歌声が小さいので声量を大きくしたい女性とのレッスン

ある時、1人の女性が私のレッスンに来てくれました。

趣味で歌を習っているアスカさん(仮名)は、二〇代前半の女性で、こんなことに悩んでいるとお話してくれました。

アスカさんは、こんな悩みや望みを持っていました。
・先生からいつも歌声が小さいと言われる
・「声量を大きく」、「もっと声を出して」と言われるのでそれをやっている
・それでも「声が小さい」と言われる

アスカさん
趣味で歌を習っているんですが、先生からはいつも声が小さいと言われてるんです。それ以外はいいのにもったいないと言われて・・・

トクガワ
そうですか。声が小さいことについて先生からはどんなアドバイスをもらっているんですか?

アスカさん
「もっと声量を大きく」とか「もっと声出して」とか、そんなアドバイスをもらっています。
自分ではやってるつもりなんですが、先生からはいつも「声が小さい」と言われてしまうんです。

トクガワ
なるほど。では一度いつも通り歌ってみてもらっていいですか?できればいつも歌っている歌やいま取り組んでいる曲の1フレーズを歌ってもらえると嬉しいです。

アスカさん
わかりました。・・・(アスカさん、中島みゆきさんの『糸』のワンフレーズを歌う)

トクガワ
ありがとうございます。今、どんなことを意識して歌いましたか?

アスカさん
いつも先生に言われているとおり、声量を出すことを意識しました。

トクガワ
声量についてはどうでしたか?出ましたか?

アスカさん
いつも通りだったと思います・・・

トクガワ
そうですか。ではいつも歌っているのと比べると、とあまり変わらなかったように感じたわけですね。

アスカさん
はい、そうです。

トクガワ
今歌うとき、声量を出すことを意識されたとのことですけど、具体的に何をしていましたか?

アスカさん
息をたくさん吸い込みました。

トクガワ
そうですよね。歌い始める前にそうやったのが私にも見えました。

アスカさん
でもあまり声量も変わらないし、先生は「もっと出して」とか「もっと大きく」とかしか言ってくれないので、どうしていいかわからないんです。

トクガワ
そんなアドバイスじゃわからないですよね。
ところで、歌い始める前にたくさん息を吸い込んでいるのが、実はアスカさんの歌を邪魔してるとしたらどうしますか?

アスカさん
えっ?たくさん息を吸い込むことが邪魔してるんですか?

トクガワ
歌うこと、つまり声を出すと言うことだけで考えてみると、必要なのは「息を吸うこと」と「息を吐くこと」のどちらでしょうか?

アスカさん
「息を吐くこと」だと思います。

トクガワ
そうですね。では、アスカさんが歌うとき、「息を吐くこと」についてどのくらい考えたり意識していましたか?

アスカさん
あ・・・、全く考えていなかったです。それに息をたくさん吸うことばかり考えていました。

トクガワ
ではもう一度同じフレーズを歌ってみてもらいたいのですが、今度は歌い始める前に息を大きく吸い込むことはやらなくていいので、その分「息を吐く」ことをたくさんやってみてください。

アスカさん
はい、わかりました・・・(アスカさん、もう一度同じフレーズを歌う)

トクガワ
おぉっ!!違いましたね?

アスカさん
はい!違いました!!

トクガワ
それは嬉しい違いでしたか?

アスカさん
はい!

トクガワ
どんな違いがありましたか?

アスカさん
さっき歌ったときよりも、ものすごく声が出しやすかったです!それに自分でも声が大きくなったのがわかりました!

トクガワ
そうですね。私もさっきの歌声とは随分違う大きさに聞こえましたし、その分、伝わってくるメッセージも違いましたよ。

アスカさん
「息を吐く」ってことを意識しただけなのに、どうしてこんなことが起こったんでしょうか?

トクガワ
実はこれまで、アスカさんがやっていた「大きく息を吸い込む」というのがカラダの邪魔をしていたんですね。それが起きないように「息を大きく吸い込む」とは反対の「息を吐く」ことをしてもらったわけです。

アスカさん
たったそれだけですか?

