こんにちは。
ボイトレをさせないボイストレーナーのトクガワ です。

 

今回は「ゼッタイにやってはいけない発声法」の第6弾です。

「ゼッタイにやってはいけない発声法」シリーズの記事まとめはこちらから

今回テーマに取り上げるのは「胸を張ること」です。

なぜなら、こないだLINEでこんな質問をいただいたからです。

「今習っている先生から、胸を張って、胸を反らすようにして声を出した方がカッコイイからそうしなさいと言われました。」

ありえない、ありえない、ありえない!!!

幸い、質問してくださった方も先生の指示には疑問を持っていたそうです。だから私にLINEで質問してくださったとのこと。ホント、質問してくださって良かったです。

どうやらその先生はオペラや声楽出身の方のようです。

いるんですよ、こういう方が。

私たち人間のカラダの構造を無視してカッコイイとかキレイとかいう個人的な主観に基づいてレッスンをしたりアドバイスやダメ出しをしている人が

そのお陰でどれだけ生徒の可能性や将来、表現の自由を奪っているか、いい加減自覚して欲しいです。

そんな方がインターネット上にボイトレや発声法をアップするから、10代、20代の夢見る若者たちが悩むんです。

「ネットで見つけたボイトレや発声の練習をしているのですが、一向にうまくならないんです・・・」って。

そりゃそうですよ。だって、自分の発声の邪魔をするような練習をしているんですから、あなたの歌や演技、表現やスピーチなどがうまくならないのは当然なんですよ。

というわけで、今回は「胸を張る」ことがどれだけあなたの声の魅力や表現の自由、あなたの可能性を奪っているかをお伝えします。

 

この記事のポイント

・あなたは、自分で発声を邪魔している習慣に気付いていない
・多くの人が推奨している「胸を張る」はあなたの声や呼吸を邪魔している
・あなたの声の魅力や能力を引き出すためには?

 

人から言われたことを鵜呑みにしていると、ゼッタイに悩みは解決しない

「胸を張ること」についてお話していく前に、あなたにお伝えしておかなくてはならないことがあります。

あなたが「声が通らない」とか「よく聞き返される」というような声やコミュニケーションにについての悩みを持っているとしたら、悩みの内容にかかわらずあなたの悩みを解決するために色んな情報を探したり試してきたりしたはずです。

でもその中にはあなたの役に立つものはなかったはずです。

なぜなら、役に立つものがあったならあなたの悩みは解決しているからです。そればかりではなく、悩みを解決した先にあるあなたが望んでいること、例えば「通る声で魅力的に話す」とか「人が聞きたくなる声になる」という悩みの奥に隠されているあなたの本当の望みが叶っているはずですから。

今あなたがこうして『声のトリセツ』を読んでくださっているということは、あなたの悩みがまだ解決しておらず、あなたの望みがまだ叶っていない何よりの証拠です。

そんなあなたにお伝えしておきたいこと。それは・・・

人から言われたことを鵜呑みにしていると、ゼッタイに悩みは解決しない、ということです。

なぜなら、世の中には役に立たないことや悩みの状況を悪化させてしまうことを平気で主張している人がいます。しかもそのことに本人は気付いていないのでたちが悪いんですよね。

しかも今はネットでの情報発信のハードルが下がっているので、人から聞きかじった方法や出所不明の情報を簡単に発信したり拡散することができてしまいます。呟いたり、シェアしたり、リツイートしたりね。

こんな風にして役に立たない情報やあなたの悩みを悪化させてしまう情報が拡散されてしまい、ググっただけで似たような情報ばかりが引っかかってしまうんです。

でも9割の方は「ネットの情報」を何の疑いもなく、根拠も確認せずに信じてしまいます。○○ボイスとか○○呼吸とかね。あんな役に立たないものをいつまでやっているんでしょうね

あなたは、ネットで手に入れた情報を鵜呑みにしていないですか?

発信している人の知識やバックグランドを踏まえた上で、その情報が信頼するにたるものだと判断したとしても、あなたは自分でその情報の本質を理解して活用してみましたか?

そして本当に役に立つと感じましたか???

そもそも、世の中の9割の人はこの過程をすっ飛ばして、書かれていることをなんとなく試して、期待している結果が出なかったかから違う情報に飛びつく。そしてまた、なんとなく試して、望んでいる結果がでない・・・という無駄なことを繰り返しているんです。

それで「悩みが解決しないんです・・・」って、当たり前じゃないですか!!

