胸を張って声を出すと、声を出すのが苦しくなってしまう男性とのレッスン
大学の演劇サークルに所属していて稽古をする一方でボイストレーニングにも通っているおさむさん(仮名)がレッスンに来てくださったときのことです。

おさむさんは、こんな悩みや望みを持っていました。
・ボイストレーニングで「胸を張れ」と言われるが、それが良いことだと思えない
・胸を張ると声を出すのが苦しい
・ネットでも「胸を張る」ことを勧めることばかり書かれているが、信じられない

トクガワ
初めまして。トクガワです。今日はレッスンに来てくださってありがとうございます。

おさむさん
初めまして。おさむと言います。よろしくお願いします。

トクガワ
おさむさんは少し前にLINEで質問を送ってくださいましたよね?

おさむさん
はい。今演劇サークルの練習とは別にボイストレーニングにも通っています。ボイトレの先生はオペラをやっていたそうなんですけど、先生から「もっと胸を張って、胸を反らすようにして声を出した方がカッコイイからそうしなさい」と言われました。

トクガワ
それで胸を張ることについておさむさんなりに調べられたんですよね。

おさむさん
そうです。本を読んだりインターネットで調べてみたんですが、発声について「胸を張ることはいいことだ」というような情報ばかり見つかったんです。でも僕はそうは思えなくて・・・

トクガワ
ボイトレの先生が仰っていることに同意できなかったわけですね。

おさむさん
はい。胸を張ると見栄えはカッコイイかも知れないんですけど、声を出すのが少し苦しいような気がするんです。先生にそう言っても「慣れてないからだ」とか「そっちの方がカッコイイから」というような説明しかしてもらえずに困っていました。
そんなときにトクガワさんの『声のトリセツ』を見つけてLINEで質問させてもらいました。

トクガワ
ありがとうございます。ボイトレの先生はおさむさんが納得できるような説明をしてくれないわけですね。

おさむさん
はい。だから先生の言っていることを本当に信じていいかどうかわからないんです。
こないだトクガワさんがお返事してくださったことをやってみると、前よりも声が出しやすくなった気がしたので、もう少し詳しく学びたいと思ってレッスンを申し込みました。

トクガワ
私がお送りした「胸を張ることはやめていいので、"胸が自由に動いていいよ"と思いながら声を出してみる」を試してくださったわけですね。ありがとうございます。
おさむさんがどんなことに気付いたのか、もう少し詳しく教えていただきたいので質問しても良いですか?良かったら教えてください。「ボイトレの先生が言うとおりにして、胸を張って声を出すこと」と「胸を張るのをやめて、胸が自由に動いていいよと思いながら声を出すのとでは」どんな違いがありましたか?

おさむさん
はい、お願いします。

トクガワ
「ボイトレの先生が言うとおりにして、胸を張って声を出すこと」と「胸を張るのをやめて、胸が自由に動いていいよと思いながら声を出すのとでは」どんな違いがありましたか?

おさむさん
そうですね・・・ボイトレの先生の言うとおりに胸を張って声を出すと、胸を抑えつけられているような気がします。
でも胸を張るのをやめて、胸が自由に動いていいよと思いながら声を出すと、抑えつけられているのがなくなって声がラクに出せた気がします。

トクガワ
ありがとうございます。LINEでお返事した内容をおさむさんは実際に試してみてくれて、明確な違いを感じたわけですね。

おさむさん
はい。確かに違いました。

トクガワ
もし良ければもう少し具体的に見ていきたいので、一緒にやってみませんか?

おさむさん
はい、お願いします。

トクガワ
もし今、何かの台本をお持ちでしたらそのワンシーンを使って実際にセリフを声に出してもらってレッスンしてみたいなと思っています。その方がおさむさんにとってたくさんの学びに繋がりますからね。何かお持ちですか?

おさむさん
はい。いま稽古しているものがありますのでそれをやってみてもいいですか?

