私のレッスンに、俳優をしている20代前半の男性が来られたときのこと。その方はおさむさん(仮名)といいます。

彼は、こんな悩みを打ち明けてくれました。

おさむさん
発声練習や稽古の時に「腹筋を意識して発声しなさい」と言われるのですが、それが上手くできているかよく分からないのです。

トクガワ
なるほど。別にわからなくていいと思いますよ。

おさむさん
どうしてですか?レッスンをしてくれる先生や演出担当の人にも言われるし、先輩からもよく指摘されるのでなんとかしたいんです。

トクガワ
そうですか・・・。1つ質問をさせてください。おさむさんはなぜ腹筋を意識して発声したいのでしょうか?

おさむさん
えっと、もっと通る声を出したいからです。

トクガワ
そうですよね。腹筋を意識して発声したいわけではないですよね?

おさむさん
いえ。もっと通る声を出したいので、腹筋を意識して発声をしたいです。

トクガワ
そういうお答えになりますよね。

おさむさん
変ですか?

トクガワ
いえ、変ではありませんよ。多くの方はそう考えてらっしゃいますから。

おさむさん
えっと、どういう意味でしょうか?

トクガワ
今、おさむさんの中では2つの目的があって、それがこんがらがっているんです。

おさむさん
は?私の目的は「通る声を出したい」ですけど。

トクガワ
そうですよね。でも「腹筋を意識して発声することが、上手くできているかどうかわからない」と仰いましたよね。

おさむさん
はい。通る声を出すためには腹筋を意識して発声することが必要なので、それができる必要があるからです。

トクガワ
実はそこが迷いやすいポイントなんですよ。「通る声を出したい」と「腹筋を意識して発声したい」というのは別の目的なんです。

おさむさん
でも繋がっているんじゃないですか?

トクガワ
確かに、「腹筋を意識して発声した」結果、「通る声が出る」ということはあり得るでしょう。でも、今のおさむさんは「腹筋を意識して発声すること」が目的になっています。

おさむさん
うーん、、、どう違うのかよく分かりません。

トクガワ
腹筋を意識することばかりに気をとられすぎていて、声を出すために必要なことを考えることを忘れているんです。

おさむさん
発声のためには腹筋を意識する必要があるんじゃないですか?

トクガワ
そういうおさむさんは今こうして私と話している時にどのくらい腹筋を意識していますか?

おさむさん
えっと・・・日常会話の時はほとんど意識していないです。

トクガワ
ですよね。ということは、腹筋を意識しなくても声を出すことはできるんです。

おさむさん
あ、そうですね。

トクガワ
でも人前で話をするときや、演技をするときになると、ほとんどの人は何か特別なことをしようとするんです。

おさむさん
特別なこと・・・ですか?

トクガワ
はい。例えば「腹筋を意識する」とかね。そうすることで、目的がすり替わってしまうのです

おさむさん
すり替わる?

トクガワ
人前で話をするケースを例に挙げてみるとね、人前で話をする目的というのは、聴いている人に伝えたいことがあるからという場合が多いでしょう。
でも、腹筋を意識することばかり考えて、伝えると言うことは二の次になってしまうのです。

おさむさん
なるほど・・・

トクガワ
結果、自分の事ばかり考えて、聴いてくれている人のことを全く考えていない状況に陥ってしまいます。

おさむさん
ということは「腹筋を意識する」ということは、あまり役に立たないわけですか?

トクガワ
私はそう考えています。

おさむさん
では、通る声を出したいときや大きい声を出したいときなどはどうすればいいんでしょう?

トクガワ
そうですね。聴いてくれている人に何かを伝えるために通る声や大きい声を出したいのなら、発声に必要なプロセスを見直すことをおすすめします。

おさむさん
発声に必要なプロセス・・・?

トクガワ
はい。おさむさんは、声を出すためには何が必要だと思いますか?

おさむさん
息が必要です。

トクガワ
そうですね。肺から押し出された息が声帯ヒダを振動させて声が作られますからね。その「息を押し出す」ことについて、私たちのカラダで何が起こっているかを知ることが欠かせません。

おさむさん
それが腹筋とか横隔膜を意識するというヤツですか?

トクガワ
おそらくそれを意図しているんだとは思うのですが、それだけでは不十分なんです。

おさむさん
不十分、といいますと?

トクガワ
カラダで何が起こっているかを知らないばっかりに、息を吐く時に腹筋を意識したり横隔膜を意識したりしてしまうんですね。

おさむさん
どういうことなんでしょう?