 

あなたは、毎日の生活を通じて自分の悩みを悪化させている

あなたの悩みが解決しないのには他にも理由があります。

ネットで手に入る発声方法や呼吸法は役に立たないものが多いです。なぜ私がそう言い切るかというと、私にLINEで質問をくださる方や私のレッスンを受講してくれている方がそう仰っているからです。

「ネットで調べながらエッジボイスやミドルボイスを練習していますが、これが実際に歌うときに役に立つとは到底思えません。それをやめようとしたところで何をすればいいかわかりません・・・」

「ボイトレに行っても、発声練習したりピアノの音に合わせて高い音や低い音を出すばかりで、私が悩んでいることが解決するなんて思えないんです」

こんな風に仰っているんです。

それは私にとってはごく当然のことなんです。なぜなら、毎日の日常生活の中であなたはご自分の発声を邪魔するようなことをしていて、そのことに気付いていないからです。

にもかからわず、発声練習やボイストレーニングをしていると言うことは、あなたはご自分の発声を邪魔する練習を繰り返しているようなものなんです。

つまり、毎日の生活を通じて、あなたはご自身の悩みを悪化させているようなものなんです。

だからまずはじめにあなたがしなければならないことは、ご自分で発声の邪魔をしているということに気づくことなんです。

そのことを気付かずに、あなたが自分で発声の邪魔をしているから、ボイストレーニングや発声練習しても全く役に立たないのです。

そしてそのことを知って、カラダのことについても今以上に詳しくなれば、「胸を反らすようにして声を出した方がカッコイイからそうしなさい」というような幼稚なアドバイスをもらっても、あなたは「胸を反らすようにして声を出すのは本当に役に立つのか?」ということを判断できるようになります。

 

「胸を張る」「胸を反らす」ことは、ただあなたの発声を邪魔するだけ

あなたは気付いていないかも知れませんが、あなたが声を出すときにほんの少しでも胸を張るようにしているかも知れません。

人前で挨拶したり、プレゼンしたり、歌を歌ったり、表現をしたりするときに、気付かないうちに胸を張っている可能性が高いです。そうやってあなたが気付かないうちに、自分で自分の声を邪魔しているんです。

なぜなら、義務教育や躾で「気をつけ」のようや胸を張る姿勢をさんざん強要されてきたからです。それが習慣化しているので気付いていないのです。

なぜ、胸を張ることが発声の邪魔をしているか?

それは呼吸の仕組みを考えればすぐにわかるでしょう。

私たちが声を出す上で、呼吸は欠かせません。息を吐く時に声門が閉じ、声帯ヒダが振動することで音が生まれるからです。息を吐かなければ声は出ないわけですね。

そして息を吐くと言うことは呼吸の動作に含まれていることなので、呼吸していなければ声を出すことはできないわけです。そもそも呼吸していなければ死んでしまいますけどね(^_^;)

さて、呼吸の仕組みを考えてみてください。

私たちのカラダにおいて、空気が出入りするのはどこでしょうか?

腹式呼吸が大好きな方は「お腹」と答える方が多いですが、私から言わせれば「あなたの呼吸機能はお腹で行われてるんですか?それは人間ではできないことですね」と驚きに値します。

私たちのカラダで空気が出入りしているのは肺です。あなたも私も、人間は肺呼吸をしている生き物ですからね。

さて、この肺がある場所を考えてみてください。

私たちのカラダにおいて、肺は肋骨の内側に存在しています。だから、肋骨で起きていることも肺に影響を与えるんですね。つまり肋骨で起きていることが呼吸に影響を与えるわけです。

そして多くの人が勘違いしているのですが、肺は自分自身で膨むとはできません。肺に空気を取り入れるには、その周辺のものが動き、その環境や状況を変化させることで肺に空気が入ってくるのです。

詳しく説明すると長くなってしまうので、詳しく知りたい方はnoteで公開している【呼吸のトリセツ】を読んでみてください。これを読んでいただくだけで、確実に声は変わりますよ。

 

この呼吸のトリセツで説明しているとおり、肋骨の内側の空間(胸郭)が広がることで肺に空気が入ってくるわけですね。

 

さて、「胸を張る」とか「胸を反らす」ということをしてしまうと、肋骨の動きにどんな影響を与えるでしょうか?

