『「思い切りの良さ」と「数学」と「ナレーション」』の最後で触れた
「回線をひらく」が今回のテーマです。

 

Actors's Rings SYMBION でお世話になっている樋口さんも
「役者としての回線がひらくまで稽古しなさい」とよく言われます。

いわゆる「身体で覚える」に近いことであると思いますが、
「ひらく」という言葉が持っているイメージがなんだか好きです。
新しいステージに行く、みたいな感じがして。
(なので、あえて私は「開く」ではなく「ひらく」を使っています。)

「回線をひらく」という言葉がとても興味深いですし、
カラダでは一体どんなことが起こっているのでしょうか?

また、カラダで起こっていることを、本人がそれを知覚しているかどうかでも、
質が大きく変わると思うので、改めて考えてみました。

「回線をひらく」とは?

さて、理科や生物の授業で「パブロフの犬」について習いませんでしたか?

パブロフが、犬に餌を与える前にベルを鳴らしました。
それを繰り返しているうちに、犬はベルが鳴ると涎がでるようになったというもの。

条件反射の例として有名ですね。

反射とは、特定の刺激に対する反応として意識せずとも起こること。
条件反射とは、経験や訓練によって後天的に獲得した反射のことを言います。
「回線をひらく」というのは、この「条件反射」と同じようなことではないかと思います。
つまり、生まれながらにして持っているものではなく、後天的に身に付けることができるものなのです。
(才能も後者になると考えます)

では「回線をひらく」とか「身体で覚える」ことが具体的にどういうことでしょう?

 

瞬時に実行する能力を養う

例えば、自分自身にディレクションを送ったとして、その指令は神経細胞を通じて、対象の場所に届きます。
「右手を動かす」とか「歩く」という、日常生活の何気ない行動でも同じようなことが起こっています。

ディレクションが伝達されるとき、神経細胞の軸索と呼ばれる部分を通ります。

この伝達スピードが速ければ速いほど、行動が実行に移されるまでのタイムラグが少なくなります。

そしてこのタイムラグは、行動を実行に移す前に、余計なことを考えさせたりするのに十分な時間なのです。

つまり、行動する前に色んなことを考えたり、余計な動作を加えて、本来の行動を邪魔してしまうのです。
(そして、そのほとんどが無意識で起こります)

このタイムラグを少なくすることが、「回線をひらく」ことだと思うんです。

つまり、条件反射的にパフォーマンスに必要十分なことを瞬時に実行する能力を養うこと。

役者だけに限らず、声優やナレーターにも大きく当てはまると思います。

皆さんもそんな能力が欲しいと思いませんか?

もちろん誰でも手に入れられる能力です。
その方法は「継続して練習・稽古すること」

なんだ、結局練習か…

そう感じるかもしれませんが、実際のところ、すぐ上手くなる方法やすぐ売れっ子になる方法はありません。

もし存在しているなら、世の中エキスパートや売れっ子だらけですから。
で、やっぱりその中でも飛び抜けている人が最前線で活躍していることになると思います。

 

練習・稽古をアップデートする

そこで、練習や稽古に少しでもモチベーションを持っていただけるように、今回アップデートして欲しいのは、練習や稽古について。

練習や稽古を科学的に考えてみましょう。

先ほどの軸索の話に戻ります。

何かの行動をするとき、脳からの指令が神経細胞の軸索を通るわけですが、繰り返し同じ神経細胞を通ると、その伝達経路をよりスムーズに通すことができるように、カラダは変化を起こします。

軸索の周りには髄鞘と呼ばれる絶縁性をもった層があります。(ミエリン鞘とも言います)
この絶縁性の髄鞘は、指令の経路伝達がより高速に行われるために軸索を包んでいます。

繰り返し練習することで、経路伝達をさらに効率よくしようとする現象が起きます。
髄鞘化という現象で、軸索を覆う髄鞘の層がさらに厚くなり、より絶縁性を高めます。
そうすることで、神経細胞の経路伝達はより高速化されるのです。

アスリートが日々繰り返し練習に励むのは、髄鞘化により、瞬時に・的確にパフォーマンスを引き出すための行為なのです。

アスリートのような繰り返しの練習は、声優・ナレーターだけでなくすべてのパフォーマーに有効です。

本番で、瞬時に・的確なパフォーマンスを引き出すことができるようになるわけですから。

反復練習を続けていると、いずれはつまらないと感じるようになります。
成果も見えづらいですし。

それを、髄鞘化のために繰り返し練習をしているんだと考えれば、いつか望み通りの結果を手に入れられるはずですよね。

そうすると、つまらない反復練習にも継続して取り組むことができるモチベーションにも繋がるのではないでしょうか?

今回紹介した記事はこちら

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