トクガワ
はい、もちろんです。おさむさんの好きなシーンややってみたいシーンを選んでもらって、2つ3つほどセリフを言ってみてください。

おさむさん
わかりました。ちょっと待ってください・・・(おさむさん、慌ててページをめくる)

トクガワ
慌てなくてもいいですよ。おさむさんのペースでやってみたいシーンを決めて、準備ができたら声に出して見てください。

おさむさん
わかりました・・・

トクガワ
・・・

おさむさん
・・・(ページをめくる)

トクガワ
・・・

おさむさん
決まりました。

トクガワ
ありがとうございます。では、お願いします。

おさむさん
生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。どちらが雄々しい態度だろう・・・やみくもな運命の矢弾を心の内でひたすら耐え忍ぶか、艱難の海に刃を向けそれにとどめを刺すか・・・

トクガワ
ありがとうございます。ハムレットですね。

おさむさん
はい、今、まさにレッスンで稽古してる内容です。

トクガワ
私も過去にやったことがあるので懐かしいです。
さて、今、おさむさんがセリフを言ってみてどんなことを感じましたか?正解や不正解を探しているわけではなくて、ただおさむさんがカラダとか気分どんな風に感じたかを教えてもらえると嬉しいです。

おさむさん
そうですね。ボイトレの先生で言われたとおりにやってしまうと苦しくなってしまうので、できるだけそうならないようにやったつもりです。

トクガワ
ありがとうございます。と言うことは、いつもおさむさんがセリフを読んでいる時に近いわけですね?

おさむさん
はい、そうです。

トクガワ
もう一つ教えてもらいたいのですが、今のようにしてセリフを言ったとしたら、ボイトレの先生はどう言うでしょうか?

おさむさん
「もっと胸を張れ」と言われます。

トクガワ
ありがとうございます。確かにセリフの内容を考えると演出としてはアリかも知れませんが、私は発声の邪魔をしてしまうようなことならわざわざやらなくてもいいと思います。

おさむさん
やっぱりそうですよね?でも胸を張らないならどうすればいいかわからなくて・・・

トクガワ
わかりました。私から提案をしますので、今度はそれをやりながらもう一度同じセリフを言ってみてもらってもいいですか?

おさむさん
はい、お願いします。

トクガワ
声を出すときのカラダの使い方についての提案なのですが、おさむさんは肩胛骨ってご存じですか?

おさむさん
はい。背中にあるやつですよね。

トクガワ
そうです。肩胛骨は背中にあって左右にありますね。もう一度同じセリフを読んでもらいたいのですが、今度は左右の肩胛骨の間が広がることを意識しながら読んでみてください。

おさむさん
左右の肩胛骨の間が広がる・・・ですか?

トクガワ
はい。もしイメージしづらかったら、左右の肩胛骨がそれぞれお互いから離れていくとうのでもいいですよ。

おさむさん
そっちの方がイメージしやすいですね。

トクガワ
では、左右の肩胛骨がお互いに離れていきながらセリフを言ってみてください。

おさむさん
生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。どちらが雄々しい態度だろう・・・やみくもな運命の矢弾を心の内でひたすら耐え忍ぶか、艱難の海に刃を向けそれにとどめを刺すか・・・

トクガワ
はい、ありがとうございます。さっきと比べて何か違いはありましたか?なかったら「なかった」というお返事で構わないですよ。

おさむさん
今、ものすごく声が出しやすかったです。

トクガワ
それはおさむさんとしては良い変化ですか?それとも悪い変化ですか?

おさむさん
僕にとっては良い変化です。しかもさっきよりも力を使っていないのに声が大きくなっているような気がします。

トクガワ
そうですね。声量について私も同じことを思いました。
その他に気付いたことはありますか?

おさむさん
表現もやりやすくなっているような気がします。もう一度やってみてもいいですか?

トクガワ
はい、もちろんです。今度は「左右の肩胛骨がお互いに離れていきながら、もっと自由に動いてもいい」と考えながらどうぞ。

おさむさん
生きてとどまるか、消えてなくなるか、それが問題だ。どちらが雄々しい態度だろう・・・やみくもな運命の矢弾を心の内でひたすら耐え忍ぶか、艱難の海に刃を向けそれにとどめを刺すか・・・

トクガワ
はい、ありがとうございます。今度はどうでしたか?

おさむさん
そうですね。やっぱり、こっちの方がやりやすいです!

トクガワ
いいですね。胸を張るよりも存在感はさらに増しているように見えますよ。

おさむさん
やっぱりそうですか?今、スタジオの鏡に移った自分の姿を見ていてそんな気がしていました。

トクガワ
本当にデリケートな変化なんですけど、そのことに気付かれるなんてやっぱり表現者の方のセンスはすごいですね!

おさむさん
ありがとうございます。でもどうして肩胛骨のことを思うだけでこんなに変わるんでしょうか?