私があれこれ説明するよりもあなたに実際にやってみていただいたほうが理解できると思うので、次の2つのエクササイズを試してみてください。

 

【肋骨の動きと呼吸の関係を知るためのエクササイズ】
1.胸を張ったりや胸を反らせてから、呼吸を数回繰り返す
2.胸を張ったりや胸を反らせるのをやめて、「肋骨が自由に動くことができる」ことをイメージしながら、呼吸を繰り返す

 

さて、この2つの方法では、どちらの方が呼吸しやすかったですか?

きっと2の方がやりやすかったはずです。

もし1のほうがやりやすかったと感じるなら、あなたはこれまで教わってきた先生方に騙されて、嘘の情報をすり込まれているのでしょう。もしくは体性感覚がかなり鈍っているかも知れません。

私のレッスンに来てくださる方の中には、日常生活から胸を張ったり胸を反らせるようにしている方も多いです。レッスンのはじめに世間話などをしているときに、もうその習慣が出ているわけですからね。

胸を張ったり、胸を反らせたりすることは肋骨の動きを制限してしまいます。そのことが呼吸の本来の質を邪魔します。呼吸が邪魔された結果、その影響を受けるのは声です。

つまり、胸を張ったり、胸を反らせたりすることは、肋骨の動きを制限してしまうのです。

だからエクササイズで試していただいたとおり、胸を張ったり反らせるのではなく、「肋骨が自由に動くことができる」ことをイメージして声を出す方が、もっとラクに、もっと自由に、もっと思い通りに声を出すことができるのです。

さきほどのエクササイズであなたも体験したはずですよね?

 

肋骨の動きがあなたの声を変える

先ほど紹介したエクササイズで効果を体験した方も多いはずですが、もしかするとあなたは「胸を張った方が良いような気がするけど?」と思っているかも知れません。

もしそうだとしたら、かなり重症なので今すぐ私のレッスンを受けてくださった方がイイですよ。このままでもあなたは不自由を感じていないかもしれませんけど、確実にあなたの周囲の人にはマイナスの要素を与えています。

にわかには信じられないかも知れませんが、ある男性とのレッスンのエピソードを紹介しますので、それを読んでいただければ私が言っていることを信じてもらえるはずです。

レッスンに来てくださった康介さん(仮名)は、大学の演劇サークルに所属していて稽古をする一方でボイストレーニングにも通っている方でした。

 

トクガワ
初めまして。トクガワです。今日はレッスンに来てくださってありがとうございます。

 

康介さん
初めまして。康介と言います。よろしくお願いします。

 

トクガワ
康介さんは少し前にLINEで質問を送ってくださいましたよね?

 

康介さん
はい。今演劇サークルの練習とは別にボイストレーニングにも通っています。ボイトレの先生はオペラをやっていたそうなんですけど、先生から「もっと胸を張って、胸を反らすようにして声を出した方がカッコイイからそうしなさい」と言われました。

 

トクガワ
それで胸を張ることについて康介さんなりに調べられたんですよね。

 

康介さん
そうです。本を読んだりインターネットで調べてみたんですが、発声について「胸を張ることはいいことだ」というような情報ばかり見つかったんです。でも僕はそうは思えなくて・・・

 

トクガワ
ボイトレの先生が仰っていることに同意できなかったわけですね。

 

康介さん
はい。胸を張ると見栄えはカッコイイかも知れないんですけど、声を出すのが少し苦しいような気がするんです。先生にそう言っても「慣れてないからだ」とか「そっちの方がカッコイイから」というような説明しかしてもらえずに困っていました。
そんなときにトクガワさんの『声のトリセツ』を見つけてLINEで質問させてもらいました。

 

トクガワ
ありがとうございます。ボイトレの先生は康介さんが納得できるような説明をしてくれないわけですね。

 

康介さん
はい。だから先生の言っていることを本当に信じていいかどうかわからないんです。
こないだトクガワさんがお返事してくださったことをやってみると、前よりも声が出しやすくなった気がしたので、もう少し詳しく学びたいと思ってレッスンを申し込みました。

 

トクガワ
私がお送りした「胸を張ることはやめていいので、"胸が自由に動いていいよ"と思いながら声を出してみる」を試してくださったわけですね。ありがとうございます。
康介さんがどんなことに気付いたのか、もう少し詳しく教えていただきたいので質問しても良いですか?良かったら教えてください。「ボイトレの先生が言うとおりにして、胸を張って声を出すこと」と「胸を張るのをやめて、胸が自由に動いていいよと思いながら声を出すのとでは」どんな違いがありましたか?

