吃音に悩む男性とのアレクサンダー・テクニークのレッスン
ある時、私のレッスンに20代後半の男性(仮名:おさむさん)が来てくださいました。30歳を目前にして転職活動をしておられる中で、声の悩みをお持ちとのことでした。

どんなお悩みをお持ちかを伺うと、このように話してくださいました。

幼少の頃から吃音の症状がありましたが、大人になるにつれて落ち着いてきたのですが、日常生活でもふとしたときや緊張したときなどに吃音の症状が出てしまうことがあります。

年明けから転職活動をしていて、面接の時にも何度かそれがありました。

今までは人前で話す機会もそれほど多くなかったのですが、春から新しい職場で働くことになり、そこでは人前で話す機会や電話で営業をする機会が多くなりそうで、不安を感じています。

そこで、私はおさむさんに人前で話す時のカラダの使い方を見せていただきました。

 

トクガワ
「では、ここが面接の会場で、私が面接官だと想定してみましょう。そして自己紹介をいつも通りにしてみましょうか。」

 

おさむさんが話している姿を見て、私はいくつかのことに気がつきましたのでいくつか質問しました。

 

トクガワ
「ありがとうございます。今、自己紹介をしてみて、どんなことに気がつきましたか?」

おさむさん
「初めのほうは普通に話せたと思うんですけど、途中で緊張したときとかにやっぱり症状が出てしまいます。」

 

おさむさんの言う通り、私にもそう感じた瞬間がありました。

 

トクガワ
「今、自己紹介をしていて、おさむさんが"オレ緊張したな"と感じたときはどんな時でしたか?」

おさむさん
「そうですね・・・トクガワさんと目が合ったときだったと思います」

トクガワ
「私もそう思います。おさむさんが私と目が合ったとき、何をしたか覚えていますか?」

おさむさん
「目が合ったときですか?えっと・・・、特別なことは何もしていないですけど?」

 

おさむさんはそう答えてくれましたが、彼が私と目が合った瞬間にあることをしていたのを私は見逃していませんでした

 

トクガワ
「実は、おさむさんと私の目が合ったとき、おさむさんはあることをしていました。おそらく、そのあることがおさむさんが声を出すことを邪魔しているような気がします」

おさむさん
「えっ!?・・・僕、何かしました?」

 

おさむさんにはそのことに自覚がないようでした。

なので私はおさむさんに次のことをお伝えしました。
・私たちのカラダの仕組み
・おさむさんが自覚なしにしていることが与える影響
・人前で話をするときに役立つアイディア

そしてもう一度おさむさんに自己紹介をしてみていただきました。

 

おさむさん
さっきよりも話しやすく、スムーズに声を出すことができました。目が合っても症状も出なかったです。

 

おさむさんは驚き半分、喜び半分でそう答えてくれました。

そして私はもう一つ、おさむさんにお伝えしたいことがあったのですが、その前に質問しました。

 

トクガワ
「おさむさんは声が出る仕組みってご存じですか?」

おさむさん
「いや・・・あまり考えたことはないです。」

トクガワ
「では、特に意識していることはありますか?」

おさむさん
「症状が出ないように、口や唇がしっかり動くように意識しているつもりです」

 

まさに私がおさむさんのカラダの使い方について気になっていた部分です。

 

トクガワ
「そうですよね。おさむさんは、声を出すことを"口周辺だけ"でやろうとしていませんか?」

おさむさん
「はい。昔、ボイトレに通ったことがあるのですが、そこでは口の形を意識するように教わったので・・・」

トクガワ
「そうですか・・・残念ですけど、それは忘れてもらって構いませんよ。それよりもっと大切なことをお伝えしますね」

 

と、私はおさむさんに発声のことについて少しお話しました。この記事でも紹介した、弦楽器の例えの話です。

 

トクガワ
「では、私が今お話したことを踏まえて、もう一度自己紹介をしてみてください」

 

おさむさんにもう一度自己紹介をしてもらったあと、彼はこう言いました。

 

おさむさん
「さっきと比べて特に何か大きなことをやったつもりはないのに今までに体験したことのないスムーズさで話すことができました

 
たった数十分のレッスンで、おさむさんには大きな変化が起きたようです。
 

今回のレッスンについての解説はこちら

あわせて読んでおくと更に効果的です!

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