こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
会話の途中で頻繁に「えっ?なに?」と聞き返されたり、普通に話しているのに声を聞き取ってもらえなかったり。
そんな「通らない声」がコンプレックスな方は少なくありません。
聞き返されることを恐れて、騒がしい場所で自分から積極的に会話ができなくなったり、コミュニケーションが円滑にとれずもどかしい思いをしたりと、毎日のことだからこそストレスになってしまいますよね。
「通らない声」の原因を知り、そして少し意識を変えるだけで、あなたの声は改善されます。
今回は、よくやりがちな誤った練習法や、「通らない声を克服する」ためのポイントなどについてご紹介します。
・あなたの声が通らない理由
・よく言われている練習法をこなすだけでは声は通るようにはならない!
・通る声になるためには「思い込みを捨て」て、「必要なことをする」こと。
あなたの声が通らない理由
普通に会話をしているつもりなのに、「通らない声」のせいで何度も聞き返されたり、スムーズな会話ができなかったりするのはかなりのストレスですよね。
声が通らない原因は、あなたの能力のせいでも、練習不足のせいでもありません。
あなたの声が通らない原因は、あなたの口からでた空気の振動が、相手まで到達する前に消えてしまっているからです。
声や音は、あなた自身のカラダを楽器のように使い、口から出た空気が振動することで人の耳に届きます。
その振動の振れ幅が小さいと、相手のいる場所まで届けられなかったり、騒がしい場所などでは周囲の音の大きさにかき消されてしまったりするのです。
「声が通らない」といわれるあなたは、声を出すための楽器である自分のカラダを十分に使いこなせていないかもしれません。
これやっても改善されません!間違った練習ワースト3
この記事をお読みの方の中には、少しでも通る声になりたい!と、本やネットで調べて、ご自身でこっそり練習している方もいらっしゃると思います。
しかし、せっかく努力していても、その方法が間違っていたとしたらどうでしょうか。
改善は見込めないばかりか、喉を傷めてしまったり、より通りにくい声になったりする結果を招いてしまうかもしれません。
ここからは、よく聞くけれど実はNGな3つの方法を紹介します。
良かれと思って取り入れていることはないか、チェックしてみてくださいね。
腹式呼吸の練習
声で悩んだことがある方は、必ず一度は耳にしたことがあるのが「腹式呼吸」。
声を改善するためのネット記事や本にも必ずと言っていいほど「お腹から声を出しなさい」と書かれています。
しかし、実際にはお腹から声は出ません。
私たちの声は、喉の「声帯」という部分で生まれています。
声のでる仕組みについては、こちらで詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
≫ お腹から声を出す感覚がわからない人へ。お腹から声は出ませんよ!
私たちの吸った息は、口から喉、気道を通って肺に入ります。そして肺から気道をとおって、喉にある声帯で声が生まれ、口から出て「声」として届けられます。
「声を出すために必要なこと」の中に、「お腹」が一切含まれていませんよね。
カラダの仕組みに沿った知識がない状態で、必要のない「お腹」を使った「腹式呼吸」なるものを練習し続けていると、いつまでたっても声が通るようにならないばかりか、知らず知らずのうちに誤った呼吸法を身に着けてしまい、さらに良くない状況に陥ってしまうリスクが高くなってしまうのです。
大きな声を出す練習
営業や接客業など、声を使うお仕事をされている方は、「もっと声出して!」と言われることも少なくないですよね。
しかし、たくさん息を吸って、無理やり大きな声を出す練習は、あまりいいとは言えません。
無理な練習は喉を傷めてしまいますし、頑張って大きな声を出そうやみくもに練習を続けていると、余計な力を入れる癖がつき、より声を出しづらくなってしまったりします。
声が通らない、出しづらいと感じているあなたは、まだあなた自身のカラダを十分に使いこなせていない状態。
例えば、車の動かし方を知らないのに、いきなり60キロの速度で運転してください、と言われても無理ですよね。
声も同じで、カラダの使い方を知らないのに、声の大きさをコントロールするのはとても難しいことなんです。
