こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
カラオケで歌を歌ったり、演劇でセリフを言ったり、人前で話した経験がある人は、こんなことを言われたことはりませんか?
「もっとお腹から声だして!」
ネットや本で発声について調べても「お腹から声を出す方法」はたくさん見つかりますよね。あなたも試したことがあると思います。
その一方で、不安になっていませんか?
・「お腹から声を出せ」と言われたけど何をしていいかわからない
・練習しても、お腹から声を出す感覚がわからない
・詳しく教えてくれる人がいない
こんなことに困っていませんか?
実際にLINEでもこんなメッセージをいただきました。
お腹から声出したらいい、ってよくネットで見るんですが、その感覚がよくわからないんです。
私はこう返事しました。
「お腹から声を出す」については無視してかまいません(笑)お腹から声は出ませんから。
今回は、お腹から声を出す感覚がわからないあなたに、お腹から声を出さなくても大丈夫だということを知っていただきつつ、お腹から声を出すことよりも大切にして欲しいことをお伝えします。
魅力的な声になりたいなら確実におさえて欲しいポイントですよ。
- そもそもお腹から声は出ない
- 「お腹から声を出す」とは?
- カラダの構造に沿った使い方で声を出す
本当にお腹から声が出るの?
「お腹から声を出しましょう」
カラオケで気持ちよく歌いたい、演技や舞台で大きな表現をしたい、人前で話す時でも堂々としたい、というように声を使って何かをする人は一度は言われたことがあるはずです。
発声練習やボイストレーニングに通って先生の言われたことがある人もいれば、本やインターネットで調べた情報から得た人もいるし、セミナーや研修の講師からそう聞いた人もいるでしょう。
とにかく「お腹から声を出す」ことを推奨している人はたくさんいるんですよね。そのせいもあってか、声を出すことには欠かせないことのように考えられています。
私のレッスンに来てくださる方にも「声について大切なことって何だと思いますか?」と質問すると8割の方は「お腹から声を出すことですか?」と答えます。
こんな風に一般的に知られていることではあるんですが、その一方でこんな風に悩んでいる人も多いんです。
「お腹から声を出す感覚がつかめない、わからない」
こんな風に困っている人もたくさんいるんですね。きっとあなたも同じことが気になっているんじゃないですか?
お腹から声を出す感覚がつかめない、わからないことであなたが困っているとしたら、あなたは一生困り続けることでしょう。
なぜなら、あなたのカラダはお腹から声を出すことができないからです。
もちろん、私もできません。人間のカラダはお腹から声を出すことができない構造をしているんです。
にもかかわらず、お腹から声を出そうとしている人が山ほど居ますけどね・・・できるわけがないんです。
だからあなたがお腹から声を出す感覚がつかめなかったとしても、それは正常なんです。
お腹から声を出すことは、発声の邪魔でしかない
私たちのカラダはお腹から声を出すことができるような構造をしていません。つまり「お腹から声を出す」というのはカラダの構造に反した使い方なんですね。
そして、カラダの構造に反した使い方は、カラダの機能を制限してしまいます。これはあなたにも私にも、他の人たちも同じで、人間のカラダのメカニズムです。
あなたのカラダはお腹から声を出すことはできないのに、お腹から声を出そうとすることで余計な力を入れることになり、カラダの可動性や柔軟性などのさまざまな機能を制限してしまいます。つまり、お腹から声を出すことは発声の邪魔に繋がるのです。
そのことを理解せずに、今あなたががんばっている練習を続けた場合、どんなことが起こると思いますか?
あなたはカラダの構造に反した使い方を練習していることになり、一生懸命になって発声の邪魔をする練習を続けているわけですね。
そのうち、カラダがそれを覚えていくでしょう。すると意識せずともできるようになります。発声の邪魔が。
それでもあなたは「お腹から声を出す」ことを練習しますか?意識しますか?
カラダの構造に沿って声を出す3つのステップ
お腹から声を出すことが発声の邪魔に繋がるなんて、あなたは初めて知ったかもしれません。
せっかくなのでこれを機に、カラダの構造に沿って声を出すことを練習してみてはいかがでしょうか?
お腹から声を出さなくても、確実にあなたの声は変わりますよ。
では、お腹から声を出さなくても、あなたの声が確実に変わる方法についてお伝えしていきます。
ステップ 1 発声の仕組みを知る
まず、欠かせないのは発声の仕組みを知ることです。
私たちのカラダは声を出す機能を持っていますが、どこで声が生まれているか、どうやって生まれているか知っていますか?