トクガワ
それにはおさむさんが先生に習ったという「胸を張る」と言うことが大きく関係しています。
胸を張ると、おさむさんのカラダでは具体的にどんなことが起こるでしょうか?

おさむさん
具体的に・・・ですか?「胸を張る」ではなくて?

トクガワ
はい。例えば、肋骨はどうなるか?とか腕はどうなるか?とかです。

おさむさん
スミマセン、全く考えたことがなかったです。。。

トクガワ
答えてくれてありがとうございます。気にしないでも大丈夫ですよ。私たちは、教師と生徒という関係性においては一方的に教師側の意見を受け入れて、考えないように教育されてきていますからね。

おさむさん
言われてみればそうですね。先生も「言う通りにしろ」みたいなことを言うことが多いです。私は言われたことないですけど、同じレッスンを受けている人にはそう言っているようです。

トクガワ
それは危険ですね・・・。指導やレッスンの現場で起きていることの話は尽きませんが、今ここでは一旦置いておきますね。
さて、胸を張ることで具体的に何が起きているかというと、肩胛骨や腕を後ろに抑えつけ、肋骨の動きを邪魔します。

おさむさん
それがどんなことに繋がるのですか?

トクガワ
肋骨の動きが起きることで呼吸が実現するためのものなので、その動きが邪魔されるということは呼吸も邪魔されるということですね。

おさむさん
ということは、胸を張ると呼吸の邪魔をするということですか?

トクガワ
はい、その通りです。私はそう考えています。声を出すためには息を吐くという動作が必要なので、肋骨の動きが邪魔されると言うことは、発声も邪魔されるわけです。

おさむさん
なるほど・・・それは考えたこともなかったです。

トクガワ
実際に今、おさむさんが体験されたことですよね。

おさむさん
確かにそうですね。先生に言われたことをやるより、トクガワさんが提案してくれたことをやった方が発声も表現もやりやすかったです。

トクガワ
そう言ってもらえると嬉しいです。私が提案したことは特別なことでも何でもなくて、おさむさんがご自身のパフォーマンスのための能力を引き出すための提案です。私からの提案を採用すると決めたおさむさんが、実践したことで得られた結果です。理解しておいて欲しいのは、私が何かしたわけではなくておさむさんがしたことなんですね。

おさむさん
うーん・・・そういわれても、トクガワさんがいなければできなかったような気がします。

トクガワ
そうでしょうか?私とのレッスンで手に入れられたのは新しい知識やカラダの使い方、つまり新しいやり方を知っただけです。そしておさむさんはそれを実践することで望んでいる変化を手に入れることができました。大切なのはこのプロセスなんです。

おさむさん
プロセス・・・ですか?

トクガワ
はい。カラダでどんなことが起きていて、それがどんな結果をもたらすかを知れば、おさむさんが望んでいる結果を手に入れるためには何をすればいいか?そのプロセスを考えることができるようになるんです。
私とのレッスンはただ提案を渡すだけではなくて、そのプロセスをおさむさんがご自身で実行できる能力を育てるためのものなんです。

おさむさん
ということは、受ければ受けるほど効果があるわけですね。

トクガワ
そうですね。今はネットで調べれば必要な情報がすぐに手に入ります。そのせいか、調べて知るだけで満足して、実践しない人が多いんですね。結局、いつも通りの使い方をしているので全く変化が起きなくて当たり前なんですけど、自分のことは棚に上げて、「この方法は役に立たない」とか「あの人の言っていることは信用できない」と言っているんですね。
まぁ、ネットで手に入る発声やボイトレの情報は実生活では役に立たないものばかりですけどね。

おさむさん
私は実践したから変化が起きたわけですね?

トクガワ
その通りです。おさむさんのように実践してみることが大切です。もちろん上手く行くときもあれば上手く行かないときもあります。上手く行けばそれでいいですけど、上手く行かなければ今度は別のものが邪魔している可能性があるのでそれに関する提案をしながら、おさむさんの本来の能力を邪魔しているものをひとつひとつ取り除いていくわけです。

おさむさん
奥が深いですね。

トクガワ
私もそう思います。でもそうやってご自分と向き合っていかなければ、いつまで経っても同じ事を繰り返して、全く変化が起きないんですよね。

おさむさん
と言うことは、僕もまだまだうまくなれるってことですね?

トクガワ
はい。うまくなることしかできないはずですよ。今度は別のアイディアを試してみますか?

おさむさん
はい、お願いします!!

今回のレッスンについての解説はこちら

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