の発声を邪魔する練習を長い間続けていることになります。そしてこれからも邪魔する練習を続けていくわけです。

残念ながら、この現実に気付いていない人ばかりなんですよね。

あなたは本当に何がしたいんでしょうか???

 

腕の使い方を変えれば、声が変わる

これまでボイトレや話し方セミナーなんかで呼吸法を習ってきた方にとっては「腕が呼吸の邪魔をするなんてあり得ない!」「無関係でしょ?」と思うでしょう。

ところが、大いに関係があるのです。

だって、カラダの構造がそうなっているんですもん。腕の使い方次第で呼吸が邪魔されるような構造をしているんですよ。発声に影響を与えるのは当然でしょう。

私たちのカラダの構造について考えてみれば、その理由は明らか。なのに多くの指導者はこのことを取り上げないんですよ。まぁ、知らないから取り上げられないんでしょうけど。

なのでこの記事を読んでくださっているあなたはとてもラッキーです。だって、どこのボイトレやセミナーでも教えてくれないことを知ることができるんですからね。

さて、図でカラダの構造を紹介する前に、腕について考えてみましょう。

あなたに質問です。

「あなたの腕はどこから始まっていますか?」

自分の腕はここからだ!腕の付け根はここにある!という場所に触れてみてください。

深く考えなくてもいいので、この辺かな?と思う場所に触れるだけで構いません。

私はレッスン中にも受講生の方に質問することが多いのですが、私が質問するときは正解・不正解を求めているわけではありません。正解した方を褒め称えたり、間違えた方を糾弾したりするのが目的ではありません。

今、あなたがどういうことを知っているのかを知りたいだけなんです。

正解・不正解を問題にすると、永遠に解決しません。ある正解は、別の側面から見れば不正解ですし、ある不正解は、別の視点から見れば正解になることなんてよくありますからね。

腕の話に戻りますけど、あなたが自分の腕の付け根はここだ!と思っているところに触れましたか?

では、ここで1枚の画像を見てください。

この画像で赤でマルをつけている部分、ここが腕の始まりです。あくまで解剖学的なお話ですが、腕の始まりはここなんです。ちなみに丸で囲んだ部分は鎖骨のカラダの内側の先端ですね。

多くの方は肩の辺りを触れたんじゃないでしょうか?

でもね、カラダの構造を考えてみると、腕がカラダの軸を構成している軸骨格に繋がっているところはこの赤丸で囲んだポイントだけなんです。

ちなみに軸骨格はアタマと脊椎、肋骨のこと。その他(腕や脚などの四肢や下あご)は付属骨格と呼ばれています。

腕が軸骨格と関節を作っている場所は赤丸で囲んだところだけなんですね。だからここが腕の始まりです。

さて、腕の下には何があるでしょうか?つまり、鎖骨の下には何があるでしょうか?

画像を見てもわかるとおり、肋骨がありますよね。肋骨の内側には何がりますか?

声について興味があるあなたなら、すぐにわかるはずです。

はい、ここには肺があるんです!!

レッスンでこんな話をすると必ず失笑や変な間が生まれます・・・別にダジャレを言っているわけじゃないんですけどね(^_^;)

ここまでお伝えした内容をもう一度整理しておきましょう。

・肺は肋骨に覆われています。
・鎖骨は肋骨の上に位置していますよね。

この位置関係を頭に入れた上で、呼吸時に起こることをみてみましょう。

 

肺は前後にも左右にも上下にも膨らむことができます。息を吐くとしぼんで、息を吸うと膨らみます。

でも、肺は自分自身でしぼんだり膨らんだりする能力がありません。だから肺がひとりでにしぼんだり膨らんだりすることはできないんです。

だから周りのスペースが狭くなったり広くなったりすることで、間接的に肺がしぼんだり膨らんだりします。つまり、肋骨の内側の空間が狭くなったら肺もしぼむ、肋骨の内側の空間が広くなったら肺も膨らむんですね。

肋骨の内側の空間が狭くなったときに肺から息が押し出され、肋骨の内側の空間が狭くなったときには肺に息が入ってくるわけです。

さて、先ほど見ていただいた画像を思い出してみてください。

肋骨のすぐ上には鎖骨がありましたよね。鎖骨は腕の始まりですから、腕が呼吸に影響を与えるわけなんです。

例えば、鎖骨を動かないように固定していると、肋骨の上側への動きが制限されてしまいます。それは肋骨の上方向への動きを制限することになり、肺が上方向へ膨らむのを邪魔していることになるのです。

私は腹式呼吸のトレーニングで「肩が動かないように」と教わってきました。でも今ならはっきりと言えます。「腹式呼吸は呼吸の邪魔をしている」と。肩を動かさないと言うことは鎖骨を固定することを意味します。つまり、その下にある肋骨の動きも制限してしまうので、呼吸を邪魔してしまうのです。

もしあなたもそうやって鎖骨を固定しているなら、つまり腕を動かさないようにしているなら、それをやめてあげましょう。腕が自由に動けるようにしてあげると肋骨の動きも自由になり効率的な呼吸ができるようになるのです。

より効率的な呼吸ができれば、その効果が発声にも現れるのは当然です。

声を出す上で、呼吸は欠かせませんからね。

 

「肩をリラックスさせる」という逆効果の方法をしていませんか?

