「僕が一番、ガンダムをうまく使えるんだ!」
機動戦士ガンダムに登場するアムロ・レイさんの有名なセリフです。
このセリフには、声優・ナレーターにとっての、パフォーマンスに関する大きなヒントが隠されています。
声優・ナレーターというパフォーマーである私たちは
常に自分のスキルアップと向き合っています。
ある人はボイストレーニングに通って発声や呼吸の方法を学んだり、
ある人は整体に通ってカラダのゆがみを元に戻したり、
ある人はワークショップに通ってテクニックを学んだり。
人によって興味のあることや学びたいことは様々です。
一見、パフォーマンスに関係のないことでも、
その全ては無駄ではなくて、いつかどこかで声優・ナレーターとしてのパフォーマンスに繋がります。
そして学ぶことをやめてしまうことは、パフォーマンスをする人にとっては、前進を止めてしまうことを意味します。
さて、アムロ・レイさんのセリフに戻ってみましょう。
「僕が一番、ガンダムをうまく使えるんだ。」
アムロさんにとってのガンダム。
私たちにとっては何に置き換えられるでしょうか?
私たち声優・ナレーターにとってのガンダムは、自分のカラダではないでしょうか?
私たちがパフォーマンスすることは、「カラダを使う」と言うことを意味しますから。
まずカラダがあって、呼吸ができて、
目で原稿や台本の文字を読むことができて、声を出すことができて、
初めてセリフを言ったりナレーションをすることができます。
しかもこれがとても大変なんです。
私たち声優・ナレーターは、これを全て一人でやらなくてはいけないんですから。
アムロさんとガンダムの関係を考えてみましょう。
ガンダムというモビルスーツがあって、
アストナージさんをはじめとするメカニックがいて、
アムロさんというパイロットがいます。
同じ関係を、パフォーマンスの例でも考えてみます。
例えば、ピアノ演奏。
ピアノという楽器があって、
調律師という楽器メンテナンスの専門家がいて、
ピアニストという奏者がいます。
私たち声優・ナレーターにとっては、
モビルスーツや楽器という自分のカラダがあって、
メカニックや調律師は自分自身、
パイロットや奏者も自分自身なのです。
だから、技術向上のために、ボイトレや整体、ワークショップに通って、声の出し方やカラダの使い方、テクニックなどを学ぶわけです。(メカニックや調律師としての行動ですね)
学びをやめると、現状維持すら難しく、テクニックやスキルが錆びるばかりです。
しかし、学びの中で、一つ注意があります。
学びを通じて得ることは、あくまでも一つの方法でしかなく、絶対的な正解ではありません。
そして、なぜか学んでいることを隠しておきたい人が多く、
グループレッスンよりも個人レッスンを選びます。
(はっきり言って、個人レッスンよりグループレッスンの方が学びの質も量も格段に高いです。)
ですが、個人レッスンだと教える側(講師)が絶対的優位な立場となることが多く、
できない生徒には非常に辛辣な言葉を投げつけることもあります。
生徒の結果や実績が、講師の質に直結するわけですし、講師も人ですから当然ですよね。
でも、講師は、私たち学ぶ側にとってはメカニックでも調律師でもないのです。
あくまでアドバイザーです。(アムロさんにとってのブライト艦長ですかね?)
教えられた方法が私たちのカラダに合うかどうかは分かりません。
私たちの悩みが、教えられたことを用いて解決するかは分かりません。
そんな状況で、私たちは教えられた方法を採用するかしないかを決めなければならないのです。
では、何を拠り所にすればいいのでしょうか?
何を基準に採用するかしないかを判断すれば良いのでしょうか?
その答えが、アムロ・レイさんの言葉にあるのです。
「僕が一番、ガンダムをうまく使えるんだ!」
私たち声優・ナレーターにとってのガンダムは何でしょうか?
自分自身のカラダですよね?
だから、自分のカラダに聞いてください。
(「自分のカラダに聞くこと」については、後日アップします。)
教えられた方法が合うかどうか?
悩みが解決するかどうか?
あなたしか分からないことです。
あなたのカラダのことはあなたが一番良く知っています。
とてもシンプルで当たり前のことですが、意外と見失っているときがありませんか?
講師に嫌われたくないという気持ちもすこし関係しているかもしれません。
また、この一言を、本番前に緊張したときなどに思い出すだけで、
自分のカラダへの信頼を取り戻すことができます。
パフォーマンスをするときでも普段の生活でも、自分のことをいつでも信頼してあげましょう。
この積み重ねが、いざという時に頼りになるものです。