こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
今回はしばしば質問される「なぜ声のトリセツでは発声練習とか声を出すテクニックを紹介してくれないんですか?」という質問にお答えします。
私がこの声のトリセツで発声練習とかテクニック的なことを扱わないかというと、いくつかの理由があります。
例えば・・・
・テクニックに頼ってしまう
・テクニックは原因を隠す
・テクニックの訓練よりも大切な事がある
こんな理由があるんです。
テクニックに頼ってばっかりいると、本当に原因となっていることや大切な事を全く無視していることになってしまいます。
日々練習に取り組んでいる方も、今一度、練習への取り組み方を見返してください。
アナタが悩んでいることや解決したいことの本当の原因はどこにあるんでしょうか?その練習方法で悩みを解決することができますか?
例えば、早口言葉のような滑舌練習
発声においてのテクニックってどんなものがあるでしょうか?たくさんある発声法をテクニックと考えることもできますし、どれをテクニックと考えるかは人によって異なるでしょう。
例えば、早口言葉のような滑舌の練習。
私のところにも「滑舌が良くないので・・・」という相談に来られる方がいます。多くの方は「早口言葉の練習をした方がいいんでしょうか?」と仰るのですが、私はそんな必要はないと思います。
滑舌の練習もひとつのテクニックです。あまり意味のわからない、しかも言いづらい言葉が並んだものを早く、息継ぎなしで声にするというテクニック。
私も養成所にいた頃はムキになって練習しましたよ。養成所では滑舌のクラスがありましたからね。
滑舌で求められるのは、クッキリ・ハッキリ・明確に。
練習でもクラスでも、ただひたすらそれらを追求します。
でも、「滑舌が良くない・・・」というのは果たして悪いことなのか?
滑舌が良くなりたいと思う人は、ただひたすら滑舌練習に取り組むしかないのか?
こんな風に、ボイトレ界隈では「○○ができない→△△法を練習」というような方程式が存在していますよね。
声が小さい→腹式呼吸を練習、とかね。
私は、それに疑問があるのです。
テクニックはペンキ
私は、△△法とかいわゆるテクニックというものはペンキのようなものだと考えています。
例えば、公園にあるベンチ。鉄の部分が錆び付いている。座面や背もたれも汚れていて、非常にみすぼらしい。でもペンキを塗り直すと見違えたようにキレイになります。しかも色によって、いろんな雰囲気を持たせることもできますよね。赤いベンチ、緑のベンチ、黄色いベンチなどなど、使う色によって相手に与える雰囲気や印象を変えることもできます。
さて、この例をもう少し掘り下げてみましょう。
公園のベンチがみすぼらしい原因は、サビがあったり汚れがあるからでした。その上からペンキを塗ると、サビや汚れは見えなくなります。上からペンキを塗られることで、覆い隠されるのです。
ペンキを塗り直した後のベンチは、全く見違えるように見えますよね。でも元々ベンチをみすぼらしくしていた原因である錆や汚れは残ったままです。
塗り直したころは見違えるように見えていたとしても、しばらく時間が経過して、ペンキがはがれてきたら・・・
元々あった錆や汚れはまた目につくようになってきます。
元々の原因である錆や汚れを落としておかないと、何度ペンキを塗り直しても同じことの繰り返しなのです。時が経てばまた目につく、いつまで経っても繰り返し。
私は、テクニックがこのペンキのような役割をしていると考えています。
本来の原因に対して何にも対策を施さずに、テクニックでごまかすと、どんなことが起こるでしょうか?
テクニックは本当の原因を隠す
ここで滑舌練習の例に戻って考えてみましょう。「自分は滑舌が良くない・・・」そんな風に考えている人がただひたすら滑舌の練習に取り組んだとしたら、どんなことが起こるでしょう?
「当然、滑舌良くなるでしょ」と思うかもしれません。
しかしながら、滑舌の練習で取り組んだフレーズがどのように日常生活に役に立つのでしょう???
「青巻紙、赤巻紙、黄巻紙」とか「新進シャンソン歌手総出演新春シャンソンショー」とかとにかくメチャクチャ練習してスラスラ言えるようになったとしても、日常生活のいつどんなときにそれをその言葉を使うのでしょうか?
また、黙々と練習を繰り返すことで「できた!」と思う瞬間が訪れます。1人で練習している機会が多いと、実はこれも危険な要素です。何度も何度も練習して、その方法に慣れ親しんでしまうと、できたような気になってしまうのです。私たち人間の感覚認識能力って自分に都合の良いように働くんですよね。
しかも、「慣れ親しんだ感覚=正しい」という誤った価値観を誰もが持っています。
こんな風にして、本当の原因を解決せずにペンキを上から塗ったようにして、一時的には解決できたような気になっていると、しばらくして、そのペンキが落ちてきたとき、また同じ問題に直面することになってしまいます。
まとめ 最適な対処をしよう
滑舌の例を挙げましたけど、いわゆるテクニックにおいては同じ事が当てはまるでしょう。テクニックは一時的な方法でしかありません。足を骨折したときに使う、松葉杖のようなものでしょう。いつまでも頼ることはできません。
だったら、悩みや課題になっていることにアプローチして行くのが最善の方法だと思いませんか?
アナタの悩みや課題になっていることの本当の原因は、多くの場合はカラダの使い方にあります。
声を出すにあたって必要なところが使われていないとか、
声を出す瞬間にいろんな部分を緊張させているとかね。
これをテクニックで対処するなんて、川の河口付近で川の汚れをキレイにしようと何とかしようとしているようなものです。
テクニックのように川の下流であれこれ対策を施すよりも、声を出すことのスタート地点である川の上流で対策を施した方がよっぽど効果がありますよ。
当然、カラダの使い方は1人ひとり違います。だから「これをすれば安心です」というオールマイティなものはありません。
そういう理由もあって、私は○○法とかあまりブログに書かないのです。
もしアナタが声について何らかの悩みや課題をもっているなら、声のトリセツLINE@から気軽にメッセージで相談してください。
アナタのカラダの使い方を一緒に探求していきましょう。
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