 

康介さん
はい、お願いします。

 

トクガワ
「ボイトレの先生が言うとおりにして、胸を張って声を出すこと」と「胸を張るのをやめて、胸が自由に動いていいよと思いながら声を出すのとでは」どんな違いがありましたか?

 

康介さん
そうですね・・・ボイトレの先生の言うとおりに胸を張って声を出すと、胸を抑えつけられているような気がします。
でも胸を張るのをやめて、胸が自由に動いていいよと思いながら声を出すと、抑えつけられているのがなくなって声がラクに出せた気がします。

 

トクガワ
ありがとうございます。LINEでお返事した内容を康介さんは実際に試してみてくれて、明確な違いを感じたわけですね。

 

康介さん
はい。確かに違いました。

 

トクガワ
もし良ければもう少し具体的に見ていきたいので、一緒にやってみませんか?

 

康介さん
はい、お願いします。

 

トクガワ
もし今、何かの台本をお持ちでしたらそのワンシーンを使って実際にセリフを声に出してもらってレッスンしてみたいなと思っています。その方が康介さんにとってたくさんの学びに繋がりますからね。何かお持ちですか?

 

康介さん
はい。いま稽古しているものがありますのでそれをやってみてもいいですか?

 

トクガワ
はい、もちろんです。康介さんの好きなシーンややってみたいシーンを選んでもらって、2つ3つほどセリフを言ってみてください。

 

康介さん
わかりました。ちょっと待ってください・・・(康介さん、慌ててページをめくる)

 

トクガワ
慌てなくてもいいですよ。康介さんのペースでやってみたいシーンを決めて、準備ができたら声に出して見てください。

 

康介さん
わかりました・・・

 

トクガワ
・・・

 

康介さん
・・・(ページをめくる)

 

トクガワ
・・・

 

康介さん
決まりました。

 

トクガワ
ありがとうございます。では、お願いします。

 

康介さん
生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。どちらが雄々しい態度だろう・・・やみくもな運命の矢弾を心の内でひたすら耐え忍ぶか、艱難の海に刃を向けそれにとどめを刺すか・・・

 

トクガワ
ありがとうございます。ハムレットですね。

 

康介さん
はい、今、まさにレッスンで稽古してる内容です。

 

トクガワ
私も過去にやったことがあるので懐かしいです。
さて、今、康介さんがセリフを言ってみてどんなことを感じましたか?正解や不正解を探しているわけではなくて、ただ康介さんがカラダとか気分どんな風に感じたかを教えてもらえると嬉しいです。

 

康介さん
そうですね。ボイトレの先生で言われたとおりにやってしまうと苦しくなってしまうので、できるだけそうならないようにやったつもりです。

 

トクガワ
ありがとうございます。と言うことは、いつも康介さんがセリフを読んでいる時に近いわけですね?

 

康介さん
はい、そうです。

 

トクガワ
もう一つ教えてもらいたいのですが、今のようにしてセリフを言ったとしたら、ボイトレの先生はどう言うでしょうか?

 

康介さん
「もっと胸を張れ」と言われます。

 

トクガワ
ありがとうございます。確かにセリフの内容を考えると演出としてはアリかも知れませんが、私は発声の邪魔をしてしまうようなことならわざわざやらなくてもいいと思います。

 

康介さん
やっぱりそうですよね?でも胸を張らないならどうすればいいかわからなくて・・・

 

トクガワ
わかりました。私から提案をしますので、今度はそれをやりながらもう一度同じセリフを言ってみてもらってもいいですか?

 

康介さん
はい、お願いします。

 

トクガワ
声を出すときのカラダの使い方についての提案なのですが、康介さんは肩胛骨ってご存じですか?

 

康介さん
はい。背中にあるやつですよね。

 

トクガワ
そうです。肩胛骨は背中にあって左右にありますね。もう一度同じセリフを読んでもらいたいのですが、今度は左右の肩胛骨の間が広がることを意識しながら読んでみてください。

 

康介さん
左右の肩胛骨の間が広がる・・・ですか?

