ナレーターがブースで原稿を読むとき、ほとんどは椅子に座っていますよね。
スタジオによって椅子は異なりますから、合う合わないもありますよね。
「あのスタジオ、椅子が合わないからやりづらいんだよねー」みたいな。
そうなると、その椅子が存在するだけで、
ナレーターにとって苦手なスタジオになってしまいます。
だからといってマイ椅子を持ち込むわけにもいきません。
そんな時に使えるアイディア!
あなたの座り方をアップデートしてみましょう。
丁寧かつ繊細に「椅子に座る」
いつもは何も考えずにしている「椅子に座る」ということを、丁寧に繊細に取り組むことで、あなたと椅子の関係が良質なものに変わります。
すると、身体が椅子にあわせてバランスを取るようになり、
・長時間座っても疲れにくい
・余計な力がなくなる
・呼吸の通り道ができる
・声の通りも良くなる
など、様々な効果が得られます。
では、丁寧に繊細に「椅子に座る」をやってみましょう。
まず、椅子に背を向ける前に椅子を見ます。
「は?」と思われるかもしれませんが、これには意味があります。
椅子のカタチや位置を再認識することで、脳が椅子が安全な存在であると理解します。
罠やドッキリが仕込まれていない限り、椅子があなたに危害を加える存在でないことは周知の事実です。
それを改めて理解させることで、椅子と良好な関係を築くための準備ができるのです。
それでは、椅子の前に立って、座ってみましょう。
ただドカッと腰掛けるのではなく、丁寧に繊細に「座る」のです。
まず、椅子に背を向けて立ったら、座り始める前にして欲しいことがあります。
重力を感じて欲しいのです。
私の体重は約60キログラム、両足がその重みを支えてくれていて、常にバランスを取っています。
重心を感じながら座る
さて、次に重心について考えてみましょう。
重心は今どこにあるでしょうか?
いま、ここに重心があるなと感じられたら、重心を移動してみましょう。
つま先側に重心をかけることもできれば、左足や右足に重心をかけたりすることもできます。
もちろん踵側にも。
重心を移動しても、「立っていよう」と思う限り、身体はバランスを取り続けてくれるので、倒れることはありません。
このバランスを維持する仕組みは、例えば腕を動かしたとしても機能します。
右手を前に動かしても、左手をぶんぶん振り回しても、身体はバランスを取り続けてくれるのです。
試しに手を自由に動かしてみましょう。
前後左右に動かすことで重心は移動しますので、
重心が足のどこにあるか感じながら手を色んな方向に動かしてみましょう。
重心の移動をある程度感じられたなら、片手を前に、反対の手を横に伸ばした状態で静止します。
このときも足のどこかに重心がかかっていますよね。
それを両足全体に均等になるように微調整してみてください。
手はそのまま動かさずに、身体をコントロールして重心を両足に均等に分散します。
だいたい均等になったかなーと感じたら、その重心の均等さを保ったまま、身体全体を低くしましょう。
イメージしづらい場合は、股関節と膝を曲げてみましょう。
重心の均等さを保ちつつ、脊椎の長さを保ちつつ、股関節と膝を曲げていきます。
すると、太股の裏側が椅子の座面に触れます。
もしくはお尻が座面に触れます。
触れたら、今まで足にあった重心を徐々に触れたポイントに移動させます。
丁寧に、繊細に重心を移動させつつ、座面に触れる面積を増やしていきましょう。
全体中を座面に預けることができる状態になるはずです。
そして、最後に一つ思い出しましょう。
脊椎は長いままで、アタマはあなたの一番上にあります。
椅子にあわせて座る
重心のお話から、そのまま丁寧に繊細に「椅子に座る」プロセスを実行してみました。
今までの座り方と比べるとどうでしょう?
何か違いがありますか?
もし違いを感じることができて、この違いに嫌な感じがしないのであれば、
試しに声を出してみましょう。
するとどうでしょう?
声にも違いがあるのを感じられましたか?
これは脊椎を長く保つことができているおかげで、肺のスペースを効果的に使うことができているからです。
この座り方は、自分のカラダ優位の座り方ではなく、椅子にあわせて自分の体をバランス良くコントロールする座り方です。
ブースだけに限らず、PCに向かうときやオフィスワーク、電車の座席でもできる座り方です。
有効だと感じて頂けたら、ぜひ試してみてください。