こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
今回は「ゼッタイにやってはいけない発声法」の第7弾です。
「ゼッタイにやってはいけない発声法」シリーズの記事まとめはこちらから
今回テーマに取り上げるのは「口を大きく開く」です。
レッスンに来てくださる方の中には、声を出すときに「口を大きく開く」ことを意識している方も多いです。もちろんLINEで質問をくださる方の中にも、それを意識している方が多いですね。特に本やネットで発声やボイストレーニングの方法を調べている人に多いです。
残念ながら、それは逆効果なんですよね。。。
口を大きく開くことで、実はあなたは発声の邪魔をしているんです。
「ハキハキ喋る」とか「明瞭に話す」とか、そういうことを意識している方に多いのですが、一生懸命、口を大きく開くことで声を出しづらくしているんですね。
というわけで、今回は「口を大きく開く」ことがどれだけあなたの声の魅力や表現の自由、あなたの可能性を奪っているかをお伝えします。
・あなたは、自分で発声を邪魔している習慣に気付いていない
・多くの人が推奨している「口を大きく開く」はあなたの声や呼吸を邪魔している
・あなたの声の魅力や能力を引き出すためには?
役に立たない情報を教えている人に注意しよう
まずはじめに、あなたに知っておいて欲しいことがあります。
世の中に出回っている発声やコミュニケーションに関する情報の多くは、役に立たないものが多いんです。
なぜ私がそう言い切るかというと、それらの情報のカラダの構造に反するような使い方をするものを多く含んでいるからです。
そして、私たちの人間のカラダには、構造に反するような使い方をすると、機能を阻害するという仕組みが備わっています。
今回取り上げるテーマである「口を大きく開く」ということもそうです。発声指導者やボイストレーナーには「口を開くときは指が3本入るように縦に開きなさい」と指導される方もいます。実際に私そう習ったことがあります。
でも、これは本当なのでしょうか?それくらい大きな口を開かないといけないのでしょうか?
仮に百歩譲って、指が3本入るくらい縦に開くのがあなたにとって役に立つことならいいのですが、多くの方は無理をして口を縦に開こうとしています。無理をしながら大きく開こうとしているわけです。
そうすると、無理に筋肉を動かして口を開こうとしているわけですから、カラダの他の部位にも影響をあたえ、どこかで埋め合わせをしなくてはなりません。
実はその埋め合わせとして起こっていることが、あなたの発声の邪魔をしているのです。あなたが望んでいる声を出すことができないのは、必要以上に口を縦に開こうとしているからです。
あなたがそのような指導やレッスンを受けているとしたら、残念ですが、あなたの悩みはいつまで経っても解決しないし、あなたの望みはいつまで経っても叶うことはありません。
そもそも、発声というのはカラダ全体で行われていることなのに、口や喉だけしか見ていない発声指導者やボイストレーナーに習っていて、無理なことをやらされていることに疑問を感じていないのは非常に危険です。
あなたの声の可能性を奪うボイトレ
そのような発声指導者やボイストレーナーに習ってると、あなたの声はどんどん邪魔されていきます。
なぜなら、彼らはあなたの口や喉しか見ていないからです。この『声のトリセツ』でも何度もお伝えしていますが、声とはあなたのカラダの使い方と思考の使い方が合わさった結果で生まれるものです。どうやってカラダを使うかはもちろん、その時にどんな気分か感情か、どんなことを考えているかも声に反映されるのです。
あなたが声やコミュニケーションについての悩みがあったり、こうなりたいという望みがあるなら、カラダの使い方と思考の使い方を統合しながら、あなたの発声のプロセスを変えていく必要があるんです。
でも一般的な発声指導者やボイストレーナーはカラダの使い方のほんの一部分しか扱いません。口や喉、呼吸くらいまでしか扱わないんじゃないですかね?
それだけでは不十分なんです。
あなたの声は、あなたのアタマのてっぺんから足の先まで、全体をどう使うかで大きく変化します。カラダ全体で行われていることなのに、一部分だけしか扱わないということは全くもって足りないんです。そればかりしていると、カラダの機能に良くない影響を与えてしまいますよ?