 

トクガワ
はい。もしイメージしづらかったら、左右の肩胛骨がそれぞれお互いから離れていくとうのでもいいですよ。

 

康介さん
そっちの方がイメージしやすいですね。

 

トクガワ
では、左右の肩胛骨がお互いに離れていきながらセリフを言ってみてください。

 

康介さん
生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。どちらが雄々しい態度だろう・・・やみくもな運命の矢弾を心の内でひたすら耐え忍ぶか、艱難の海に刃を向けそれにとどめを刺すか・・・

 

トクガワ
はい、ありがとうございます。さっきと比べて何か違いはありましたか?なかったら「なかった」というお返事で構わないですよ。

 

康介さん
今、ものすごく声が出しやすかったです。

 

トクガワ
それは康介さんとしては良い変化ですか?それとも悪い変化ですか?

 

康介さん
僕にとっては良い変化です。しかもさっきよりも力を使っていないのに声が大きくなっているような気がします。

 

トクガワ
そうですね。声量について私も同じことを思いました。
その他に気付いたことはありますか?

 

康介さん
表現もやりやすくなっているような気がします。もう一度やってみてもいいですか?

 

トクガワ
はい、もちろんです。今度は「左右の肩胛骨がお互いに離れていきながら、もっと自由に動いてもいい」と考えながらどうぞ。

 

康介さん
生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。どちらが雄々しい態度だろう・・・やみくもな運命の矢弾を心の内でひたすら耐え忍ぶか、艱難の海に刃を向けそれにとどめを刺すか・・・

 

トクガワ
はい、ありがとうございます。今度はどうでしたか?

 

康介さん
そうですね。やっぱり、こっちの方がやりやすいです!

 

トクガワ
いいですね。胸を張るよりも存在感はさらに増しているように見えますよ。

 

康介さん
やっぱりそうですか?今、スタジオの鏡に移った自分の姿を見ていてそんな気がしていました。

 

トクガワ
本当にデリケートな変化なんですけど、そのことに気付かれるなんてやっぱり表現者の方のセンスはすごいですね!

 

康介さん
ありがとうございます。でもどうして肩胛骨のことを思うだけでこんなに変わるんでしょうか?

 

トクガワ
それには康介さんが先生に習ったという「胸を張る」と言うことが大きく関係しています。
胸を張ると、康介さんのカラダでは具体的にどんなことが起こるでしょうか?

 

康介さん
具体的に・・・ですか?「胸を張る」ではなくて?

 

トクガワ
はい。例えば、肋骨はどうなるか?とか腕はどうなるか?とかです。

 

康介さん
スミマセン、全く考えたことがなかったです。。。

 

トクガワ
答えてくれてありがとうございます。気にしないでも大丈夫ですよ。私たちは、教師と生徒という関係性においては一方的に教師側の意見を受け入れて、考えないように教育されてきていますからね。

 

康介さん
言われてみればそうですね。先生も「言う通りにしろ」みたいなことを言うことが多いです。私は言われたことないですけど、同じレッスンを受けている人にはそう言っているようです。

 

トクガワ
それは危険ですね・・・。指導やレッスンの現場で起きていることの話は尽きませんが、今ここでは一旦置いておきますね。
さて、胸を張ることで具体的に何が起きているかというと、肩胛骨や腕を後ろに抑えつけ、肋骨の動きを邪魔します。

 

康介さん
それがどんなことに繋がるのですか?

 

トクガワ
肋骨の動きが起きることで呼吸が実現するためのものなので、その動きが邪魔されるということは呼吸も邪魔されるということですね。

 

康介さん
ということは、胸を張ると呼吸の邪魔をするということですか?

 

トクガワ
はい、その通りです。私はそう考えています。声を出すためには息を吐くという動作が必要なので、肋骨の動きが邪魔されると言うことは、発声も邪魔されるわけです。

 

康介さん
なるほど・・・それは考えたこともなかったです。

 

トクガワ
実際に今、康介さんが体験されたことですよね。

 

康介さん
確かにそうですね。先生に言われたことをやるより、トクガワさんが提案してくれたことをやった方が発声も表現もやりやすかったです。

 

トクガワ
そう言ってもらえると嬉しいです。私が提案したことは特別なことでも何でもなくて、康介さんがご自身のパフォーマンスのための能力を引き出すための提案です。私からの提案を採用すると決めた康介さんが、実践したことで得られた結果です。理解しておいて欲しいのは、私が何かしたわけではなくて康介さんがしたことなんですね。

 

康介さん
うーん・・・そういわれても、トクガワさんがいなければできなかったような気がします。

 

トクガワ
そうでしょうか?私とのレッスンで手に入れられたのは新しい知識やカラダの使い方、つまり新しいやり方を知っただけです。そして康介さんはそれを実践することで望んでいる変化を手に入れることができました。大切なのはこのプロセスなんです。

 

康介さん
プロセス・・・ですか?

