こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
今回扱うテーマは、「あなたの声を救う3つのポイント」です。
大きな声を出すとすぐに喉が痛くなる、人前で話すと力が入ってしまうなど、もしあなたが声について何か気になっていることがあるなら、それを救うきっかけになるポイントを紹介します。
実は、声のエクササイズにはアナタの声を損なう危険性が伴っていたりもするんです。
さらに、私たちは何のためにエクササイズをするのかということを簡単に見失ってしまうんです。残念なことに。
エクササイズを継続していると、努力している自分に酔ったり、疲れることや酷使することでいわゆる「やった感」を得ることが目的になってしまうのです。
誰かに教わったり本で読んだエクササイズを試すときも、今回紹介する3つのポイントを注意しておけば、エクササイズが悪い方向に向かわないですむだけでなく、本来の効果を発揮するでしょう。
神経の通りをよくする
まず一つ目は神経支配について。
以前お伝えしたように、私たちが日常会話をすることにおいて、発声器官はほとんど使われていません。発声器官の中で今まで使われていなかった部分を今この瞬間から使おうとしても、そう簡単にはいきません。
なぜなら、神経の刺激がその部分へ伝達されるのに必要な通り道がほとんど使われてこなかったからです。
声を出すという行為を行うにあたって、今この瞬間、アナタや私にはある一定の神経回路が使われるように脳にインプットされています。
今までつかわれていなかった発声器官を使うためには、現時点でインプットされている神経回路とは別の回路を使うことになるわけです。
文字で書くと「なんだそんなことか」と思うのですが、実はこれがとっても難しい。
私たち人間にはとても便利な「習慣」という機能が備わっています。
ある一定の学習をした動作は、特に深く注意をしなくてもできるようになるという機能です。
スマホを操作する、自動販売機で飲み物を買う、電車に乗るなどなど、毎日何気なく行っている動作は実は大変複雑なものだったりするのですが、深く考えなくても難なくこなせるのは習慣のおかげでしょう。
この大変便利で生きていく上では欠かせない習慣が、私たちが新しいことをしようとするときには邪魔になってしまうこともあるのです。
例えばアナタの家から最寄りの駅までの道をイメージしてみてください。
通勤や通学、お出かけで駅まで行く時、ルートはいつも同じですよね?
特に意識しない限り、慣れ親しんだ道を使うでしょう。最短ルートかもしれませんし、平坦で坂道が少ないルートかもしれません。
「今日は少し気分を変えて別の道を使ってみようかな」と思わない限り、別のルートを行かないですよね。でも別ルートも駅まで通じているということはわかっています。
ところがそれが初めて初めて訪れた場所だったらどうでしょうか?地図もスマホももたずに、目的地を目指す場合はどうでしょうか?
初めてひとり暮らしをしたときの状況が似ているかもしれません。
周辺や地図については全く知識はありませんが、散歩や探検をすることでだんだんとどこに何があるか、どの道がどこに通じているかわかっていきますよね。
この道は行き止まりか。この道はあの道と通じているんだな。駅まではどっちのルートでも行けるけど、このルートが最短だな。
それを繰り返すことで、だんだんと地図が刻まれていきます。
発声器官のうち、今まで使われてなかったところを使うという行為は、それと同じようなことかもしれません。
今まで使われていなかった神経回路を使って、試行錯誤を繰り返し、だんだんと使えるようにしていく作業は、一朝一夕では終わりませんが、取り組めばきっと新たな回路がつくられるでしょう。
そうすれば、仮にもともと10の可能性を持っていたけど3だけしか使ってこなかった、そんな状況で声を出していたのが7とか8とか使えるようになっただけでも大きく声は変わりますよね。
筋肉の緊張
次に気をつけて欲しいポイントは「筋肉の緊張」です。
一般的に「緊張」という言葉はイメージの良くないものとして考えられがちです。
「本番前の緊張」とか「緊張してうまく話すことが出ない」、「人前で大きな声が出にくいのは緊張のせいだ」とかね。
でも言葉というものは使われる状況によって意味することが変わります。
ここでいう「緊張」とは、筋肉の収縮運動を意味しています。
発声練習をするにあたっては、この筋肉の収縮運動を気にしておいて欲しいのです。
なぜかというと、発声運動に関わるたくさんの筋肉があって、それらに緊張が不足している場合があるからです。
健康な筋肉は働いている状態でも休んでいる状態でも、緊張をもっています。
これをレッスンで説明するとき、先に言ったように、緊張と言う言葉のとらえ方が人によって違うので、私は「筋肉の張り」とか「トーン」と表現するようにしています。
弦楽器でいうと、弦の張り具合と表現できるかもしれませんね。
このトーンが足りていない、つまり筋肉に締まりがないために、発声において一部のパワーが不足してしまうのです。
小学校や中学校の頃、運動会や体育祭で組み体操とかやったことありませんか?