だって、あなたは無理をして口を大きく開けているわけですよね。
カラダの使い方は機能に影響を与えます。無理が続けば、いずれ機能は大きなダメージを受けるでしょう。
このままでは、あなたの悩みはいつまで経っても解決しないし、より悩みが深くなっていくだけなんです。
口を開けるよりも顎の構造を知る
ほとんどの人は「大きく口を開く」ことをするとき、カラダの構造に反した使い方をしています。
なぜなら、顎の構造について知らないから、必要以上に大きく開けようとして、カラダが無理をしているわけです。
発声指導者やボイストレーナーによっては苦痛や痛みを伴うことを進んでやらせようとしている人もいるようですが、それはあなたの発声をただ邪魔するだけ。
繰り返し練習することで、あなたの機能がどんどん邪魔されていけば、将来的にどんな未来が待っているかは想像できますよね?
そうです。あなたの悩みは今以上にひどくなります。
あなたが望んでいることはいつまで経っても実現できません。
だからカラダの構造に沿った使い方をして欲しいんです。そこには、痛みや苦痛などは決して伴いません。
むしろ、今以上に楽に声を出すことができます。繰り返し練習していくことで、それがあなたの習慣として定着すれば、痛みや苦痛を伴うことなくあなたの悩みは解決してゆくのです。
そのためにはあなたはカラダの構造を知っておいたほうがいいんです。
顎の構造を知る
まずは顎の骨格を見てみましょう。
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図38.4 下顎骨
A 前方から見たところ
C 外側方から見たところ
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図38.6 顎関節
A 左外側方から見たところ
こんな風に顎は下顎骨という大きな骨でできています。カラダと繋がっている関節はだいたい耳の穴の前あたりにあります。
私たちが口を開くときは、ここから動くようにできているんですね。
まずはこのことを覚えておいてください。口を開くとき、顎を下げるだけでなく、上顎も一緒に動かしている人がいますけれども、そんな必要はありません。
上顎を上方向に動かして口を開こうとしているつもりかも知れませんが、それは脊椎に不要なプレッシャーをかけることにつながり、結果としてカラダ全体の機能を阻害してしまいます。
下顎骨だけを動かせば、口を開くことができます。
エクササイズで顎の動きを比べる
一緒にエクササイズをしてみましょうか。もし鏡が用意できるなら、あなたの顔を鏡に移しながらやってみてください。
1.いつも通りに口を開く
2.口を開くために、アタマと下あごを上下に離すように動かす
3.口を開くために、下あごが上顎から離れるように動かす
この3つの動きを比較して見てください。
もしできればこの3つの動きを使って声を出してみるとより違いがわかるはずです。
声を出すときに1.の方法でいつも通りに口を開いてみてください。そして同じ言葉で構わないので声に出しながら2.や3.の方法でもやってみてください。
きっと3.が一番楽に発声できるはずです。もしそうでなければあなたはカラダの邪魔する習慣がすでに定着してしまって3.のようなカラダの使い方ができていないはずです。あなたはやっているつもりでも1.か2.のようにカラダを使っているはずなんですよね。
もしその違いがわからなければ、レッスンに来ていただければ私があなたのカラダの使い方の習慣のうち、あなたの発声を邪魔していることをお教えします。
さて、あなたが3.が一番楽に声を出すことができたと仮定してお話をすすめていきますね。
顎を開くために起きていること
声を出す為には口を開く必要がありますよね。つまり下顎を下方向に動かす必要があるわけですが、この時、下顎ではどんなことが起こっているか知っていますか?
もしかしたら、あなたは下あごを開くということをわざわざやっていたりしませんか?
実はそんなことをしなくてもいいんです。
下顎骨はそもそもその重みで下に開くようにできています。
気を抜いていたりぼけーっとしていると口がぱかーっと空いていることってありませんか?
