出したい音域があるなら、まずは「たくさん聴く」

 

テレビでオンエアされているナレーションを聴いていると「この音使いいいなー」とか「こんなに高低差あるの!」とか思うことってありますよね。

真似したり、自分のナレーションに取り入れたいなと思ったりすることもしばしば。

ですが、本当に自分の表現の一部として取り入れるには、自分の中に落とし込むことが必要です。

 

 

自分の使い方に関する誤解

多くの場合、いいなと思った表現を「引き出しに入れる」ということをします。

引き出しにさえ入れておけば、自分の表現としていつでも取り出すことができる、という考えに基づいてのことだと思います。

ところが、大きな誤解があります。
多くの人は「自分がやりたいことを知ってさえいれば、いつでもそのようにできる」と考えがち。

実のところ、実際に使うことは簡単ではありません。

私たちは常にたくさんの情報に触れているので、古いものは引き出しの奥に追いやられていきます。
そのせいか、引き出しに入れたことすら忘れてしまうのですから。

 

取り出すことができても使えない

だったら、引き出しに入れたことを忘れないようにして、いつでも取り出すことができるようにしておけばいいんでしょ?

そう思われるかもしれません。

さて、これまで皆さんご自身のパフォーマンスを思い出してみてください。

引き出しから取り出すことができたことを練習や本番で上手く使うことができましたか?

できなかったことが多くありませんか?

それもそのはず、引き出しから取り出すことと、それをアクション(行動)にすることは全く異なる行為だからです。

全く異なることをしているので、上手く行かないのはごく当然のことなのです。

 

 

たくさん聞く、見る

さて、引き出しに入れたものについて考えてみましょう。

引き出しに入れた「いいな」と思った表現、これはあくまで結果でしかありません。

ナレーションならナレーターが、演技なら役者が、
自身の感性で組み立てたプロセスを経てアクションされた結果です。

引き出しから取り出したものをそのままアクションにすることができないのは
プロセスが考えられていないからです。

ではプロセスを真似すればいいんでしょ?と思われるかもしれませんが
それはほぼ無理に近いと思います。

表現におけるプロセスを構築するための感性は、その人自身のこれまでの経験や人生の積み重ねで作られたものだからです。

その人とあなたとでは、過ごしてきた時間や環境が全く異なりますから
感性を真似することは非常に難しいです。

だからといって、いいなと思った表現を永遠に自分の表現に取り入れられないわけではありません。

「感性を近づける」ことは可能です。

そのためには、いいなと思った表現にたくさん触れることです。

ナレーションならたくさん聴く、演技ならたくさん見る、ということです。

まずは、プロセスについては考えずに、たくさん聴いてください。(見てください)

たくさん触れることで、結果としての表現が自分の中で明確になってきます。

いいなと思った表現が、自分のイメージとしてはっきりと持つことができるようになってきます。

 

 

その差を埋める

とにかくたくさん触れて、イメージをはっきりと持つことです。

イメージをはっきりと持つことができたと思ったら、あとは実験あるのみ。

自分がイメージしたとおりの表現をする
↓
結果を聴く(見る)
↓
違いを知る
↓
違いを埋めるための方法を探る
↓
その方法を採用して、自分がイメージしたとおりの表現をする
↓
結果を聴く(見る)
↓
繰り返し・・・

結果を聴いたり見たりするためには、録音や録画は欠かせません。

この実験の繰り返しをすることで、だんだんとその人との感性を差を埋めてくれるのです。

当然、すぐには近づくわけではありませんが
時間をかけて取り組む価値はあると思います。

その過程の中で、これまで使っていなかった自分の中の回路がひらく瞬間に出逢えることがあります。

それが自分だけのオンリーワンの表現につながる瞬間だと思うのですが
なかなかそんな瞬間には会えないんですよね。

だからといってただ回数だけをこなせばいつかは・・・というわけではありません。

私は、回数を重ねてストイックに取り組めば、その分だけ上達するというのは迷信だと思っています。

自分に厳しく取り組むよりも、自分が楽しく取り組んでいるかのほうが
上達も早いと思います。

 

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