レッスンでこんな話をすると、実はあまり意識したことがないという人が多くて驚きます。
もしあなたもどこで声が生まれているか、どうやって生まれているかをあまり意識したことがないなら、この機会に詳しく知っておきましょう。
私たちの声は喉頭と呼ばれる部分で生まれています。喉頭には息の通り道があります。息の通り道は肺から口に繋がっています。
特に私たちが「喉」と読んでいる部分ですが、ここには息の通り道となる気道の入口があります。図で確認しておきましょう。
これは喉の部分の断面を横から見た図です。前側にある大きめの空間が喉頭と呼ばれているところです。この下に繋がるのが気道で、さらにその下方にある肺に繋がっていきます。これが空気の通り道ですね。
喉頭には声帯ヒダと呼ばれるものがあって、この隙間は開いたり閉じたりすることができます。普段、息を吐いたり吸ったりするときは声帯ヒダの隙間は開いているのですが、息を吐く時に声帯ヒダの隙間が閉じられると、そこに息がぶつかって声帯ヒダが振動します。そうすることで音が生まれます。音の素が生まれるのは喉頭なんです。
音はそのまま息の流れにのって口のほうまで伝わり、口の中や舌で整えられて声となってカラダの外に出て行くわけです。
私たちの声はこうやって生まれているのあって、決してお腹から出ているわけではりません。
ステップ 2 カラダの構造に沿って息を吐く
声がどうやって生まれているかを知ったら、次のステップに進みます。
あなたは「お腹から声を出す感覚がわからない」ことで悩んでいるわけですから、「こんな声が出したい!」という望みがあるわけですよね?もしくは、声が小さい、声が通らない、歌声が安定しないなど解決したいことがあるわけですよね?
先ほど説明したとおり、声は声帯ヒダの隙間の閉じることと息を吐くことが同時に起こる必要があります。そしてこの仕組みにおいて考えると、あなたが望んでいる声を出すならこれからお伝えするどちらのアプローチすべきかを考えてみて欲しいのです。
私たちは声帯ヒダの隙間を閉じたり、その緊張具合を変えることで声の音程を変えることができます。そして、息の量やスピードを変えることで声の大きさを変える事が出来るのです。
まれにイメージしづらい方がいるのでその方にはギターを例にお伝えしたりしています。ギターで音を出す仕組みにあてはめると、弦の緊張具合を変えるのは声帯ヒダの周辺の筋肉の仕事、指で弦を弾くことは息の仕事ということになります。
あなたがの望んでいる声を出すなら、あなたの悩みを解決するなら、次の2つのアプローチのうち、どちらを採用しますか?
A. 弦の張り具合を変える
B. 息の量やスピードを変える
どちらの方法を採用すればあなたが望んでいる通りの声が出ると思いますか?
あなたが望んでいる声を出すためにはどちらが必要だと思いますか?
ギターで大きな音を出そうとすると弦を弾くときの強さを変えますよね?
私たちの声でいうと、息の量やスピードで変えるべきものなんですが、多くの人は弦の張り具合で変えようとしています。それではいつまで経っても変わらないんです。私はこれがいわゆる喉声ではないかと考えています。
それだけ、息を吐くことができていない人が多いということですね。
だから息を吐くことについてもう少し知識を持っておいて欲しいのと、カラダの構造について息を吐くことを意識してください。
カラダの構造に沿って息を吐くことについては、何度か取り上げているのでそちらで詳しく知ることができます。
詳しくはコチラの記事を読んでいただくとして、ここでは大まかに解説しておきます。
息を吐く時に意識すべきポイント、実際にお仕事をして欲しいのは呼気筋と呼ばれる筋肉たちです。これらは息を吐く時に働くものです。
胸部にある内肋間筋と最内肋間筋、腹部にある腹横筋と内腹斜筋、外腹斜筋が主要な呼気筋とされています。
声を出すときに横隔膜を意識している方がなんと多いことか!
呼吸と発声の関係はこんな感じ。
横隔膜を意識すると発声の邪魔の邪魔になるんですよね。
内肋間筋や腹横筋、腹斜筋がお仕事した方がラクに素敵な声になりますよ。腹筋(腹直筋)は吸気・呼気ともに意識する必要はなし。さらば腹式呼吸! pic.twitter.com/E8g6QqyevD
— ヨシトク@ボイトレさせないボイストレーナー (@YoshiTokugawa) 2018年12月3日
これらの筋肉が働くことでカラダの動きが起き、それが息を吐くことを実現してくれています。これを理解し、カラダの構造に沿って息を吐くことが、発声においては何よりも重要です。
それができなければ、あなたはカラダの邪魔をしながら息を吐いているのと同じことです。それではいつまで経っても、あなたが意図しないうちに発声の邪魔をしていることになりますからね。
ステップ 3 カラダ全体で声を出す
カラダの構造に沿って息を吐くことの重要性を理解できたら、最後のステップです。
声を出すと言うことは実はカラダ全体で行われている動きだということを理解してください。
実はアタマの先から足の先まで、発声には影響を与えているのです。
例えば、アタマと脊椎の関係性が良くないものであればカラダ全体の機能を阻害してしまいますし、腕や肩を動かさないように固めてしまうと呼吸に影響を与えます。もちろん股関節をギュッと固めたり、両脚で必要以上に力を入れていると、それだけで声は変わるのです。
あなたが声を出すときに、力を入れる必要がないのに力を入れているところはないでしょうか?