トクガワ
たったそれだけのように感じるかも知れませんが、アスカさんは「息を大きく吸い込む」ということは必要な事だと思っていませんでしたか?

アスカさん
大きな声を出したり、長く息を続かせるために必要だと思っていました。

トクガワ
そうですよね。私はアスカさんが持っていたその信念を変える必要があると考えました。

アスカさん
どうしてですか?

トクガワ
歌うときのアスカさんのカラダの使い方を見ていて、「息を大きく吸い込む」ことがカラダ全体の邪魔をしていたからです。

アスカさん
どんなことが起きていたんでしょう?

トクガワ
うーん、できればそのことはお伝えしない方がいいと思います。今、アスカさんはそれをすることは歌うことができたんです。なのに不要なことを伝えてしまうとそれに意識が向いてしまい、それをやらないように余計な努力をしてしまう恐れがあります。

アスカさん
でも知りたいです。

トクガワ
それを知ってどうするんでしょうか?

アスカさん
それが起きないように気をつけます。

トクガワ
と言うことは、またそれが起きるような事をしてしまいますね。

アスカさん
どうしてですか?

トクガワ
仮に私がそれをお伝えしたとしたら、アスカさんは「それをしないようにする」わけですよね?

アスカさん
はい、それが邪魔しているならそれが起きないようにした方がいいと思います。

トクガワ
残念なお知らせですが、「それが起きないようにする」ことで、それが起きるようになります。

アスカさん
どうしてですか?

トクガワ
私たちの脳は否定形を理解できないからです。「それが起きないようにする」という考えや意識は、「それ」の部分だけを取り上げてしまい、結果として「それ」のためにカラダを使おうとしてしまいます。

アスカさん
なんだか難しいですね・・・

トクガワ
きっとアスカさんにもその経験はあるはずです。例えばこれまでに緊張したことはありますか?

アスカさん
はい、もちろんあります。

トクガワ
その時「緊張しないように」と考えたことはありますか?

アスカさん
いつも考えます。でも余計に緊張してしまって・・・

トクガワ
まさにその通りじゃないですか。

アスカさん
言われてみればそうですね。「緊張しないように」と考えれば考えるほど緊張してしまいます。

トクガワ
否定形を使うと、具体的な行動を伴うものがないので「緊張」の部分だけが強く印象に残るんですね。だから余計に緊張してしまうんです。

アスカさん
だから、私が「それ」を知ってしまうと余計に「それ」をしてしまうようになると言うことですね。

トクガワ
そうです。だから私は別の提案をしたんです。

アスカさん
それが「息を吐く」ことですか?

トクガワ
その通りです。起きて欲しくないこととは別の具体的な行動をすることで、間接的に起きて欲しくないことを起こさないようにするわけです。
今、アスカさんは「息を吐く」ことを意識したら、結果として、息を大きく吸い込むときに起こっていた「それ」が起きなかったわけです。

アスカさん
だから「それ」の正体は知らない方がいいということですね?

トクガワ
その通りです。今のアスカさんには不要なことですし、邪魔をしていたことです。しかもそれまでアスカさんは「それ」に気づいていませんでした。なのにわざわざ「それ」を知ることのメリットは一切ないわけです。

アスカさん
そうですか。じゃぁ知らなくてもいいです。

トクガワ
わかって頂けて良かったです。

アスカさん
はい、よく分かりました。

トクガワ
今回お渡ししたアイディアは、これからも使うことができそうですか?

アスカさん
はい。ちょうど来週に会社でプレゼン大会があるんです。上司からはこれで声がもっと出ればな・・・と言われていたので「息を吐くこと」を意識してやってみます。

トクガワ
いいですね。もし良かったらその結果を聞かせてもらえるのを楽しみにしています。

アスカさん
はい!ありがとうございました!

トクガワ
ありがとうございました。

今回のレッスンについての解説はこちら

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