こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
こないだ某番組を見ていたんですけどね、画面に映し出された絵を見て愕然としました。
「そりゃ、声帯について間違った知識を持っている人が多いはずだわ!!」
その番組の内容なんですけどね、鼻から内視鏡カメラを入れて身体の内部を検査するという企画だったんですよ。
鼻から入れられた内視鏡が鼻腔、咽頭を通って胃や十二指腸まで進んでいく様子を図を用いて説明されていたんですけどね、こんな図が映し出されていたんです。
手書きで申し訳ないw
この図を見て、私がなんで「そりゃ、声帯について間違った知識を持っている人が多いはずだわ!!」って思ったか、すぐわかりますよね。
わからなければかなりヤバいですよ?
なぜあなたはこの図の間違いを指摘できないのか?
あなたがこの『声のトリセツ』を読んでくださっているということは、あなたは声について何らかのお悩みをお持ちだと思います。もしくは何らかの望みをお持ちのはず。
その悩みを解決したり、望みを達成するために声についての情報を探しているはずです。探している時にこのサイトにたどりついてくださったはずです。
なのに、先ほどの図を見て何一つ間違った点をみつけられなかったとしたらね、あなたがこれまで手に入れた情報は意味がなかったことになります。
だって、先ほどの図で間違いをみつけられる程の情報を手に入れることができなかったわけでしょ?
それはどういうことを意味するかわかりますか?
あなたが、私たちのカラダについての正しい知識を教えてくれるサイトにたどりつくことができなかったことを意味します。
あなたがたどりついたサイトの情報の質が悪かったのかもしれません。それとも手に入れた情報のうち必要な情報をあなたの記憶領域に保存せず、その他のことを保存することを判断した基準が間違っているのかもしれません。
とにかく、今の状況であなたがどれだけ検索したり、情報を手に入れたとしても、正しい情報や役に立つ情報を残すことができない恐れがあります。
でもそれは仕方のないことなんですけどね。
今のままでは一生役に立つ情報を手に入れられない
今は山ほど情報があります。私たちは情報に溺れていると言っても過言ではありません。だってスマホでググればインターネット上の数十万件のサイトがヒットするわけですからね。
それの中からひとつひとつタップして、その情報を確認していくわけでしょ?
たったこれだけの作業ですが、結構面倒な作業です。
検索結果で上の方に表示されたサイトに行ってみてはじめて、自分とは無関係の情報だったとか、全く役に立たない情報だったとかを判断しているわけです。それを書いている人が信頼できるかどうかもわからないのに。
で、こんなことを繰り返していると、あなたが間違いを指摘できない今の状況が永遠に続くわけです。
だって電波で放送されている内容ですらさっきの図を流しているんですよ?
どの情報を信用して良いかもわからないじゃないですか!この状況を「情報に溺れている」と言わずして何という。
はっきり言って、このままじゃマズいです。あなたはいつまで経っても役に立つ情報を手に入れられない恐れがあります。
ぶっちゃけ、発声の指導をしている方の中にも間違いをみつけられない人はいると思いますよ。
そりゃ、声帯について間違った知識を持っている人が多いはずですよ。
こんな誤った知識をベースに、一生懸命発声練習したって全く役に立ちません。
なぜなら、自分のカラダにないものを鍛えようとしているわけでしょ。永遠に何も変わりません。
だって、私たちの声帯があるのは食道じゃないんですもん。
どんな情報を信じればいいのか?本当に必要な情報とは?
図の間違いについて答え合わせをしながら、あなたが役に立つ情報を手に入れるためにはこれからどうすれば良いかをお教えしますね。
先ほどの図ですが、ぱっと見、2つのことが指摘できるでしょう。いや、指摘できるはずです。
・食道に声帯がある
・気道がない
この2つを指摘できた方はきっとご自身の学び方が理想的だったか、素晴らしい先生や指導者の元で学ぶことができたんだと思います。ぜひその環境を生かして、ご自身の学びをどんどんすすめていってください。
残念ながら、どちらもわからなかった方。決して悲観しないでください。
あなたには何の落ち度もありません。あなたに教えてきた人の問題です。その方がその知識を持っていなかったか、もっていたけど教えなくてもいいと認識していたかだけの問題です。だからあなたの問題ではありません。
例えば、私たちが楽器を習うとするとね、楽器教室の先生はきっとその楽器の仕組みについて教えてくれるでしょう。どうやってその楽器が音を出すのか?その仕組みを知った上で音を出したり、構え方や演奏方法を教えてくれるでしょう。
でも私たちのカラダという楽器が奏でる声についてはね、そうじゃないんです。ほとんどの人が毎日使っています。だから楽器の仕組みについては多くはやらず、演奏方法ばかりレッスンしてしまうのです。
そんな環境で学んでこられた指導者のかたが、カラダの仕組みをあまり扱わないのは当然ではないでしょうか?
