男性の社会人、おさむさん(仮名)がレッスンに来てくださったときのことです。

おさむさんは、こんな悩みや望みを持っていました。
・上司から「お前は声が小さいからもっと声を出せ」と注意される
・声を張ったり声量を増やそうとしているが効果が見られない
・無理にやると喉が痛くなる

トクガワ
こんにちは、トクガワです。よろしくお願いします。

おさむさん
初めまして、おさむと言います。よろしくお願いします。

トクガワ
今日、おさむさんがレッスンに来てくださったきっかけについて教えてもらいたいのですが、おさむさんは声についてどんなことに興味がありますか?

おさむさん
いつも上司から「お前は声が小さいからもっと声を出せ」と言われるんです。自分では声を出しているつもりなんですが、あまり変わっていないようで、会議の時やスピーチの時にはいつも「声を張れ」とか「声量を増やせ」と言われます。

トクガワ
上司の方から「もっと声をだせ」と言われていて、おさむさんとしては声を出しているつもりでも「声を張れ」とか「声量を増やせ」と言われているんですね。

おさむさん
はい、無理にやっていると喉が痛くなってしまって・・・

トクガワ
なるほど。「声を張れ」と言われたり「声量を増やせ」と言われているおさむさんは、具体的にどんなことをしていますか?

おさむさん
どんなこと・・・ですか?
声を張ったり声量を増やしたりしています。

トクガワ
それはどうやってやっているのですか?

おさむさん
えっ・・・と、声を張ったり声量を増やしたりしています。

トクガワ
そのために何をしていますか?

おさむさん
質問の意味がわからないのですが・・・

トクガワ
これは失礼しました。
おさむさんは上司から「声を張れ」とか「声量を増やせ」と言われているわけですよね?

おさむさん
はい、そうです。

トクガワ
おさむさんが何をすれば声を張ることが実現できますか?もしくはおさむさんが何をすれば声量が増えるんでしょうか?

おさむさん
うーん・・・わからないです。

トクガワ
ありがとうございます。今の質問で1つ明らかになったことがありますが、お伝えしても良いですか?

おさむさん
はい、お願いします。

トクガワ
おさむさんは、声を張るために必要な事はせずに、声を張っているつもりになっているようなんですね。

おさむさん
でも、僕は一生懸命に声を張っていますよ?

トクガワ
そうですか。では、声を張るために何をしていますか?

おさむさん
声を張っています。

トクガワ
ですよね。それが「声を張っているつもりになっている」と言うことなんですね。
先に行っておきますが、おさむさんのことを批判したり、否定する目的でこのことをお伝えしているんではありませんからね。

おさむさん
「声を張ったつもりになっている」とはどういうことですか?

トクガワ
おさむさんの中では、声を張るという行動が具体的ではないのです。

おさむさん
よくわからないです。

トクガワ
別の例で考えてみましょうか。
おさむさんはペットボトルに入っているお茶やお水を飲んだことがありますか?

おさむさん
はい、あります。

トクガワ
その時、何をしていますか?

おさむさん
飲み物を飲んでいます。

トクガワ
確かにそうなんですけど、おさむさんのカラダは具体的にどんな行動をしていますか?

おさむさん
ペットボトルを持って、キャップを開けて飲みます。

トクガワ
そうですね。ペットボトルを持ったりキャップを開けるためにおさむさんは何をする必要がありますか?

おさむさん
えっと・・・腕や手を動かす、とかですか?

トクガワ
そうです。バカバカしい回答かも知れませんが、ペットボトルを持ったりキャップを開けたりするためには、腕や手を動かす必要があります。

おさむさん
確かに動かしていますね。

トクガワ
こんな風に具体的な動きが連続することで、ペットボトルに入ったお茶や水を飲むことができるわけです。
普段、こんな風に考えませんけどね。

おさむさん
たしかに考えたことないですね。

トクガワ
では、声を張るとか声量を増やす、と言うことに話を戻しましょう。
おさむさんは、声を張るためや声量を増やすために、どんなことをしていますか?

