「本番前にドキドキしてしまうのを何とかしたい!」
「本番前に緊張するのをどうにかしたい!」
という声をよく聞きますので、本番前の緊張について考えてみたいと思います。
いざ本番に備えて、舞台袖や控え室でスタンバイ。
なんだか緊張してきたなぁ・・・
セリフ間違えたらどうしよう・・・
心配したらよけい緊張してきた・・・
まずい、心臓のドキドキがとまらない・・・
落ち着かなきゃ!落ち着け、私!!
というのは、どんどん緊張してしまって、いざ本番が始まったら
真っ白になってしまうパターンです。
緊張しないでおこうと考えるのは逆効果。
脳は否定形を理解できないということは以前触れたとおり。
緊張にフォーカスがある以上、緊張から離れることはできません。
ではどうするか?
緊張以外のことにフォーカスを向ければいいのです。
フォーカスを逸らす、ということでよく例に挙げられるのが、
ピンク色の象のことを考えないようにするには緑色の象のことを考えましょう、という例です。
・・・が、両方とも現実には存在しないのでイメージしづらいかもしれません。
より具体的な例えは、手にしているペットボトルのデザインについて考えてみたり、今日の晩ご飯のことを考えてみたり。
要は、「私は今緊張している」と認識することから離れるのです。
でも心臓のドキドキが静まるわけではありません。
ふとしたときにドキドキに気づき、「あーまだ緊張している」と思い出してしまったら、また振り出しに戻ってしまいます。
さて、ここで質問。
心臓のドキドキってあなたにとって良いことですか?悪いことですか?
悪いことと思ったあなた。
心臓のドキドキが止まったら、あなたに何が起こると思いますか?
落ち着いた状態で本番に臨めるからドキドキは止まった方がいいに決まってる・・・
果たしてそうでしょうか?
そもそも心臓は血液を身体の全体に送るためにドキドキしています。
それが心臓の仕事です。
ドキドキが止まったら、あなたは生物としての生命活動ができなくなってしまいます。
普段の生活の中で心臓のドキドキを感じられないのは、心臓は陰で頑張ってくれているから。
本番前にドキドキが分かるのは、脳が興奮状態にあり、これからのパフォーマンスに備えていつも以上に仕事をしてくれているからなのです。
全身に血液をみなぎらせて、いいパフォーマンスができるようにしてくれているのです。
ということは、本番前の緊張とは一体どういうことか?
パフォーマンスするにあたって、脳と身体がしかるべき準備をしてくれているのです。それを人は「緊張」と呼び、あたかもマイナスの状態であるかのように考える傾向にあります。
確かに口の中に乾きを感じたり、身体に何らかの変化が起きます。しかし、それが口以外にあなたの身体のどこかで来るべき本番に備えての準備をしてくれているからではないでしょうか?
そう考えると、緊張は決して悪いことではありません。
むしろ、自分の身体が自然に準備してくるている「協調作用」の一種ではないでしょうか?
本番前、心臓のドキドキを感じたら心臓の働きに「頑張ってくれてありがとう」と一言言えると、あなたのパフォーマンスは余裕あるものになるのではないでしょうか。