腹式呼吸について考える、後半です。
早速ですが前回の復習から。
・呼吸のスタートは吐くことから
・息を吸うのではなく、横隔膜が動くことで空気が入ってくる
と紹介しました。
ではその通りにやってみて、腹式呼吸について考えていきましょう。
まずは「呼吸のスタートは吐くことから」なので息を吐きましょう。
何も考えずに吐ききってください。
もう限界と思ったら、そこからあと一息、吐いてみましょう。
よく吐ききりました!
では何も考えずに楽にしましょう。
今あなたの身体に何が起きましたか?
楽にしたときに、何か起きたはずです。
そう。空気が入ってきたのです。
あなたの肺に空気が入ったのに気づきましたか?
気づけなかった方はもう一度試してみてください。
「息を吸おう」とは一切考える必要はありません。
むしろ「息を吸おう」という考えは邪魔です。
原稿との向き合い方で触れましたが、本来人間が機能として備えていることは
わざわざやろうと意識しなくても、身体は上手くやってくれます。
息を吐くときは、横隔膜が上がり肺の空気が押しだされます。
吐ききった後、身体を楽にすることで横隔膜は下がります。
そうすると肺に空気が入ってきますす。
肺は、上は鎖骨のあたりまで、下は肋骨の一番下の骨くらいまで、
肋骨の内側にあります。
肺に空気が入ると、当然肺は膨らみます。
すると肋骨もわずかに動きます。
腹式呼吸の時に「上半身は動かさないで」とレクチャーされた経験がある方も多いと思いますが、これは逆効果。
上半身を動かさない、つまり固めることで肺の膨張を制限してしまっているのです。
息を吸うと肺が膨らむわけですから、上半身も動いて当然です。
上半身を固定する必要はありません。
動いてもいいよ、と上半身に言ってあげることで肺の動きはより自由になりますから、呼吸が深くなります。
さて、横隔膜が下がることで、身体には外見的な変化が起きます。
横隔膜が下がると、その下、腹腔にある臓器が押し下げられます。
腹腔のさらに下には骨盤がありますから、それよりも下に広がることができなくなった腹腔は前後に広がろうとします。
結果として、おなかは前に出るというわけです。
このお腹の動きが、ここが誤った腹式呼吸の正体。
確かにお腹は動きます。
ですが一連の呼吸運動の結果としておなかが前に出るのです。(あるいはへこむ)
お腹を出したり引っ込めたりすることで呼吸をしているわけではありません。
では、今回のまとめ。
呼吸とは、横隔膜の上下運動により肺に空気が入るまたは出ること。
その結果、お腹が出たり引っ込んだりしています。
呼吸時にお腹を出したり引っ込めたりすることが腹式呼吸ではありません。
だから、お腹の動きに注目する必要はないのです。
結果を求めるよりも、過程を大切にした方が、より良質な結果にたどり着きます。
あなたが思っていた腹式呼吸の身体の使い方をぜひアップデートしてみてください。
あなたが持っているイメージをアップデートしてあげるだけで身体のパフォーマンスは変わるのです。