腕の使い方が呼吸にどんな影響を与えるか、あなたは理解してくれましたか?

急にこんな事実を知っても、あなたが今まで教わってきたことのないことだったり、教わってきたことと真逆のことかもしれないので、すぐには受け入れがたいでしょう。私もこの事実を知ったときは愕然としました。「今まで何を学んで来たんだろう・・・」って

でもそれはチャンスなんです今まで学んで来た知識をアップデートして次のステップに進むためのチャンスが訪れたんです。今までの学びがあったからこそ、今受け取った情報の重大さに気付くことができるのです。だから決して悲観することではありません。その逆で喜んで欲しいことなんです。

もしまだ腑に落ちない、もう少し解説が欲しいというあなたのために、ある方とのレッスンのエピソードを紹介しておきます。

27歳のエンジニア、おさむさん(仮名)がレッスンに来られたときのことでした。

おさむさんは、こんな悩みや望みを持っていました。
・「話すとちょっともったいないよね」と言われる
・外見と声のイメージが違うと言われる
・それをなんとかして魅力的になりたい

レッスンを通じて、おさむさんはどんな体験をしたのでしょうか?

この後、おさむさんには呼吸の仕組みをお話しました。

新しい知識を吸収して実践したおさむさんの声は、芯が太くなり通る声に変わっていったのは言うまでもありません。

その変化を通じて、おさむさんはご自身が話すことや声を出すことについての自信をも手に入れました

私は、レッスンが始まったときのおさむさんと、終わったときのおさむさんでは別人のようだと感じました。

 

腕が呼吸の邪魔をする。邪魔を取り除けばすべてが変わる

もう一度、おさむさんとのレッスンを振り返っておきましょう。

おさむさんは「人と話すことをもっとうまくできるようになりたい」と望んでいました。

ご自身でもコミュ障に悩んでいた時期があって、色んなノウハウを集めたそうですが、それらは全く役に立たなかったそうです。その後、お仕事の関係で話す機会が多くなったこともあって、強制的にお話をすることがありました。

以前よりも改善されたようですが、面接や日常会話、その他の色んな状況ではまだまだ萎縮してうまく話すことができないということに悩んでいました。

そこで私はおさむさんがどんな風にして声を出しているか?にフォーカスを当ててカラダの使い方を見せてもらうために面接のシーンを想定してお話してもらいました

その時、私はおさむさんのカラダの使い方にあることを見つけました。

話し始める前に腕を下方向に押しつけるようにしていたのです。私は、その動きがおさむさんの声や呼吸、カラダの動きなどを邪魔しているのではないかと考え、その動きにおさむさんが気付いているのかどうかを質問しました。

だからこんな風に尋ねたわけです。

今、お話しているとき、おさむさんは肩をどのようにして使っていましたか?

私のレッスンを受けてくださっている方にはおなじみですが、私は普段「肩」という言葉を使いません。ですが、おそらくおさむさんとしては「肩で何かをしようとしている」と感じたので、あえて「肩」という言葉を使いました。

するとおさむさんはこう答えてくれました。

えっと・・・肩の力を抜こうとしていました。

おさむさんは自分で「肩の力を抜くために、腕を下方向に押しつけている」と言うことがわかりました。

これでおさむさんが自分で自分の声や呼吸を邪魔していると言うことが明らかになりました

おそらく、おさむさんはそのことを誰かに教わったはずです。でもこれは完全に誤った知識です。おさむさんは誤った知識に騙されていたわけなんですね。

だから私は誤った知識である「肩の力を抜くために、腕を下方向に押しつけている」ことをに気付いてもらい、それがどのようにしておさむさんの声や呼吸を邪魔しているかをお伝えしました。

この時、おさむさんには2つの選択肢がありました。

1つは、今まで通りのおさむさんのやり方、つまり習慣に任せて声を出すことです。

そして2つめの選択肢は、今まで通りの習慣の方法ではなく、おさむさんにとっての新しいアイディアを使うこと。

人によっては今まで通りの選択肢を使いたい人もいるでしょう。もしかしたらあなたもそう思っているかも知れません。あなたになじみのあるやり方を使った方が、安心して物事を実行できるはずです。でも、今まで通りの方法だと今までと同じ結果しか生まれないんです。同じプロセスをたどれば、いつも同じ結果しか生まれないんです。