 

トクガワ
はい。カラダでどんなことが起きていて、それがどんな結果をもたらすかを知れば、康介さんが望んでいる結果を手に入れるためには何をすればいいか?そのプロセスを考えることができるようになるんです。
私とのレッスンはただ提案を渡すだけではなくて、そのプロセスを康介さんがご自身で実行できる能力を育てるためのものなんです。

 

康介さん
ということは、受ければ受けるほど効果があるわけですね。

 

トクガワ
そうですね。今はネットで調べれば必要な情報がすぐに手に入ります。そのせいか、調べて知るだけで満足して、実践しない人が多いんですね。結局、いつも通りの使い方をしているので全く変化が起きなくて当たり前なんですけど、自分のことは棚に上げて、「この方法は役に立たない」とか「あの人の言っていることは信用できない」と言っているんですね。
まぁ、ネットで手に入る発声やボイトレの情報は実生活では役に立たないものばかりですけどね。

 

康介さん
私は実践したから変化が起きたわけですね?

 

トクガワ
その通りです。康介さんのように実践してみることが大切です。もちろん上手く行くときもあれば上手く行かないときもあります。上手く行けばそれでいいですけど、上手く行かなければ今度は別のものが邪魔している可能性があるのでそれに関する提案をしながら、康介さんの本来の能力を邪魔しているものをひとつひとつ取り除いていくわけです。

 

康介さん
奥が深いですね。

 

トクガワ
私もそう思います。でもそうやってご自分と向き合っていかなければ、いつまで経っても同じ事を繰り返して、全く変化が起きないんですよね。

 

康介さん
と言うことは、僕もまだまだうまくなれるってことですね?

 

トクガワ
はい。うまくなることしかできないはずですよ。今度は別のアイディアを試してみますか?

 

康介さん
はい、お願いします!!

 

 

この後、康介さんと私は色んなアイディアを試していきました。

レッスンを終えて、康介さんは「胸を張る必要はなかったわけですね。とても声が出しやすくなりました!」と仰っていました。

さて、康介さんとのレッスンのエピソードを読み終えたあなたに1つ質問をします。

あなたは「声を出すときに胸を張ること」は必要だと思いますか?

 

胸を張ることはただ発声の邪魔をしているだけ

康介さんとのレッスンエピソードを読み終えてもなお、あなたは胸を張って声を出したい方がいるかもしれません。そんなあなたのためにもう一度康介さんとのレッスンを振り返っておきます。

そうすればきっと「胸を張ることは発声の邪魔になる」ということに納得していただけると思います。

 

康介さんが私のレッスンに来てくださったのはある悩みがあったからです。

演劇サークルで稽古に励む康介さんは、サークルの練習とは別にボイストレーニングにも通っていました。ボイトレの先生には「もっと胸を張って、胸を反らすようにして声を出した方がカッコイイからそうしなさい」と言われていました。

でも康介さんとしては「それに同意できない」という気持ちがありました。その理由はボイトレの先生に言われたとおり胸を張って声を出すと「少し苦しい気がする」からです。

先生にそれを伝えても「慣れていない」や「その方がカッコイイ」というような返答で康介さんが納得のいく説明をしてもらえず、本やインターネットで調べても「胸を張ることはいいこと」と言うような情報しか見つかりませんでした。

康介さんは「胸を張る」ことで起きるご自身の発声時の苦しさと、「胸を張る」ことを正当化している意見との間での板だばさみとなり、悩んでいたわけです。

そんなとき、たまたま見つけた私のサイト。康介さんはLINEで私に質問を送ってくださいました。私がお返事したことを実践してみると、明確に違いを感じ、その方が楽な発声ができたのです。

そこでもっと詳しく知りたいと思い、私のレッスンに来てくださったわけです。

私は康介さんに実際に声を出している時のカラダの使い方を見せていただきました。そして康介さんは今稽古で取り組んでいるハムレットのワンシーンのセリフを言ってくれました。

その時、私は康介さんのカラダの使い方についてあることを見つけました。

康介さんは、声を出すときにわずかに胸を張るような動きをしていたのです。本当にわずかな動きなので、普通の方なら気付かないでしょう。おそらくそのことに康介さんは気付いていないでしょうし、ボイトレの先生に何度も言われていることがそのわずかな動きを引き起こしている原因になったのかも知れません。

