レッスンなどで「それ、あなたの癖だから気をつけて」とダメ出しを受けだことはありませんか?
パフォーマンスにおける癖は、呼吸であったり滑舌であったり、カラダの使い方に関することが多いと思います。
今回のテーマは「癖」です。
私は癖が「本当に悪いものなのだろうか?」と思います。
癖は習慣の一部。
習慣の中でもあまり好ましくないことに対して癖という言葉が当てられるようです。
語尾を飲む癖、サ行の息が漏れる、背中を丸める、などですね。
もちろん習慣の中にはそうでないものもあります。
食後にコーヒーを飲む、寝る前にストレッチをする、朝歯を磨く、など。
さて、習慣について考えてみましょう
(この中には癖を含んでいるとします)
習慣は大きく分けると二つに分類できると思います。
「望んで身につけた習慣」と「望んでいないのに身についた習慣」です。
寝る前にストレッチをする、というのは望んで身につけた習慣だというのは想像がつくと思います。
カラダのメンテナンスのために毎日取り組んでいることですね。
では、歯を磨くのはどうでしょうか?
これは歯をきれいにしたいとかエチケットの為という望みがあって、そのために歯を磨いています。
ですからこれも望んで身につけた習慣だと思います。
望んでいないのに身に付いた習慣とはどんなものでしょうか?
例えば、高音で歌うときに喉に力が入る。
セリフでもいいのですが、高音の声を出すとき、喉に筋が浮き出るくらい力を入れてしまう癖。
これは望んでいないのに身につけた習慣だと思います。
ただし"今現在においては望んでいないのに"身についている習慣です。
さて、この習慣が始まった時に戻ってみましょう。
高い音を出そうとしてもでない。
でも高い音を出したい。
そんなとき、いろんな方法を試している中で、身体が、高い音が出せるように、喉の筋肉を使って声の足場を作り、これを支えにすると高い音がでるんじゃないかという方法を試したとします。
(身体は実にいろんな方法を試してくれます)
これで高い声が出るようになると、身体は新しい回路を作ります。
「この方法だと高い声が出るから、これからこの方法を使うことにしよう」と。
毎回毎回高い音を出すときに、この方法を使うようになります。
そして喉の筋肉を使うことが習慣となるわけです。
このときは、高い声を出すために喉の筋肉を使うという方法を採用したわけですよね。
ということは、この時は"高い音を出す為に望んで身につけた"わけです。
当時は望んで身につけた習慣ですが、いろんな経験を積んでいくうちにその習慣が他のことを実現する上での妨害になることがあります。
そのとき、その望んで身につけた習慣は「癖」と呼ばれるわけです。
癖は決して悪いものではありません。
身についたときには何らかの目的やメリットがあったからこそカラダが学習して身につけた習慣です。
これはあなたがいろんな経験を積んでいく過程で不要になるときが来るはずです。
だから、癖を指摘されたからと言って悲観する必要なんてありません。
今まで助けてくれていた習慣(癖)とお別れするときがきただけです。
癖とお別れするには、癖をとるための練習をする前に、なぜその癖が身についたのかきっかけとなったことにを探ってみてください。
そのきっかけにたどり着くことができれば、今度は別の手段を使って解決することで、その癖とお別れすることができるでしょう。