「口を大きく開く」ことについて、前回は骨の動きに注目しました。
口を開くには下顎骨を動かすだけでいい、ということでしたね。
今回は筋肉に注目してみましょう。
下顎の上下運動に使われる筋肉は、咬筋という筋肉です。
だいたい頬骨の辺りから、下顎の出っ張り(いわゆる、エラ)の辺りに繋がる筋肉です。
下顎を動かすときは咬筋が働くのです。
試しに咬筋の動きを感じてみましょう。
上下の奥歯が触れるくらいの力加減でいいので、口を閉じましょう。
そして手を鰓辺りに添えてください。
これで準備完了。
ぐっと奥歯を噛みしめてみてください。
膨らむのが分かりましたか?
咬筋が働いた証拠です。
さて、この咬筋、下顎骨を持ち上げるために働く筋肉です。
今の例では、咀嚼するために下顎骨を持ち上げる必要があり、咬筋が縮んだんですね。
では口を開くとき(下顎骨を下げるとき)は咬筋はどんな働きをするでしょう。
筋肉は伸びるまたは縮むのどちらかの運動しかできません。ですから、先ほどとは逆の動き、伸びる(緩める)ことで、下顎を下げます。
下げるというより、咬筋が緩んだことで下顎が下がった、と考える方が好ましいです。
重力があるのはご存じですよね?
下顎にも当然重さがあります。
仮に咬筋がなかったとしたら、下顎は自身の重みで下がります。
下顎を引き上げる役目をする物がないので常に下がった状態になるでしょう。
その役目をしているのが咬筋。
下顎の位置を調整している筋肉です。
口を開く時は、「下顎を下げる」よりも「咬筋を緩める」とイメージした方がよりスムーズな口の動きができます。
滑舌の練習をするときも、この意識を持ってみてください。
今までよりも疲れにくくなるはずです。