前回は『自由なナレーションとは?』というタイトルで「自由」について考えてみました。
今回取り上げるのは「思い切りの良さ」。
ここにも「自由」と共通していることがあると思います。
ずいぶん前ですが『弱くても勝てます』というドラマで
「思い切りの良さ」について話しているシーンがありました。
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部員に黙々と素振りをさせる青志監督(二宮和也さん)に、
雑誌記者の璃子(麻生久美子さん)が問いかけます。
璃子「監督、大事なのは振ることじゃないんですか?
いいスイングをしろって言った方が早くないですか?」
青志「こうすることで大胆に振る練習にもなるんです。」
璃子「大胆に?」
青志「こいつらは良くも悪くも真面目なんです。
打席に入ってガチガチになってしまうのは上手く打とうと思う気持ちが強いからなんです。
それが普段からこうやって何万回と振ってればそのうちの一回だと思って大ざっぱに振れるんですよ。」
璃子「大ざっぱでいいんですか?」
青志「いいんですよ。それが思いっきり振れるんだったら。」
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と、こんなシーンでした。
これまでも何度かドラマのワンシーンを紹介しましたが、このシーンにもナレーションや演技に通じるものがあります。
==過去、取り上げたテーマはこちら==
今回のキーワードは「思い切りの良さ」です。
例えば、素振りをナレーションにおけるコピーに例えてみましょう。
上手くコピーしようという気持ちは、余計な緊張を生みます。
思った通りのコピーができず、自己の欠点ばかりが気になり、だんだん自己否定的になります。
そして理想のコピーからどんどん遠ざかって行ってしまいます。
必要なのは上手くやろうという気持ちを捨てること。
思い切りやることで、予想外にいい読みができた経験はありませんか?
そして、思い切りやるということは力に任せて全力で出し切ることではなくて、
「決めたことを信じてやる」ことです。
つまり、明確な意志を持ってアクション(行動)すること。
思い切りやるには、何をするか決める必要があるわけです。
「自由にやる」ことも、自分で何をするか決めることが必要でした。
「思い切りやる」も同じように、自分で何をするか決めなくては、信じることすらできません。
アクションする時には「何をするか」が具体的であればあるほど、大きなサポートとなります。
その理由は、人間のアタマは抽象的なことよりも具体的なことの方が理解しやすいからです。
数学を例に挙げると、公式を丸暗記しただけでは一切役に立ちません。
実際に公式が役に立つのは、何かの問題解決の場面です。
ある問題を公式を使って解くわけですね。
公式は数ある問題から一般的なことや共通していることを抽象化したもの。
それを知っているだけでは役に立たちません。
いつ、どうやって使うかという、具体的な場面が必要なのです。
数学で応用力をつけるためには、練習問題をたくさん解いて、公式の使い方を体得します。
具体的なものにたくさん触れないと、なかなか理解できません。
具体例を積み上げるのは決して楽しいことばかりではありません。
辛いこともありますし、継続させることも簡単ではありません。
でも、具体例を積み上げていくことは大切です。
いわゆる、引き出しを増やす、ということですよね。
具体例をたくさん積み上げていれば、
これから実行するアクションについて「私は何をするのか」を理解することができるはず。
例えば「原稿を読む」という抽象的な行為を、より具体的に「○○を伝える」とか「相手を楽しませる」といったアクションとして理解できるようになるのです。
アタマが、これからすることを理解しているならば、その達成に向けて無意識下で必要な力を使うようにカラダに指示を出します。
それがパフォーマンスをする上で大きなサポートとなるのです。
数学に限らず、公式を習ったり覚えたりすればできる気になることってありませんか?
演技やナレーションでも同じことが起こります。
テクニックや表現を知れば、それができると信じてしまうのです。
パフォーマーに良くありがちな間違いですが、公式は覚えただけでは全く役に立ちませんよ!
使いたいときに使うことができるように、具体例の積み上げが必要です。
すると、いつの間にか「新たな回線がひらく」のです。
「回線がひらく」についてはこちら。
今回紹介した記事はこちら
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