残念ながらそれは無駄な努力なのです。その無駄な努力があなたの声の邪魔をしてしまっているんです。
特に、お腹から声を出すことをやろうとしている人は、腹直筋に必要以上に力を入れてしまう傾向にあります。無駄な努力をして筋肉を緊張させてしまうと、あなたのカラダでは固める・縮めるということがおきてしまいます。そうすると声の大きさや響きが失われてしまうのはわかりますよね?
あなたのカラダは声を出す楽器です。だからカラダ全体が発声に関係しているのです。トライアングルが楽器全体に響きを伝えるように、あなたのカラダの隅々まえ響きが行き渡ることをイメージしてください。それだけでカラダはそのように使おうとしてくれます。
ただし、それを実現するためには、あなたが気付いていない無駄な努力や不要な緊張を取り除いていく必要がありますけどね。
お腹から声を出すという無駄な努力を取り除く
さて、あなたは本当にこれだけで効果があるのか?と疑問に思ってことでしょう。
本当に効果があることを知ってもらうために、ある男性社会人のとのレッスンのエピソードを紹介します。
その男性は20代前半の男性で、お腹から声を出すことについて困っていてレッスンに来てくれました。ここではその方のお名前をおさむさん(仮名)としておきますね。
そんなおさむさんは、こんな望みや悩みを打ち明けてくれました。
・気持ちよく歌を歌えるようになりたい
・「お腹から声を出す」というのがよく分からない
・ネットで得た知識をもとに「お腹から声を出さなければいけない」と考えている
レッスンを通じて、おさむさんはどんな体験をしたのでしょうか?
使い方が変われば結果が変わる
レッスンのエピソードを読んでいただけたなら、この3つのポイントを意識するとどう変化するのかを理解していただけたはずです。今回のエピソードは「気持ちよく歌を歌えるようになりた」という方とのレッスンでしたが、歌だけに限らず声を出すことならどんなことでも使うことができます。
なぜなら、使い方が変われば結果が変わるのは当然だからです。
あなたはこれまでに発声の仕組みを理解して、カラダの構造に沿って使っていましたか?
きっとそうではないはずです。
発声の仕組みを知らなくても声を出すことはできますから、声を出すときにわざわざそんなことは考えないはずです。だからこそ、そこにカラダの構造に反する動きや使い方がすでに入り込んでいる恐れがあるのです。例えば、「お腹から声を出す」とかね。
私たちのカラダは構造に反した使い方をすれば、機能を阻害するようなメカニズムがあります。どれだけカラダの構造に沿って使うことができるか?それだけで声は確実に変わるものなんです。
特に呼吸についてはいろんな呼吸法が推奨されていますけど、それらの多くはカラダの構造に反した使い方に繋がる恐れがあります。だって、私たちは肺を使って呼吸をしているのに、それ以外の場所で呼吸をするようなイメージを持つと、カラダはその通りに動こうとするんですよ。それがカラダの構造に反した使い方をしてしまうことに繋がるのです。
発声はカラダ全体が関わるものです。もしあなたが喉だけ、お腹だけで声を出そうとしているなら、それはきっと上手く行かないでしょう。
声を出すにはカラダのあらゆる部分が協力してくれるからこそ起きるものです。そのためにあなたのカラダ全体が協力してくれるような使い方をする必要があるのです。
あなたはいままでそんな風にカラダを意識して使っていたでしょうか?
今までとは違うカラダの使い方をすれば確実にあなたの声は変わりますよ。
まとめ
それでは今回のまとめです。
- 「お腹から声を出す」とは不可能なこと
- カラダの構造に沿った使い方で声を出す
- 発声はカラダ全体の共同作業
「お腹から声を出す」というカラダの構造に反した使い方をしていては、あなたが望んでいるような声を出すことはいつまで経ってもできません。
カラダの使い方を見直して、カラダ全体が発声に協力してくれる使い方を日常生活から意識していきましょう。
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声のことで困ったら
声を出すときのカラダの使い方、ココロの使い方など困ったことやわからないことがあったらご相談に乗りますよ^^ 相談したい方はぜひLINEで気軽に話しかけててくださいね!
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