おさむさん
うーん・・・、具体的には何もしていないですね。

トクガワ
ありがとうございます。それが私が「声を張ったつもりになっている」とお伝えしたことなんですね。それがダメだというわけではありません。そのままでも何ら問題はありませんが、そのままではおさむさんが望んでいる「声を張る」や「声量を増やす」ということはいつまで経っても起こらないんです。

おさむさん
なるほど・・・そのためには何かをしなくてはならないということですね。

トクガワ
そうですね。ペットボトルに入ったお水を飲むには、手に取って蓋を開けてということをするのと同じで、声を張るためには必ず何かをしなくてはならないんです。

おさむさん
トクガワさんが仰っていたことの意味がわかりました。でも何をすればいいんですか?

トクガワ
おさむさんは声の大きさを上げたいわけですよね?

おさむさん
はい、そうです。

トクガワ
では、もっとたくさんの息を使うようにしてみてください。

おさむさん
それはどうやったらいいんでしょうか?

トクガワ
まずは、おさむさんのカラダの中で息が出入りするところについての知識を持つことです。

おさむさん
腹式呼吸ですか?

トクガワ
それは忘れてもらって構いませんよ。お腹に息は入りませんから。

おさむさん
そうなんですか?

トクガワ
はい、腹式呼吸は発声の邪魔にしかなりませんから忘れてください。こんな風に世の中には間違った呼吸法やボイトレが山ほどあるので注意してくださいね。

おさむさん
ではどうすればいいんでしょうか?

トクガワ
おさむさんは、肺がどこにあるか知っていますか?

おさむさん
ここですよね?(おさむさん、胸をあたりを指さす)

トクガワ
そうですね。その肺のいちばんてっぺんはどの辺りかご存じですか?

おさむさん
この辺りかな・・・?(おさむさん、胸元を指す)

トクガワ
そのあたりだと思っている方が多いんですけど、肺のてっぺんというのは実はこのあたりにあります。鎖骨よりも少し上です。

おさむさん
こんな所まであるんですか?

トクガワ
そうなんです。おさむさんもご自分のカラダで触れてみてください。

おさむさん
へぇー・・・(おさむさん、鎖骨の上に触れる)
こんな高いところにあるんですね。

トクガワ
そうです。肺はここからだいたい肋骨の内側に収まるくらいの大きさですね。
もう一方の手でおさむさんの肋骨の一番下あたりを触れてみてください。

おさむさん
こんなに大きいんですか?

トクガワ
そうです。みなさん、この事実を知ると驚くんですよ。これだけの空間があって、息が出入りしているんですね。そして肺から押し出された息が声を生み出すためのエネルギーになります。

おさむさん
なるほど。

トクガワ
これだけの空間を活用して声を出してみるとどんな違いがあるか試してみませんか?

おさむさん
はい、試してみたいです。

トクガワ
では、まずはいつも通りに声を出してみてください。できるだけ普段と同じシチュエーションで試した方が、おさむさんの日常生活での再現性が高くなるので、ただ発声練習をするよりも具体的なシチュエーションを扱うことをおすすめしますよ。

おさむさん
こないだ、会議で上司に言われたので、その時のことでもいいですか?

トクガワ
はい、もちろんです。今はこのスタジオにはおさむさんと私しかいませんが、できるだけその時の状況に近いことをイメージしてから始めてください。誰がいたか?何人いたか?みんなどんな雰囲気だったとか、その時の状況に近いイメージができればそれだけおさむさんに撮っても学びが多くなりますからね。
そしておさむさんの準備ができたらいつでもはじめてくださいね。

おさむさん
わかりました。これくらいの部屋の大きさで、上司や他の部署の人がいて、チームのメンバーがいて・・・
先週のミーティングで保留になっていた件ですが、私のほうで現場からの声を集めましたので報告します。

トクガワ
はい、ありがとうございます。いま、ミーティングの状況を想定して声を出してみました

おさむさん
そうですね。イメージしただけで緊張してしまいました。

トクガワ
会議の状況をイメージしただけでカラダは緊張したわけですね。そのことに気付いただけでも素晴らしいことです。声の大きさや話している時のことで何か気付いたことはありますか?

おさむさん
上司から「声を張れ」と言われているので、自分では声を張っているつもりではありますが、上司の顔色を気にしながら話しているような気がしました。

トクガワ
ありがとうございます。素晴らしい気づきですね。

おさむさん
でもこれだとまた上司に注意されると思います。

トクガワ
どうしてそう思うのですか?

