アレクサンダー・テクニークの用語の一つに「エンドゲイニング」という言葉があります。

大ざっぱにいうと、「すぐに結果を求めること」ですが、あまり具体的ではないのでパフォーマーの例を挙げて、詳しく解説していきましょう。

ここでは俳優を例に挙げましょう。

俳優の仕事は演じること。
舞台上や撮影現場でセリフを言って、役を演じます。

その役の人物がそのセリフをいう理由をクリアに落とし込めているなら、観客を惹きつける素敵なシーンになるでしょう。

ところが、演技をするときに犯しやすい間違いがあります。

それは「シーンに合うように、もしくは役の感情をイメージしながらセリフを言うこと」です。

しかも、演技中はこの間違いを犯していても気づきません。
セリフを言うことに夢中になっているせいで、気づくことができないのです。
「演技中に客観的な視点を持て」と言われる指導者が多いのはこのためです。
私は、この「客観的」というワードが曲者だと考えています。
これは演技中の自分が何をしているかに気づくことができるための視点であり、自分の演技を客観的に評価するための視点ではないと思うからです。
セリフをいうことに夢中になっていることに気づかないのは演じている本人だけ。

監督や演出家はもちろん気づきます。
彼らからダメ出しやディレクションを与えられるのですが、役者本人は何が違うのか分からず、さらに感情や気持ちでセリフをコントロールしようとします。
またダメ出しやディレクションが入り、また感情で…とダメ出しスパイラルから抜け出せなくなってしまうのです。

このスパイラルにはまってしまう原因は、俳優側にあります。

原因はもちろん「シーンに合うように、もしくは役の感情をイメージしながらセリフを言うこと」です。
この原因を生み出すさらに奥にある原因は…

・特別な訓練をしなくてもセリフを言うことができるので、「パフォーマーとして」セリフを言うための準備をしていない。

・そのセリフをいう理由が明確になっていないため、役の人物がそのセリフを発するまでの衝動が俳優にともなっていない

この二つです。

この二つが起きてしまう原因となるのが「エンドゲイニング(end gaining)」です。

結果(end)を手に入れる(gain)ことを本能が優先させているのです。
パフォーマンスに置き換えると、「セリフを言うこと」が目的になってしまっているのです。

セリフは言おうとすれば簡単に言えるものではありません。

時間、相手、関係などのいわゆる5W1H、そしてその人がなにをしたいのか?。

これらの要素があって初めてセリフが生まれます。

ですが、私たちは言葉を発しようとすればそれができるため、セリフをシーンに適した言い方で言っているような気になってしまうのです。
(書かれているセリフをただ声に出すことは簡単ですよね)

さきほどの二つは、全くそのまま声優・ナレーターにも当てはまります。

「まとまりすぎでつまらない」「予定調和」とダメ出しを受けたりするとき、まさに同じ状況です。

私たちは、練習の成果もあって、原稿に書かれている文字を読むことは問題なくできるようになっています。
だから、特に意識することなく、すぐに読むことができます。

この「意識することなく、すぐに読むことができる」というのがポイントで、
原稿を読むために必要な準備ができていないにも関わらず、読み始めてしまうのです。

これは、直したい癖が出るカラダの使い方や余計な緊張を伴ったまま原稿を読むことであり、原稿を読むための衝動が伴っていないのに読み始めることなのです。

読みのクオリティを上げたいと願うなら、スキル云々ではなく、読み始めるまでの丁寧な手順を踏むことのほうが大切です。

スキルを磨くことももちろん大切ですが、この問題はスキルだけで解決するにはあまりにも手探りで大変です。
スキルの礎となる「パフォーマーとしてのカラダの使い方」からアプローチしていく方が、より早く望み通りのゴールに近づくことができます。

そのアプローチの手順は、次の通りです。

・プライマリーコントロールを取り戻す
・目的をクリアにする
・すぐにやろうとしない
・アクションすることを選択する
・アクションする

これらのステップを一つずつ丁寧に、全て一緒に行うのがアレクサンダー・テクニークの考え方です。

そして、パフォーマンスにおいてだけでなく、実は人間の全ての行動プロセスにも有効です。

例えば、なくしたい癖がある場合も、このアプローチに丁寧に取り組むことで、より早く癖を直すことができるでしょう。
私も、フォーマンスのクオリティをあげるために学び始めたアレクサンダー・テクニークですが、日常生活における効果もありました。

例えば、コンタクトレンズでの生活が辛くなくなったこと。
コンタクトレンズを着用してパソコンに向かうと、しばらくすると目の奥と首の後が重くなったり痛みがあったのです。
そのため、コンタクトレンズをやめて度入りのPCメガネを着用していました。
ですが、アレクサンダー・テクニークを学び始めてから、コンタクトレンズでもこれまであった痛みがなくなりました。

話が脱線してしまいましたが、次回は先に挙げたアプローチの手順を詳しく取り上げていきます。

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