あなたも子供のことに親や学校の先生に注意されたことがあるかもしれません。
気を抜くと口は開くようにできているんですね。
なぜなら、下あごの骨の重みで勝手に開いてしまわないように、いくつかの筋肉がいつも仕事をしているんです。
それが咬筋、翼突筋(内側翼突筋)という筋肉です。
図で見ておきましょう。
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図32.11 咬筋
B 側頭筋と咬筋
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図32.14 内側翼突筋
B 下顎骨の筋突起は取り除いてある
これらの筋肉はいつも仕事をしています。咬筋や翼突筋が程よくがんばってくれているから、口をぱかーっと開くことなく閉じている状態になっているんです。
もちろんそのことには私たちは気付いていませんし、意識しなくてもそれができるようになっています。口から悪いものが入らないようにもしなければなりませんからね。
これらの筋肉が休むだけで、自然に下あごの骨は重力によって下に落ちようとします。でも顎の関節で他の骨と繋がっているので、地面に落ちるわけではなくてぶら下がるようになるわけです。こうするだけで口を開くことができるんです。
もちろん開くために働く小さな筋肉もありますが、ここでは扱わないでおきましょう。
口を開くことに一生懸命なあなたに口を開くための小さな筋肉をお伝えしてしまうと、必要以上にその筋肉を使おうとして、結局は無理して口を開くことに繋がってしまいますからね・・・
それよりも、口を開くためには咬筋や翼突筋がお休みすることの方が大切なのです。
ここまで読んでいただいて、私があなたにお伝えしたいことをわかっていただけましたか?
あなたは咬筋や翼突筋が下あごを持ち上げるための仕事をさせたまま、口を開こうとしているわけです。
それでは、上手く行くはずがないんですよね。
だから口を大きく開くことがあなたの声を出すことに対するさまざまな問題が起きているんです。
そのためには、まずは咬筋や翼突筋から不要な緊張を取り除く必要があるんです。
筋肉の働きを知るだけで、あなたの声は張りや艶が出る
顎の使い方を変えるだけで本当にそんな変化が起きるのか?
信じられないあなたのために、私のレッスンに来てくださった方のエピソードをご紹介します。
社会人のおさむさんは友人とバンドを組んでいてボーカルをされている方でした。日中はお仕事に励んで休日には歌のレッスンを受けたりリハーサルをしているそう。
そんなおさむさんが私のレッスンに来てくださったのは、ある悩みがあったからでした。
おさむさんは、こんな悩みや望みを持っていました。
・歌の先生に「口を大きく開け」と言われる
・おさむさんにとって、口を大きく開けると歌いづらくなってしまう
・歌の先生は取り合ってくれないので歌うことが楽しくなくなってきた
レッスンを通じて、おさむさんはどんな体験をしたのでしょうか?
その後、おさむさんは何度も同じフレーズを歌いながら、口を開くと同時にアタマを動かしていた習慣に気付きました。
そして、それが起きたときと起きなかったときでは、起きなかったときの方が歌いやすいと言うことに気づきました。つまり、おさむさんはご自分の発声を邪魔している不要な習慣に気づき、それを手放すことに成功したのです。
目的を達成するためには何が起こればいいのかを考える
おさむさんとのレッスンをもう一度振り返って見ましょう。
おさむさんは平日は社会人としてお仕事をしながら、休日は友人とバンドを組んでボーカルとして歌を歌っています。「もっと楽しく歌えるように」という望みを持って歌のレッスンに通っている方でした。
そんなおさむさんが私のレッスンに来てくださったのは「もっと楽しく歌えるようになるために通っている歌のレッスンが楽しくない」ということでした。
歌の先生には「いい歌声を出すためには口を大きく開く」ように言われていますが、おさむさんにとってはそれはとても歌いづらいことでした。そのことを歌の先生に伝えても、歌の先生は取り合ってくれません。楽しく歌えるように通っているレッスンなのに、ちっとも楽しくないということで私のレッスンに来てくださったわけです。
そこで私はおさむさんがどんな風に声を出しているかを知る必要がありました。
なぜなら、声というものはその瞬間のカラダの使い方や思考の使い方によって生まれるものです。おさむさんがどんな風にカラダを使っているか、思考を使っているかを知らなければ、私はおさむさんにとって役に立つことを提案できないからです。
だからおさむさんにはまず歌っていただきました。
まずはおさむさんにいつもの通りに歌っていただきました。この時、私はおさむさんのカラダの使い方をじっくり観察していましたが、特に気になることはありませんでした。そして歌の先生の言うとおりに歌うときに何かあるに違いないと考えました。