経験したことがある方は、ピラミッドを思い出してみてください。
5段ピラミッドを作るときは一番下に5人、その上に4人、さらに上に3人、2人、そしててっぺんに1人というように15人で組み上げますよね。
そのうちの誰か1人が手を抜いているとどうなると思いますか?
バランスを取るためのその他のメンバーが必要以上の力を発揮して、1人分の欠如を補わなくてはなりません。
本来だったら全員が100%の力を発揮するだけでいいのですが、誰か1人が手を抜いているためにその他のメンバーは120%や150%の力を必要とされるわけです。そうしないと、維持できない。
でも本来は不要な努力を要求される状況は長く続きません。
だって疲れるし、大変ですもん。
だから、誰かが手を抜いたらピラミッドが崩れやすくなるわけです。
実は、これと同じ事が発声器官でも起きているのです。
どこかの誰か手を抜いている、つまり締まりのない筋肉がいると発声器官はどんどんと悪くなる一方です。
練習する際には、発声器官の全ての筋肉が協調して働くことが大切なのです。
発声に関係する筋肉については、以前も紹介しましたよね。
例えばこの記事とか。
協調
そして3つめのポイントが「協調」です。
このコトバにあまりなじみのない方もいるかもしれませんので、まずはコトバの意味を。
協調 − デジタル大辞泉
互いに協力し合うこと。特に、利害や立場などの異なるものどうしが協力し合うこと。
こんな意味です。文字通りですよね。「協調性」という言葉で使ったりもしますよね。
発声において、実はこの協調が大変重要なのです。
私たちが声を出す為には、実に多くの器官や筋肉が関係しています。
肺から空気を送り出すことはもちろん、声帯ヒダを閉じるための声帯周辺の筋肉、喉頭を支えている多くの筋肉など、非常にたくさんの部分がそれぞれの役割を持っています。
声を出すというビッグプロジェクトを遂行する上で、それらの筋肉などが互いに協力し合うことがとても大切なのです。
そして、意外かもしれませんが、発声というビッグプロジェクトにおいては、胴体はもちろん腕や足の使い方も大きく影響してくるのです。
この協調というポイントを理解するのは少々時間がかかるかもしれません。
しかしながら、私たちのカラダは普段から協調を保ちながら活動しています。
これについてはアレクサンダー・テクニークの考え方がわかりやすいと思うので、詳しく知りたい方は私が書いた『読むだけで良い声になれるE-Book』がオススメ。声にとっても役に立つアレクサンダー・テクニークについても簡単に紹介しています。
まとめ
今回は、発声練習に取り組むなら必ず知っておきたい3つのポイントについて紹介しました。
反対に言えば、アナタが自分の声が声が良くないとか、イマイチだとか、すぐ枯れる・疲れると思うのであれば
・神経支配が悪い
・筋肉の緊張が弱すぎる(強すぎる)
・協調していない
この3つのどれかが当てはまっている場合がほとんど。
これらのポイントをクリアすることが、アナタの声をより魅力的にするために必要なことだといえるでしょう。
もし発声練習や声のエクササイズに取り組むのであれば、今回紹介した3つのポイントに注意して取り組むようにしてくださいね。
もし、どのようにして取り組めばいいのかわからない場合は、その取り組み方のヒントを全7回のメール講座で紹介しています。ぜひ活用してみてください。
また、LINE@を使っての無料相談もできるので、アナタの声のお役に立てると嬉しいです ^^
参考に
最後に、今回の記事への理解に役立つ過去記事を紹介しておきますね。
ぜひ参考にしてみてください。
声帯周辺の筋肉について知りたい方
喉頭を支えている筋肉について知りたい方
呼吸について知りたい方
以前無料プレゼントしていたE-Book『呼吸のトリセツ』を大幅改訂した【読むだけでいい声になれる『呼吸のトリセツ』】をnoteで公開しています。
こちらでは発声時に協調しておくべき呼吸器官について紹介しています。