感覚は遅れてやってくる 〜 シアトルで学んだこと その2

 

聞くことが読むことの一部になったきっかけ

前回の、原稿を読んでいるときに自分の声を聞くことについてもう少し深く考えてみたいと思います。

私が「自分の声を聞く」ことが、読むことの一部になったきっかけは
かつて所属していた事務所のレッスンでの練習でした。

ナレータや声優にとって、耳を鍛えることは大切です。
誰かの声や音を聞き分けるのはもちろんのこと、自分の声を聞き分けることもできねばなりません。

そこで、レッスンの練習方法のひとつとして、
自分の耳に手を添えて、自分の声が聞き取りやすいようにしながら読む、というものがありました。

そして常に自分の声を聞きながら、今の声が良いかどうか判断しながら読む練習をしていました。

その練習もとにかく真面目に取り組んだので、
いつしか耳に手を添えなくても自分の声が聞き取れるようになりました。

その練習に取り組んだから、読むというアクションに「自分の声を聞く」という行為が含まれたのだと思います。

継続的に取り組んだことは、いつの間にか習慣となって自分のアクションの一部となるわけです。

 

声は結果でしかない

さて、声について考えてみましょう。

皆さんご存じの通り、声というのは空気の振動です。

肺から押し出された空気が気道を通り、声帯を振動させて喉頭に向かいます。
軟口蓋にぶつかると口の方へと向きが変わり、外に出て行きます。
(以前、「アタマに響かせる」とか「喉を開く」って具体的にどうするの? でも書きましたが、何もしなくても声は前に向かっていきますから
「声を前に出すぞ!」と思うのは余計な力を生みます)

それが声という音であり、これは今現在のカラダの使い方や感情によって簡単に変化します。

いわば、その瞬間の自分という楽器を奏でた結果であるとも言えます。

もっとおおざっぱに言うと、今聞こえた自分の声は過去の産物なのです。

その瞬間の自分の感情やカラダの使い方、そして周囲の環境なども影響し合って
その瞬間だけにしか発することができない音なのです。
(だから「あのときの声で読もう」が上手く機能しないんです)

そんな音を確認しながら読むこと、つまり自分の声を聞くという行為は、
過去に執着していることとも言えます。

 

フィードバックも過去のこと

声だけに限ったことではありません。

自分の感情やカラダの使い方がどのように機能しているかは、
実は毎瞬毎秒フィードバックを受け取っています。

具体的なものとしては・・・

重いものを持ったあと腕に疲れを感じたり、
大声を出したあと喉に張りを感じたり、
長時間パソコンに向かったあと首や方に凝りを感じたり、

ところが、私たちはそれを全て処理しているわけではありません。

例えば、大好きなことに集中している時はパソコンに向かっていてもあまり疲労は感じません。
休憩を挟んだ途端、凝りを感じることってありますよね。

カラオケで歌っている時は楽しくて何ともないのに、
お店を出た途端、喉がカラカラしてきますよね。

集中したり夢中になることで、エネルギーを使っているので
フィードバックを受け取ってしまうとアクションが中断される恐れがあるために
それを処理しないように選別しているのです。

最も具体的で分かりやすいフィードバックは「痛み」です。

これも、その瞬間のカラダの使い方に対するフィードバックの一種です。

その瞬間のカラダの使い方が、人間の身体の構造に反する使い方であったが為に
カラダは痛みというシグナルを発生させて知らせてくれています。

その痛みは今現在のカラダの使い方ではなく、少し前の瞬間の使い方に対してのフィードバックです。

例えば、腕で「痛い」と感じたとき、それが発生した瞬間から脳がキャッチするまで
瞬間的ではありますが伝達の時間が発生します。

脳が「痛い」と感じたときには、腕では違う痛みが発生しているのです。

感じたときにはすでに別の新しいことが起こっているのです。

つまり、感覚は遅れてやってくるのです。

 

自分の経験を信頼する

感覚やフィードバックは過去のこと、ということは
原稿を読んでいるときに聞こえる自分の声も過去のことなんですよね。

さて、自分の声を聞きながら原稿を読む、ということに戻ってみましょう。

実際、自分が発している声を聞いて判断できるスキルは重要です。
それができなければ読みながら修正することは不可能ですから。

ところが、その修正を前提として、常に自分の声を聞き続けている必要はあるのでしょうか?

フィードバックを受け取り続ける必要はあると思いますか?

先ほどの集中時のように、脳は受け取るべきフィードバックを選別してくれます。

この選別の基準となるのは自身の経験。

それに基づいて、必要なフィードバックがあったときは逃さずにキャッチしてくれるのです。

今こうしてこのブログを読んでくださっているあなたにも
まさに今この瞬間に何千、何万というカラダの使い方に対するフィードバックが生まれています。

その中から本当に必要なことだけを受け取ることができるのです。
(ホント、人間って凄いです)

とすると、自分の声を聞き続けながら原稿を読むと言うことは、
自分の経験を信頼していない証拠なんじゃないでしょうか?

心配せずとも、自分がこれまで取り組んだ練習やレッスンで学んだことを信頼しましょう。

あなたのこれまでの経験が、本当に必要なフィードバックだけをキャッチしてくれます。

読んでいる最中に修正する必要がある事態が発生したならば、
あなたの脳は逃さずキャッチしてくれるはず。

感覚は遅れてやってくるものですから、放っておきましょう。

「あの上手くいった時の感覚で読もう」なんて危険きわまりないですよ。

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