滑舌や早口言葉の練習
俳優さんや声優さんがよくやっている、滑舌の練習や早口言葉の練習をすれば、声が通ると考えている方も多いのですが、これも誤った練習法です。
早口言葉を練習しても、早口言葉が言えるようになるだけです。
実際に話すときに、早口言葉のスピードで話したいわけではもちろんないですよね。
「通る声になりたい」というあなたの目的には、「滑舌が良くする」手段である早口言葉はミスマッチです。
目的にそぐわない練習は、いくらやっても効果が出ないという結果になってしまいます。
ボイトレに通う
これまでに挙げてきた「腹式呼吸の練習」、「大きな声を出す練習」、「滑舌や早口言葉の練習」の3つは、ボイストレーニングに通った際の主なレッスン内容です。
ボイトレのほとんどが、練習方法やトレーニング方法を学ぶもの。
しかし、あなたの声が通らない原因は、「練習をしていない」からでも、「トレーニング方法に問題がある」からでもなく、あなたの発声プロセスにあります。
あなたが声を出すとき、どんなカラダの使い方をしているか、どんな習慣があるのかといった、あなた自身の中に、発声改善のヒントが隠されています。
いくら練習やトレーニングを重ねても、今のあなたのままではなかなか効果が得られません。
まずは、あなたの発声プロセスを観察し、見直すことが大切です。
通る声になるための方法はとてもシンプル
通らない声を克服して、相手に不自由なく声を届けるための方法は、実はとってもシンプルです。
空気の振動を相手まで届けるだけ。
「それが難しいのに!」と思ったそこのあなた、それって本当に難しいことでしょうか。
あなたのカラダは、あなたが思っている以上にあなたのココロと密接にかかわりあっています。
あなたの意図したとおりに動いてくれます。
あなたのカラダをあなた自身が適切に使うことができれば、通る声は必ず出せるはずなのです。
逆にあなたが、あなた自身の声を通らないと思い込んでいてしまっては、自然とカラダもそれに合わせた動きをします。
「自分の声は通らない」という思い込みがある限り、どんな練習やトレーニングを重ねても、いつまでたってもあなたの声は通らないままです。
しかしそうはいっても、一度思い込んでしまった以上その思い込みを手放すことは簡単ではありません。
「声は通らないと思い込まない!」と思い続けても逆効果です。
思い込みを捨てるために、つぎのことを意識してみてください。
まずは、声を届けたい相手と自分の位置関係を確認します。
相手との距離はどれくらい離れているのか、周囲は騒がしいのか静かなのか、そしてあなたと相手はどんな関係性なのか。
ただ物理的な距離だけでなく、相手との関係性や、周囲の環境も含めて、どれくらいの距離感があるのかを想像してみましょう。
次に、その距離感を意識して、必要な息の量を使って声を出してみます。
どのくらいの大きさの声なら、ではなく、「どのくらいの息の量なら」と想像して、意識しながら声を出してみてください。
最後に、息の量と同時に、相手に伝えたいメッセージをきちんと明確に意識します。
相手にどうしてほしいのか、何を伝えたいのかを明確にして、自分が適切だと感じた息の量で発声してみましょう。
あくまで声は、あなたの伝えたいことを伝えるための手段です。
声だけ届いていても、内容が伝わっていなければ意味がないですよね。
このメッセージを届けるためには、どんな息の量で、どんな風に声を出せばいいのか、あえて意識的に考えながら声を出してみてください。
・声を届ける相手と自分との距離感
・距離感を踏まえた息の量
・相手に届けたいメッセージ
この3つを意識して会話した時、意識していない時と比べて相手の反応はどんな風に変わるでしょうか。
きっと、今までよりスムーズに、ストレスなく会話ができるはずです。
まとめ
声が通らないというコンプレックスを克服したいなら、「自分の声は通らない」という思い込みを認識し、それを捨てること、そして、相手に声を届けるために必要なことをすることが大切です。
会話は一日の内に何回も何十回も行うもの。
その中の数回でいいので、意識的に考えながら声を出すようにしてみてください。
もっと具体的に声が良くなる方法が知りたい、詳しく知りたい方はこちらもぜひ読んでみてください。
今回少しだけふれた声帯の動きについての解説と、1分でできるエクササイズをご紹介しています。ぜひご一読くださいね。