今回もディレクションシリーズですが、すこし違う側面から。
タイトルの通り、危険な状態に陥らないためにも知って置いてほしいことです。
ディレクションが上手く働いたとき、一歩間違えば危険な状態に陥ります。
「もう一度あのときの感覚を思い出して」やろうとしたことはありませんか?
実はこれは非常に危険なことなのです。
感覚はそのときの自分の体調をはじめ、気分や感情、周囲の環境に大きく左右されます。
ですから簡単に再現なんてできないのです。
にもかかわらず、ある種の麻薬のように「あの時のような上手くいったときの感覚」に依存してしまいます。
ですが、感覚は「行動して初めて起こった結果を知覚した」だけのものにすぎません。
ですから、「感覚を再現する」というのはあのときと全く同じ結果を得ようとすることに他なりません。
(エンドゲイニングといいます。)
これはどう考えても不可能ですし、もし再現できたとしても本当に同じものかどうかを判断することはできません。
(それもまた感覚に頼らざるを得ないわけですから・・・)
「あのときと同じように」という時、重大な間違いが起きています。
仮に原稿を読むとしたら、あなたは「あのときと同じ感覚を手に入れるために」原稿を読んでいるのです。
それは重大な間違いですよね。
あなたが原稿を読むのは何のためですか?
あなたがセリフをいうのは何のためですか?
原稿を読み始める前に、今一度自分に尋ねてみてください。
実は、「何のために読むか」がクリアになったとき、満足いく結果が得られるのです。
そして満足いく結果は「上手くいった」というものとは別物です。
上手くいかなくても満足できる結果というものが存在するのです。
これを得られたとき、今まで壁だと思っていたことが、よく見たら階段だったと気づく瞬間でもあるのです。