トクガワ
「腹筋を意識する」といった場合、腹筋というのはどこのことを言っているのでしょうか?

おさむさん
腹筋はここですよね?(おさむさん、お腹の前側を指さす)

トクガワ
ですよね。一般的にいう腹筋といわれているのは腹直筋ですね。

おさむさん
その腹直筋を意識するのでは不十分なんですか?

トクガワ
その通りです。腹直筋を図で見てみましょう。


引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図11.10 前腹壁,側腹壁,後腹壁の筋
A 腹壁前方と後方の筋

トクガワ
こんな風に、腹直筋はお腹の前側だけしかカバーしていません。

おさむさん
本当ですね。

トクガワ
さて、息を吐くということがどんなことが必要だと思いますか?

おさむさん
肺から空気を押し出すには・・・確か肋骨の隙間が狭まるのとお腹の空間が上に押し上げられるので肺から空気が出て行きます。

トクガワ
素晴らしい!

おさむさん
前にレッスンで教えていただいたので。

トクガワ
新しいアイディアを積極的に取り入れているようでいいですね。

おさむさん
その時はこれだけで声が変わりましたから衝撃でした

トクガワ
それまではカラダのデザインに反した使い方をしていたから、声を出す邪魔をしていたわけですからね。

おさむさん
カラダのデザインに沿った使い方をすることは大事なんだなとわかりました。

トクガワ
いいですね。では今回もカラダのデザインに沿った使い方をお教えしますね。

おさむさん
はい、お願いします!

トクガワ
お腹の空間を押し上げる、つまる腹圧を高めることで横隔膜が収縮前の状態に戻され肺から空気が押し出されていくわけですが、腹圧を高めるには腹直筋だけでは不十分なんです。

おさむさん
腹筋を意識する、というのでは不十分ということですね。

トクガワ
そうです。なぜなら、腹直筋はお腹の前側しかカバーしていません。腹圧を高めるには、お腹の横側や後も使うのがいいのです。

おさむさん
そこにも筋肉があるのですか?

トクガワ
もちろんです。お腹の横には腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋というものがあります。これらは腹直筋よりもさらに深い層にあって、お腹の周りを囲むようについている筋肉です。

おさむさん
腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋ですか。初めて聞きました。

トクガワ
そうですよね。ボイトレなど発声の指導者は腹筋が大好きですからね。また彼らもご自身の先生や師匠からそう教わっているはずしね。

おさむさん
その腹横筋とかはどこにあるんですか?

トクガワ
では図でみておきましょうか。


引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図11.10 前腹壁,側腹壁,後腹壁の筋
D 腹横筋,C 内腹斜筋,B 外腹斜筋

トクガワ
つまり、発声の時に「腹筋を意識する」よりも「腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋にも仕事をしてもらう」ほうがより効率よく息を吐くことができるわけです。

おさむさん
それがカラダのデザインに沿った使い方、ですね。

トクガワ
そうです。試しに、何か声を出してみましょうか?

おさむさん
はい。ではいつも稽古でやっている発声をしてみてもいいでしょうか?

トクガワ
いいですよ。まずはいつも通りに腹筋を意識してやってみてください。

おさむさん
はい。あえいうえおあおかけきくけこかこ・・・

トクガワ
はい、いったん止めてみてください。では次は、先ほどお教えした腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋にもお仕事をしてもらうようにお願いしながらもう一度同じ所をやってみてください。

おさむさん
わかりました。あえいうえおあおかけきくけこかこ・・・

トクガワ
はい、ありがとうございます。どうですか?

おさむさん
腹筋はあまり意識していないしそんなに力を使っていないのに、さっきよりも声がよく出てました。こんなに楽な発声は初めてです。

トクガワ
いいですね。それがカラダのデザインに沿った使い方です。
1回目に声を出してもらった時は、腹筋を意識しようとするあまりカラダの前側を固めているように見えました。腹横筋・腹斜筋にも働いてもらうようにお願いしながら声を出してもらった時は、腹筋を意識しなくなったのでそれがなくなったんですね。

おさむさん
だから声が出しやすくなったんですね。

トクガワ
そのとおりです。せっかくなので、今日、台本とかがあればどこかのセリフで試してみませんか?

おさむさん
はい!やってみたいです!

今回のレッスンについての解説はこちら

あわせて読んでおくと更に効果的です!

 

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