もしここで一般的な指導者であれば「胸を張らないように」と提案するでしょう。もっとも、世の中の多くの指導者やボイストレーナーは「胸を張って声を出すこと」を推奨していますけどね(笑)。それが意味のないことであり、逆効果(発声の邪魔をする)なのを気付いて欲しいです。

私が「胸を張らないように」と提案しなかったのにはもちろん理由があります。

まず、康介さんがレッスンに来てくれた理由です。康介さんはLINEでのやりとりをついて、よりラクに声が出せるようなきっかけをつかみはじめているわけです。そこに「胸を張らないように」という提案をしてしまうと、康介さんは余計に胸を張ってしまいます。この『声のトリセツ』でも何度もお伝えしているとおり、否定形の表現はうまく機能しないからです。

だから私は、「康介さんが胸を張る」ということを間接的に起こさないための提案をしたわけです。

それが「左右の肩胛骨の間が広がることを意識しながら読んでみてください」ということでした。

胸を張るということは左右の肩胛骨を後ろに引き寄せることなので、この動きが腕や肋骨の動きを制限し、呼吸の質を著しく低下させてしまうんです。呼吸が邪魔されるということは、当然、発声が邪魔されるわけです。つまり、胸を張ることは発声の邪魔をしているわけですね。

私が提案した「左右の肩胛骨の間が広がる」ということは、肩胛骨を後ろに引き寄せることとは反対の動きが起きるので、結果として胸を張るような動きは起きなくなるわけです。

こうして、康介さんが声を出すときに起こっていたほんのわずかの「胸を張る」という動きが起きなくなり、康介さんの呼吸の質が邪魔されることはなくなりました。その結果、発声がラクになったというわけです。

 

私のレッスンで康介さんのような体験をされた方は「今までやっていたことは間違っていたんですね」と考えてしまうことが多いのですが、決して間違いを犯していたわけではありません。

康介さんのように、あなたはそれまでに学んだことを完璧に実践しています。だだ、あなたが悩んでいることを解決し、もっとうまくなる・もと自由に声を出す・もっと魅力的になるためには、今の完璧をアップデートするタイミングになったというだけのことです。

なんでもかんでもすぐに間違い探しをしちゃうのは、私たちの成長や学びを邪魔する習慣ですね。

なぜそうなってしまったかというと、間違い探しをお仕事にしている指導者やボイストレーナーばかりだと言うことが原因だと私は考えています。

あなたがこの記事を読んでくれているということは、康介さんのように今の完璧をアップデートするタイミングが来たのではないでしょうか?

 

まとめ

それでは、今回のまとめです。

今回のまとめ

ゼッタイにやってはいけない発声法 その6
「胸を張る」

・あなたは「胸を張って」自分で発声を邪魔している
・声を出すために胸を張る必要はない
肩胛骨を左右に広がるイメージを持つことで、あなたの声の魅力や能力を引き出すことができる

あなたにとっては新しい情報だからまだ信じられないかも知れません。

もしそうだとしたら簡単なエクササイズを通じて確かめてみることができます。

「おはようございます。今日は良い天気ですね」というような簡単な一言でいいので
次の3つのパターンを試してみてください。

A. いつも通りに話す
B. 胸を張って話す
C. 肩胛骨を左右に広がることをイメージしながら話す

きっとこの3つの方法では全て違う感じがするはずです。

そしてBの方法が一番やりづらく、Cの方法が一番やりやすいはずです。

とはいえ、すでにあなたが胸を張って声を出すことを何年も続けていたり、そもそもあなたが声を出すときに胸を張っているという事実に気付いていない場合は、この記事を読んだだけではあなたの悩みは解決しないでしょう。

なぜなら、長い時間をかけて身につけた習慣としての「胸を張る」という動きを、少し取り除いていくことが必要だからです。

ほとんどの方は、この記事を読んだだけでできるようになったつもりになってしまうんですが、人間の習慣はそんなに簡単に変わってしまうものではありません。今すぐ変えることができるものなら、あなたは今のように悩んだりしていませんからね。

「胸を張る」ようなあなたの発声を邪魔している習慣を少しずつ少しずつ取り除いていくことで、気がつくとあなたの悩みは解決していることでしょう。そんな体験がしたい方はぜひ私と一緒に学びましょう!

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