わたしは、それが発声練習やボイストレーニングだと考えています。
でも、私が必要だと考えるのは、楽器のことを理解した上でどうやって使うか?ということです。
そのためには私たちのカラダについて、ある程度の知識を持っておく必要があります。
なんせ、私は「発声はカラダ全体で行われている一大イベント」だと考えているのです。
というわけで「声帯」についての正しい知識を身につけておきましょう。
先ほどの図の話に戻りますが、声帯は食道にありません。
でも何も知らないチビッコたちがあの図を見てしまったらそんな風に信じちゃうかも知れません。一時期、「最近の子供は、魚は切り身の状態で泳いでいると思っている」とかなんとか話題になっていましたよね。スーパーで切り身ばかり見かけるから、あれが魚という生き物だと認識するようになった、みたいな。
食道は食べ物の通り道です。だから、声帯は食道にはありません。
声帯は気道にあります。そもそもさっきの図では気道が描かれていませんよね・・・。番組の企画として胃カメラのルートを描きたかったのだろうと推察しますが、だったら声帯は書かなくても良かったんじゃないかと思います。声帯を書くのであれば、せめて食道と気道を分けて示して欲しかった・・・
さて、『声のトリセツ』では私が書いた素敵なイラストを・・・・ではなく、『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』から引用した図で解説します。
『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図39.20 喉頭腔
B 正中矢状断、左外側方から見たところ
左側が気道、右側が食道です。
詳しすぎて分からない場合はこの図をシンプルにしたトクガワの手描きイラストをどうぞ。
プロメテウスの図をよりシンプルにしてみると、こんな風になります。
口から体内に入っていくと、途中で気道と食道に別れます。そして声帯は気道にあります。
声帯、いや”一般的に声帯と呼ばれている部分”にはさまざまな筋肉や軟骨があるのですが、ここでは省略しますね。詳しく知りたい方は【「声帯を鍛える」なんて無駄なこと、いつまでやってるの?】で詳しく解説していますのでそちらをお読みください。
さて、これで声帯の位置については事実に基づく知識を手に入れることができました。
でも、多くの方が誤解している事があるので、念のため、もう一つの知識もお渡ししておきます。
本当に必要な情報は、自分のカラダについての情報
ネットにはさまざまな情報があり、色んな人が色んな主張をしています。そこで大切なのが、その情報が信頼できるものかどうか?ということ。当たり前ですけど、グーグル先生は「これは90%信頼できる情報ですよ」なんて教えてくれません。その情報の信憑性を判断するのはあなた自身なんです。
そして、当たり前ですけど全くもって根拠のない情報があったり、全く役に立たない情報をさも有益な情報であるかの様に見せつけて販売している悪質な人もいます。そういえば昔、「オーディションに100%受かるコツを今だけ○万円で購入できます!」という人がたくさんいたような記憶が・・・w
でもインターネットで手に入れた情報を検証する方法なんて、わかりませんよね?