そしておさむさんにもう一度歌っていただきました。今度は歌の先生に言われているときと同じように歌ってもらったのです。
その時のカラダの使い方を、私は見逃しませんでした。
先ほど歌ってもらった時と比べて、明らかに違う動きが見えたのです。おそらくこれは一般的なボイストレーナーや発声指導者には見抜けないでしょう。口を開くタイミングでほんのわずかにアタマも一緒に動かしていたんですね。
今回のシリーズ【ゼッタイにやってはいけない発声法】を読んでくださっている方ならお分かりだと思いますが、アタマの動きは発声に大きな影響を与えてしまいます。つまり、おさむさんは歌の先生の言うとおりに「口を大きく開く」ことをやると、発声の邪魔をしてしまうことを一緒にやっていたのです。
カラダの構造に詳しいボイストレーナーや発声指導者なら、知っているはずです。口を大きく開くには、下顎骨だけが動けば十分に達成できます。しかもそのためには特に筋肉に負担をかけずとも、下顎骨を牽引している咬筋が緩むだけで実現できる、と。
でもおさむさんの歌の先生は、おさむさんにこの事実を伝えずに「口を大きく開く」という目的だけを重視し、そのために必要な事は一切教えてくれなかったようです。
おさむさんとのお話の中で、私はそのことを確信したので動きについてのお話をしました。
でも私が一方的に知識を与えるだけでは意味がないのです。おさむさんがご自身のカラダの使い方についての理解がなければきっと数日経つと忘れてしまうと考えました。だからおさむさんにも考えながら理解してもらう必要がありました。そのきっかけを作るために私はこんな質問をしました。
口を開くためにはおさむさんのどこがどう動けば良いでしょうか?
この質問を通じて、おさむさんはご自身で考えて1つの答えを導き出してくれました。
上顎も下顎も動けばより大きく口を開くことができると思います。
ところがこの答えの中にはおさむさんの発声を邪魔する要素が含まれていたので、それを取り除く必要があったのです。そこで私はおさむさんにカラダの構造についてのお話をし、顎の動きについてカラダの構造についての知識をお渡ししたのです。
その話を聞いたおさむさんは、それまでご自分では気付いていなかった発声の邪魔をする習慣に気付くことができました。それだけではなく、カラダの構造に沿ってカラダを使うことである変化が訪れました。
それがおさむさんがより声を出しやすくなり、歌いやすくなるというものでした。
歌の先生とのレッスンでは得られなかったことです。目的を達成するためには何が起きる必要があるかを考え、それを丁寧に実践することでおさむさんの望みが叶った。そんな瞬間が訪れたのです。
まとめ
それでは、今回のまとめです。
ゼッタイにやってはいけない発声法 その7
「口を大きく開く」
・あなたは、自分で発声を邪魔している習慣に気付いていない
・「口を大きく開く」ことであなたは自分の声や呼吸を邪魔している
・目的を達成するために必要な手段を考えて実行するだけで、あなたの声の魅力や能力を引き出すたことができる
もしあなたが迷っていることや悩んでいることがあったり、こうなりたいという望みがあるけど上手くいっていないとかやり方がわからないと言うときはLINEから気軽に相談してください。
でもあなたからいただいた質問に対して、私は質問を返すかも知れません。8割の方はお返事くれませんけどね(笑)
私がなぜ質問を返すかというと、おさむさんのレッスンと同じことをしているからです。
あなたがただ答えだけを手に入れてしまうと、あなたは何も考えずに答えだけを実践し、すぐにできる・できないで判断してしまいます。そして多くの場合は「できない自分が悪い」と考えてしまいます。そんなのは何の役にも立ちません。
大切なのは答えではなくてプロセスなんです。そのことを理解して欲しくて私はお返事していますが、まぁ若い方ほど「そんなことはどうでもいいので正解を教えて!」と言う方が多いですよね。「基礎から全部教えてください」とか丸投げされる方もまれにいらっしゃいます。
残念ですが、そんな方には私が提供できるサポートはありません。なぜなら、実行するのは私ではなくあなただからです。考えることことすら他の人に任せようとするなら、申し訳ありませんがずっと悩み続けてください。
でも1つだけお伝えしておきます。
LINEでのメッセージ交換を通じて、プロセスの大切さに気付いた方は、確実に変化しています。中には「オーディションに合格することができた!」とか「自信を持って人前で話すことができた」と嬉しそうにメッセージをくださる方もいらっしゃいます。
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声のことで困ったら
声を出すときのカラダの使い方、ココロの使い方など困ったことやわからないことがあったらご相談に乗りますよ^^ 相談したい方はぜひLINEで気軽に話しかけててくださいね!
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