もしあなたが何か悩みがあったり、実現したいことがあるなら、今まで通りのなじみのある方法を使ってはいけません。なじみのある方法を使っているから悩みがあったり実現したいことが叶わないままなのです。

だからなじみのある方法ではなく、新しい方法を試す必要があるのです。

おさむさんにとっては、私が提案したアイディアこそが新しい方法でした。

実際に新しいアイディアを採用することを決めたおさむさんには、素晴らしい変化が訪れました。

新しいプロセスを採用したことで、おさむさんはレッスンを通じてさまざまな変化を手に入れたわけです。

声の変化はもちろん、話すことについての自信も手に入れました。そのことが新たな変化をもたらします。おさむさんの心理状態が変わることでそれが見た目の変化に繋がります。つまり、おさむさんの仕草が変わるので、相手が受け取る印象が変わるわけです。

私のレッスンではいつもこんな風に素敵な変化が起こります。私の役目は、新しい選択肢をお渡しすることであなたの悩みを解決したりあなたの望みを叶えるためのヒントやきっかけをお渡しすること。例えるなら、アスリートとコーチの関係ですね。

 

エクササイズで体験してみよう

ここまで読んでくださったあなたはきっと新し方法を受け入れる準備ができているはずです。長文にもかかわらず、ここまで読んでくださったので、あなたにも今日から使える新しいアイディアをお渡ししたいと思います。

簡単なエクササイズで呼吸の違いを体験してみましょう。

次の2つの方法でただ呼吸をしてみてください。それぞれ10秒くらい呼吸をしてみましょう。

1.鎖骨を下側に押さえつけるようにして呼吸する
2.左右の手のひらで頭の後ろに触れて呼吸する

この2つの方法で何らかの違いを感じられましたか?

明らかに2の方がラクに呼吸ができたはずです。

ちなみに1の方法って、言い方は違うけど腹式呼吸の指導法1つでもあることに気づきましたか?「腹式呼吸の時は胸や肩を動かさないように」という指導方法と同じなのです。私が腹式呼吸は役に立たないと言っている理由もそこにあります。

もし1の方がラクだと感じたならば、あなたの体性感覚は相当鈍っていますので、今すぐ私のレッスンに来てください。例え体験レッスンであっても私は一切手抜きせず、これから先、あなたが一生使えるアイディアをお渡ししているので絶対に損はさせませんよ^^

過去、体験レッスンの内容に感動して「もっとお金払います」と言ってくださった方もいるくらいです。もちろん追加料金をいただくなんてことはありませんけどね。

 

まとめ

今回のまとめです。

今回のまとめ

・9割の人は「呼吸」について誤解している
・腕で発声の邪魔をしながら声を出している
腕が呼吸に合わせて自由に動けるようになると本来の声が引き出される

わざわざ時間を取って腹式呼吸の練習なんて無駄なことをする暇があったら、さっき紹介したエクササイズを電車での移動中にやってみてください。これを続けるだけであなたの呼吸が変わります。

そして呼吸が変わるということは声が変わることを意味します。

あなたが知らず知らずのうちにやっている邪魔がなくなりあなたが生まれながらにしている声の魅力が引き出されるようになるとあなたにはどんないいことが起きるでしょうか?

これから先のあなたの生活でどんな素敵なことが起こるか、ぜひ想像してみてください。

 

今回紹介したのは、腕のことでしたが、その他にも呼吸に影響を与えるカラダの部位は存在します。呼吸に影響を与えると言うことは、当然、発声にも影響を与えますからね。

こちらのシリーズで紹介していますので、読むだけであなたの声は確実に変わりますよ。

もちろん、あなたが望んでいる方向に変わっていきます。

質問や相談はLINEからお気軽にメッセージくださいね。

 

 

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今回紹介した記事

 

あなたは理想の声になりたくありませんか?

無意味な発声練習やボイストレーニングをやりたいですか?
講師に叱られながらレッスンを受けたいですか?

あなたが抱えている声やコミュニケーションの悩みを解決するために必要なことは、
日常生活を過ごしながらでもできるとてもシンプルなものです。

「カラダの使い方」と「ココロの使い方」をほんの少しでも変えることができれば、
ボイストレーニングや発声練習をしなくても、毎日の生活を通じて、あなたの声はどんどん変わっていきます

誰でも、確実に変化できる方法をお教えします。

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