だからその情報を見分けるためのコツの様なものをお渡ししておこうと思います。
誤った情報の多くは、感覚に頼ったものが多いです。例えば「声を眉間に響かせる感覚で」とか「お腹に息を入れる感覚で」とかね。
私は、感覚に頼った情報を信じると非常に危険だと思います。なぜならその感覚が起きたののは理由があるからです。ある特定のカラダの使い方をしたからその感覚が生じたのです。
でもネットで手に入る情報の多くは感覚に頼ったものばかりで、その情報を信じる人を迷いの森に誘い込む様なものばかりあるんです。
別の例えをするなら、「明日の12時までにこの資料、イイ感じに仕上げといて!」と頭の悪い上司に言われる様なもんです。(この例え、伝わるかな・・・w)
つまり、アウトプットや結果はなんとなくその人の中にあるけれども、それについて具体的な方法やプロセスを説明される事もなく、その人のイメージ通りにつくってね、みたいな。
間違いなく上手く行くはずありません。がんばって仕上げたのに、次の日の12時に「うーん、なんか違うんだよなぁ」って言われるのがオチです。
こんな風に感覚に頼ると何一つ良い事はありません。でも、時には役に立つ事もあるので使い方を間違わない事が重要です。
私は、感覚に頼る方法よりも、私たちのカラダの事実を大切にする方法をオススメします。
例えば、さっき声帯の場所について知りましたよね?
声帯は気道にありましたよね。そして、気道があるのは首です。
私たちの首にはそれ以外にもいくつかのものがあります。
例えば、脊椎があります。
では、脊椎、食道、気道が私たちのカラダの前側からみて、どの順番にあるか知ってますか?
前から順番に、気道、食道、脊椎です。
図で見るとこんな感じ。
『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
表39.10 頸筋膜
B 正中矢状断、左外側方から見たところ
なぜこの話をしたかと言いますと、実はこの順番を間違えて認識している人に出会ったことがあるからです。
その方は、食道、気道、脊椎の順だと思っていたそうなんです。。。
カラダについての誤解が発声の邪魔をする
その方とのレッスンのエピソードをご紹介しますね。そうすればきっとカラダの事実を大切にした方がゼッタイに良いと理解していただけるはずなので。
20代後半で社会人の男性がレッスンに来られました。
「声を出すときに喉のあたりに力が入ってしまう」という悩みを抱えていた方なのですが、詳しくお話を聞いてみると、どうやら声を出すときに喉のあたりが窮屈だというのです。
お話をしている時のカラダの使い方を見てみると、確かに私も喉のあたりが気になりした。
そこでご自身のカラダについてどんな理解をしているかを質問してみました。
「私たちのカラダの首のあたりには、脊椎と食道と気道があるのですが、前から見てどんな順番であるか知っていますか?」
そうすると彼はこう答えてくれました。
「えっと、食道、気道、脊椎ですよね?」
なんと、間違えて認識していたことが発覚!
先ほど紹介した図を見ていただいて、その誤解をなくしていただきました。
その後に彼に「先ほど私に話してみた内容をもう一度話してみてもらえますか?」とお願いしてみました。
「あれ?いつもよりものすごく楽です」
なんと、レッスン開始5分で彼の悩みが解決してしまいました。
なぜこんなことが起こったのでしょうか?
誤解をなくせば、ほぼ間違いなく発声は変わる
たったこれだけのことで彼の発声が変わったのには、もちろん理由があります。
実際、私たちのカラダの首の部分には、前から順に気道、食道、脊椎があります。にもかかわらず、彼は別のイメージを持っていました。食道、気道、脊椎というふうに認識していたわけです。
私は、彼のカラダの中を見たわけではないのでゼッタイにそうとは言い切れませんが、解剖学によると人間のカラダは気道、食道、脊椎という順になっているはずなので、きっと彼もそうだと思います。
でも彼は違うものと認識していたわけ。その誤認が脳からの指令と事実の衝突を生み出していたんだと私は推測します。だから発声時に窮屈さを感じていた。そしてその誤認をなくし事実に基づいた知識を知ってもらうと、その窮屈さは見事になくなったのです。
実際に、こんな風にカラダの構造を間違えて理解してしまっているから発声の邪魔をしているという事例は山ほどあります。特に腹式呼吸を一生懸命練習している人にはまさしくそんな人が多い。
LINE@でよく質問をいただくんですけど「息が続かないんです」という相談をしてくださるかたのほとんどは、お腹に息を入れようとしていたり、胸や肩の力を抜こうとしていたりしています。それは私たちのカラダのデザインに反していることなんですけどね。
もちろん、今回紹介したレッスンのエピソードは声帯だけに限った話ではありません。
だから、もしあなたが「声帯の場所がどこにあるか?」だけを気にしているなら、声帯だけでなくその他のカラダのことについても興味を持つことをオススメします。
カラダについて誤解をもっているということは、私たちのカラダでは実現不可能な事をやろうとしているという事と同じ事で、それが無理な力を入れてしまったり、余計な緊張や余計な努力になってしまうのです。結果として、それが発声の邪魔をすることになるのです。
そもそも、このカラダのことについて知り、正しい知識を持つことってトレーニングよりも前の段階であるべきなんですけどね。いわゆる発声練習とか早口言葉などの滑舌練習とか腹式呼吸とか、いろんな発声のトレーニングなんかよりも、自分のカラダの使い方を習得するほうが先です。
みんな、大切な過程をすっ飛ばした上で発声や滑舌などのテクニックに夢中になっているので、ある程度の段階まで行くと壁にぶち当たって伸び悩むのです。
すると先生や先輩から、こんなありがたいお言葉をいただくわけですよね。
「できないのは練習が足りないから」って。
いやいや、そうじゃないってば!!