おさむさん
自分で聞いていてもいつもと同じくらいの声の大きさだなと思ったので・・・

トクガワ
今の声の大きさだと上司に注意されてしまうわけですね。
では、1つ試してみてもらいたいことがあるのですが、おさむさんにお伝えしても良いですか?

おさむさん
はい、お願いします。

トクガワ
先ほど、肺の大きさについてお話しましたよね?てっぺんは鎖骨の上まであって、おさむさんが思っていたよりも大きかったわけですよね。

おさむさん
はい、そうです。

トクガワ
おさむさんが声を出すことができるのは、肺から押し出された息が声帯ヒダを振動させる空なんですが、おさむさんのカラダにはそれだけの大きな肺があるので、ここからたくさんの息が押し出されると思いながらもう一度同じように話してみてもらえませんか?

おさむさん
さっきの肺の大きさはこれくらいでしたよね(おさむさん、自分で鎖骨の上あたりと肋骨の下あたりに触れる)

トクガワ
はい、そうです。そこからたくさんの息が押し出されていくことでおさむさんは会議中に参加者に話しかけるわけですね。

おさむさん
先週のミーティングで保留になっていた件ですが、私のほうで現場からの声を集めましたので報告します。

トクガワ
いいですね。今お話してみてどうですか?

おさむさん
特に何かしたわけでもないのに、さっきよりも大きな声がでました!

トクガワ
そうですね。私も聞いていてそう思いました。

おさむさん
これが「声を張る」とか「声量を増やす」ということなんですね。

トクガワ
そうですね。私はそう考えています。

おさむさん
これくらいの声なら上司にも注意されることはなさそうです。

トクガワ
今お話していたおさむさんの姿を見ていて、もう一つ変化があったのですが、おさむさんは気がつきましたか?気付かなかったらそれはそれで構いませんよ。

おさむさん
いえ、まったくわかりません・・・

トクガワ
私は、さっきのおさむさんと今のおさむさんでは立ち振る舞いが全く違うように見えたんですね。自信や存在感が増したように見えました。

おさむさん
そんな違いが・・・言われてみれば、確かにさっきより落ち着いて話すことができました。

トクガワ
そうですか。それはいい気づきですね。その落ち着きや安心感が、実はおさむさんの外見の印象も変えてしまうんですよ。

おさむさん
たったそれだけのことなのに、外見の印象も変わってしまうんですか?

トクガワ
はい、その通りです。カラダとココロは密接に繋がっていますからね。
カラダで起きていることは気分や感情に影響を与え、考えていることや感じていることはカラダの動きに影響をあたえます。そして、いつどんな時でもお互いに作用し合っているんですね。もちろん今この瞬間も作用しているんです。

おさむさん
それで、さっきはミーティングの状況をイメージしただけで緊張してしまったわけですね。

トクガワ
そうですね。おさむさんがイメージしたことがおさむさんのカラダに影響したわけですね。
でも私が提案した肺のことを考えて話してもらうと、おさむさんのカラダにはまた違う影響が起きましたよね?

おさむさん
はい、声を張ることもできたし声量も大きくなりました。確かに話しやすかったです。

トクガワ
それがおさむさんに落ち着きや安心感を与えてくれたはずです。

おさむさん
確かに、声が出ていることに気付くことができたので慌てる必要もなかったです。

トクガワ
そうですよね。こんな風にカラダの使い方や思考の使い方をほんの少し変えるだけで、おさむさんの声はすぐに変わることができるんです。
今日お渡ししたことは、次の会議では活かせそうですか?

おさむさん
はい、ぜひ活用したいと思います。

トクガワ
いいですね。でもいざ会議の時には使うのを忘れてしまいそうじゃありませんか?

おさむさん
あ、確かにそうかも知れません。

トクガワ
実は、新しいアイディアというのはいざというときに使うのは難しいんですね。だから毎日の生活の中で活用していれば、いつどんな時でも活用できるようになります。今日お渡ししたアイディアは今この瞬間からも使うことができるものなので、ぜひおさむさんの新しい習慣として定着させてみてください。

おさむさん
はい、ありがとうございます!

トクガワ
もしおさむさんお一人で習慣に定着させるのが難しくなったら、ぜひまたレッスンに来てくださいね。

おさむさん
はい、よろしくお願いします!ありがとうございました!!

トクガワ
はい、こちらこそありがとうございました。

今回のレッスンについての解説はこちら

あわせて読んでおくと更に効果的です!

 

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