こんにちは。
発声改善士のトクガワ です。
今回は、「母音の発声練習」について取り上げます。
「あ・い・う・え・お」の母音を使って練習する方法はいろんなところで紹介されています。
先生から教わった練習やエクササイズを、どんな効果があるかわからずにただ黙々と取り組んでいる方も多いでしょう。
でも、そんなままだといつかはやらなくなってしまいます。
何のためにやっているのかわからないと、練習が全く楽しくないからです。
今回は、母音の発声練習がどんな効果をもたらすのか?それについて考えてみましょう。
「滑舌をよくするためでしょ?」と思っている方は、大損ですよ。
母音の発声練習は何のため?
あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ
あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ
あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ
あいうえお いうえおあ うえおあい えおあいう おあいうえ
これは私が知っている母音の発声練習法のひとつ、「あいうえお」のスタート位置を変えてひたすら声を出していくもの。2行でブレス(息継ぎ)をしてくださいね。
これをアレンジした練習法がいくらでもありますし、他にも原稿やテキストを母音だけで読むという方法もありますよね。
例えば・・・
こんにちは。
発声改善士のトクガワです。
これを母音読みすると
おんいいあ。
おいおえおあえあいおいうおえーあーおおうああえう。
というようになります。
私たちが発する声は、ほとんどが子音と母音の組み合わせでできています。そのため、全ての音に母音が含まれているので母音での練習というものは非常に効果があるものと考えられています。
一般的には滑舌のトレーニングとして考えられがちですが、実はそれ以上にもっといい効果があるのです。
フレデリック・フースラーは著書『うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ』でこんなふうに記しています。
母音による練習は発声器官におけるいろいろの機能の可能性を呼び起こしている。
つまり、母音による練習は、単なる滑舌のトレーニングではなくて、発声の練習だということ。
そして、それぞれの母音について得られる効果も異なるようです。
ちなみに言語学者が原始母音と呼んでいるものがあって、それが「う」「い」「あ」だそうです。この3つは母音系の基礎と見なされているようです。
フースラーはこの「う」「い」「あ」の母音について、どのような効果があるかをまとめていますので簡単に紹介しますね。
いくつか喉頭懸垂機構の筋肉が出てきますので、喉頭懸垂機構がわからない・詳しく知りたいという方は以下の記事がおすすめです。
「う」の発声練習で得られる効果
まず、母音「う」には喉を開く働きがあるとのこと。
「う」の音を出すとき、胸骨甲状筋と茎状咽頭筋が働きます。
胸骨甲状筋は身体の前側にあって胸骨と甲状軟骨を繋ぐ筋肉、茎状咽頭筋は茎状突起と喉頭を繋ぐ筋肉です。これはだいたい身体の真ん中くらいにあります。
胸骨甲状筋が喉頭が前下方に引っ張り、茎状咽頭筋が喉頭を上に引っ張ることで、喉頭内にある声帯も補足的に伸ばされるようになります。
図で見ておきましょう。
図のcが茎状咽頭筋、dが胸骨甲状筋です。
引用:フレデリック・フースラー著『うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ』
図35 喉頭懸垂(保持)機構
補足的というのは、本来は別の筋肉が声帯を伸ばす役割をしているためです。
ここでいう声帯は、「声帯筋」「声帯靱帯」「声帯ヒダ」をひっくるめたものと考えてください。
「声帯筋」「声帯靱帯」「声帯ヒダ」について詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでください。
ちなみに、以前紹介したフースラーの「アンザッツ」というのを覚えていますか?
「う」の音を出すとき、アンザッツの頭頂部、軟口蓋に声を当てるのような特性を持つのだそう。
「アンザッツって何???」という方や、もう少し詳しく知りたい方、以下の記事がおすすめです。
「い」の発声練習で得られる効果
「い」の音を出す時、声帯を伸展させる役目の筋肉である輪状甲状筋と後輪状披裂筋が働きます。また声門(声帯ヒダの隙間)を閉じる役割を持つ横披裂筋と外側輪状披裂筋も目覚めさせられます。
図で確認しておきましょう。
輪状甲状筋
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図39.19 喉頭筋
A 左外側斜方から見たところ
後輪状披裂筋
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図39.19 喉頭筋
C 左外側方から見たところ 喉頭蓋は取り除いてある
D 後方左から見たところ
横披裂筋
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図39.19 喉頭筋
D 後方左から見たところ
外側輪状披裂筋
引用:『プロメテウス解剖学 コア アトラス 第2版』
図39.19 喉頭筋
C 左外側方から見たところ 喉頭蓋は取り除いてある
これらの筋肉が働くことで、声門間隙はほぼ閉じます。(声帯の中央に楕円形の開きを残してるのみ)
フースラーによると、このとき一般的に声帯辺縁筋と呼ばれる披裂声帯筋や甲状声帯筋はほぼ働いていないようです。
また、甲状舌骨筋も強く働くため、その拮抗筋である輪状咽頭筋も働きます。
やっぱり図で確認。どこに何があるか、マッピングって超絶大事やで。
aが甲状舌骨筋、eが輪状咽頭筋
引用:フレデリック・フースラー著『うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ』
図35 喉頭懸垂(保持)機構
前頭部に声を当てるアンザッツと同じ声の特性を持ちます。
「あ」の発声練習で得られる効果
「あ」の音を出すときは声帯筋、声帯辺縁筋である披裂声帯筋や甲状声帯筋が目覚めさせられるのに役立つようです。そして声帯を伸展させるのに役立つ筋肉である輪状甲状筋と後輪状披裂筋は働いていません。
喉頭懸垂機構のひとつ、甲状舌骨筋は「い」の時よりも強く働き、喉頭を前上方にひっぱります。
鼻根部、上顎部に声を当てるアンザッツと同じ声の特性を持ち、充実した声の獲得に役立つでしょう。
「え」、「お」の発声練習で得られる効果
じゃぁ「え」と「お」はどうなるの?
そう思いますよね。
「え」と「お」は中間に位置すると考えられています。
「う」の音から「あ」に丁寧にだんだんと移行させていくと、「お」を経由します。同様に、「う」から「い」に移行させていくと「え」を経由します。
そのため、中間に位置するというわけです。
中間にあるため、「う」「い」「あ」のそれぞれの組み合わせとなるようです。
「え」の場合は「う」と「い」の組み合わせ、「お」の場合は「う」と「あ」の組み合わせですね。
まとめ
今回は、母音の発声練習について一体どんな効果があるのかということを紹介しました。
単なる滑舌の練習に留まらず、発声器官である色々な筋肉を目覚めさせたり鍛えたりすることに役立っているのです。
特に私たちは、発声器官の筋肉のほとんどは使わずに声を発しています。
そのため、使われているある特定の筋肉だけに負担が集中してしまい、疲労が蓄積、いずれは声にダメージを与えるような使い方をしていると言ってもいいでしょう。
そのためにも、使われていない発声器官の筋肉を目覚めさせ、お仕事をしてもらうようにすることが大切なのです。
知らなかったこと、初めて聞いたことが多いでしょう?
でもそれらの情報を手に入れることで、今まで気づかなかった新たなことに気づいたり、自分の不必要な習慣に気づくことができるようになります。
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きっといつかアナタの役に立つときが来ますよ。
つまらない滑舌練習を2時間でも3時間でもやりたい方は来ない方がオススメです!
だって、そんな練習をしなくてもあなたの声は変わりますからね!!
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