LINE@で相談いただく方にも「先輩から○○しろって言われました」って方が多いんですよね。本当、気をつけてくださいよ。先輩の中には正しい知識を持っている人はほとんどいないはずですから。
まとめ
それでは今回のまとめです。
声帯の場所は気道にある
理想的な発声が出来る人はこの3つのポイントを知っている。
・情報の信憑性を判断する
・カラダについての誤解がない
・カラダの事実に沿った情報や知識を持っている
でも実際に私たちのほとんどは、インターネットで手に入る信憑性のない情報をすぐに信用したり、カラダのことを誤解していたり、カラダの事実に反した情報や知識ばかりを持っています。
腹式呼吸とかまさにその例です。
こんな風にカラダのことをあまり知らない人が指導し、カラダのことをほとんど知らない生徒が受講しているレッスンでは色んなことがおきています。
かつてレッスン中にある先生が生徒に向けて「バカかと思った」と言い放ったことがあります。私は生徒としてそのレッスンを受講していました。とってもショッキングなレッスンでした。やがてその生徒はレッスンに姿を見せなくなってしまいました。数年後、彼から久々電話をもらい「あれ以降、鬱になってしまって・・・辞めることにしました」と聞きました。当然の結果ですよね。
こんな悲劇的なレッスンの原因になっているのは、ほとんどの場合がカラダの使い方にあると思います。生徒はカラダが構造に沿って使われていないために何らかのエラーが発生しているのに、それをうまく教師がガイドできないと、その責任を生徒に押しつけてしまうのです。
あなたも先生に叱られたり、先輩から厳しく注意されるた経験をお持ちだと思います。そのことを振り返ってみると、どうでしょうか?
そうやって指導してくれた人は先ほど挙げた3つのポイントを外すことなくきっちりとおさえている人でしたか?
残念ながら、多くのレッスンではカラダについての正確な情報やカラダの事実に沿った知識を学ぶことにあまり時間を使いません。それは「時間がかかるから」でしょう。
それは当然のことです。でも、何十年もの間、日常生活という練習の時間に繰り返してきたカラダの構造や事実に反した使い方を変えない限り、声は変わりません。にもかかわらず、すぐに変わると思っているほうがオカシイです。カラダの使い方を学び、使い方を変えるのには、時間かかるんですよ。
でもカラダのことを学んだ方が結果的にはこれが最短かつ近道なんですけどね、そのことに気づいている人のなんと少ないことか!!
最後に
ちなみに私はできるだけ「声帯」という言葉を使わないようにしています。だってこれこそ誤解を生む言葉の筆頭ですからね。
だって、人によって、声帯と聞いてイメージするものって違うと思いますよ。
詳しく知りたい方は【「声帯を鍛える」なんて無駄なこと、いつまでやってるの?】で詳しく紹介しているので読んでみてください。
そもそも「声帯って何やねん!」ってことから書いてます。もちろん私が「声帯」って言葉を使いたくない理由もね。
ま、声帯を鍛える必要なんてないですよ。それよりも大切なことはもっとたくさんあります。それが出来れば、毎日の生活の中で自然と声帯は鍛えられますからね。
ホント、発声のトレーニングって本末転倒な事ばかりですよね。
それを変えるのが私のミッションだと考えながら、発声改善士は日々奮闘していますよ。
声のことで困ったら
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